「7年で市場規模2倍超」麦茶が好かれる納得の理由 健康意識の高まりで再注目、意外な「強み」とは

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近年、RTD(缶飲料やペットボトル飲料)市場で「麦茶」の売り上げが大きく伸びていることをご存じだろうか。麦茶といえば「家に常備されているもの」「子ども時代の飲み物」といったイメージで、なかなか外で買う印象はなかったかもしれない。しかし、その概念が今変わりつつある。背景にあるのが、麦茶の「飲みやすさ」と「体へのやさしさ」への再認識だ。今回は、市場が急拡大する麦茶、中でも「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」の新しい価値に迫ってみた。

ここ7年で2倍超に拡大、
麦茶市場に見られる固有の特長

緑茶、ウーロン茶、ブレンド茶、紅茶――コンビニやスーパーの飲料コーナーにズラリと並ぶ種々のお茶。熾烈な競争の中、安定した市場の伸びを見せるのは意外にも「麦茶」だ。

RTD市場での麦茶の売り上げは、2014年以降ほぼ右肩上がりに伸びており、21年までの7年で市場規模は2倍超になった(※1)。コロナ禍に突入した20年こそ前年割れしたが、翌年には持ち直し、再び成長基調に。ミネラルウォーターやスポーツドリンクなど他ジャンルからの流入も顕著で(※2)、RTD市場では珍しく、間口(ユーザー数)と奥行き(1人当たりの購入量)の両方が伸長している。

※1サントリーによる推計 ※2 カテゴリー流出入 2014~19年(サントリー調べ)

データベースはサントリーによる推計

こうした麦茶の“躍進”を大きく後押ししていると考えられるのが、「ラクに水分補給ができる」という、麦茶が本来持つ特長だ。近年は平均気温の上昇で気候が亜熱帯化し、人々の水分補給意識は高まっている。そんな中、麦茶のほどよい甘香ばしさは、味のない水と比較してたくさん飲んでも苦にならず、かといって緑茶やウーロン茶より味に苦みや渋みがなく飲みやすい。水分補給だけでなく、ミネラルに期待ができる点も特長的だ。

加えて麦茶は、コーヒーや緑茶、紅茶と違ってカフェインが入っておらず、また無糖である点で一般的なスポーツドリンクとも一線を画す。そもそも日本では古くから麦茶で涼をとってきたが、こうした麦茶ならではの強みが、近年の気温上昇や健康意識の高まりにより再び見直されている形だ。

サントリーも麦茶に注力、
「GREEN DA・KA・RAやさしい麦茶」をリニューアル

中でも、22年4月にリニューアルを敢行した「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」(以下「やさしい麦茶」)は、上述した麦茶独自の特長に丁寧に着目し、麦茶をさらにユニークな飲み物へと仕上げている。

同製品のこだわりは、文字どおり体への“やさしさ”だ。一般的な麦茶製品の原料は大麦のみだが、「やさしい麦茶」では大麦・炒り米・はと麦・海藻エキスの4種類を使用している。これにより、体にやさしい素材を摂取できるのはもちろん、苦みを少なく抑えて味わいのやさしさも実現。さらに、配合する原料の選定においてはアレルギーフリーであることにもこだわっている。

また、ノンカフェインのため、ビジネスパーソンのカフェインコントロールや利尿作用による脱水の心配もなく、子どもからお年寄りまで誰とでも一緒に飲める。

ただ、これでは「麦茶は、大人には物足りないのでは?」と感じる読者も多いだろう。実際、同製品の開発に携わる、サントリー食品インターナショナルジャパン事業本部の光星晴信氏は次のように語る。「これまで『やさしい麦茶』は商品名やテレビ広告の印象もあって、『味が薄そう』『物足りなさそう』というイメージを持たれていました」

サントリー食品インターナショナル
ジャパン事業本部
光星 晴信氏

ところが、各社の麦茶の商品名を伏せて行った中味調査では、飲み応えを求める傾向の強い30-40代男性のうち、各社でも最多の70%が「やさしい麦茶」の味を評価したという。こうした認識のずれを解消すべく、今回のリニューアルを機に働き盛りの大人たちに一度でも試してもらおうと、コミュニケーション戦略にも力が入っているようだ。それだけでなく、肝心の中味自体にもさらなる工夫が凝らされた。

「“ゴクゴク飲める”を体現するために後味をすっきりさせて、もたつきを解消しつつ飲んだ瞬間の香ばしさを高めています。とはいえ、香り立ちと味のクリアさとは相反する要素ですから、実現には難しさもありました」(光星氏)

いったい、どう乗り越えたのだろうか――。

サントリーの資料をもとに、東洋経済作成

「家庭用子ども向け」から
「ビジネスパーソンの1日に寄り添う」飲み物に

ここで同社が採用したのが、「3つの穀物原料ごとに焙煎方法を変える」という方法だ。

「麦茶は、原料素材を焙煎することで独特の香ばしさを出します。ただ一口に焙煎と言っても、熱風を当てたり、直接煎ったり、砂の熱を利用したりとさまざまな種類があり、さらに焙煎時間や温度によっても味わいが変わってきます。新しい『やさしい麦茶』では、各原料の特性に合わせて、それぞれ異なる方法で焙煎するようにしました。

中でも最も使用量が多い大麦は、浅煎り・中煎り・深煎りという3つの焙煎度合いを使い分けし、度重なる試作を経てたどり着いた配合分量で組み合わせています。麦茶でここまで焙煎にこだわった製品は、ほかにはほとんどないのではないでしょうか」(光星氏)

この、非常に手間のかかる製法を下支えしたのが、サントリーがこれまでに培ってきたコーヒーの製造技術だ。

「当社は、『BOSS』をはじめとするコーヒー製品を長年手がけてきました。従来の焙煎方法では、香りを高めるためには焙煎度を高める必要があり、苦みや雑味が強くなってしまいます。そんな中、当社のコーヒー開発では、まさに『香りをしっかり高めつつ、苦み・雑味は抑える』焙煎を追求してきました。今回のリニューアルには、その知見が生かされています」(光星氏)

リニューアルでの変化は焙煎にとどまらない。

「RTDの麦茶は煎った大麦を高温の湯で抽出するのが一般的ですが、今回からは水出しで抽出した大麦の『水出しエキス』を加えています。苦みの少ないすっきりした味わいをいっそう強化するとともに、RTDでは実現が難しかった水出しの軽やかな味わいの再現にも成功しました」(光星氏)。香ばしさを強化しながら液色の澄み渡る透明感を維持できた点からも、同社の技術力がうかがえる。

気候変動も手伝って、麦茶はかつての「家庭用子ども向け」から、「大人を満足」させ「体にやさしいものを摂取」する飲み物へと変わりつつある。新しい「やさしい麦茶」は、携帯可能なRTDの麦茶製品で最大容量の680ミリリットルへと増量し、今まで以上に、ビジネスパーソンの1日に寄り添うパートナーとなる準備を整えている。ぜひ一度手に取り、“麦茶の概念がスイッチする瞬間”を体感してみてはいかがだろうか。

GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶

 

サントリー食品インターナショナル株式会社

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