本質的な成果を生むハイブリッドワークのあり方 進化し続けるMicrosoft 365とTeamsの活用術
アプリ切り替えの疲労感を減らすMicrosoft Loop
2022年1月に発表された米マイクロソフトの決算報告によれば、Teamsの月間アクティブユーザー数は2.7億人を突破。イベントの最初のセッションでは、今やビジネスの現場に欠かせないコラボレーションプラットフォームとなってきたTeamsの最新機能が紹介された。
まずはオンライン会議での「発表者モード」。PowerPointなどの資料を画面で共有する際、発表者を重ね合わせたり、肩口から資料を見せたりできる。表情や思いがより伝えやすくなっているのだ。
また、「PowerPoint Live」という機能を使えば、発表者は次のスライドやノートだけでなく、Teamsのチャットも同じ画面で確認しながらプレゼンテーションできる。レーザーポインタや蛍光ペンでのマーキングも可能だ。
「Teams上で使えるホワイトボードアプリのMicrosoft Whiteboardも大きく進化しました。会議室で多機能ホワイトボード『Surface Hub2』に書き込んだのと、PC上で書き込んだものが同期します。アイコンも表示されるため、誰が書いたのか一目でわかります。また、議論が進めやすいように、事業の戦略づくりをするときのSWOT分析など、テンプレートも複数ご用意しています」
そう話す日本マイクロソフトの春日井良隆氏は、新たなアプリケーションである「Microsoft Loop」も紹介した。
「業務をするとき、内容に応じていくつものアプリを使います。マイクロソフトの調べでは、1つの業務を終えるまでに5つ以上のアプリを使い、1時間当たり10回前後の切り替えを実施していることが判明しました。しかし、アプリの切り替えは作業や思考を中断しますから大きな疲労感や無駄が生まれています」
この課題を解決するために開発されたのがMicrosoft Loop。TeamsやOutlook、他のOfficeアプリと同期することで、複数ユーザーの情報共有の接点となる仕組みとなっている。
「より多くのビジネスシナリオに対応すべく、Teamsはサードパーティのアプリやサービスとも連携を強化しています。マイクロソフト製品のみならず名刺交換や電子署名サービスなど数多くの外部アプリとも連携しており、Teams上に業務を集約することが可能です」(日本マイクロソフト・加藤友哉氏)
サードパーティも管理できるデバイス統合ソリューション
あらゆるコミュニケーションをまとめて利便性を高めている一方で、気になるのがセキュリティ面だ。とりわけ国際情勢が不安定になっている昨今は、サイバー攻撃が急増している。そうした予測不可能な変化に対応すべく、マイクロソフトはハイブリッドワーク対応の設計を施した新たなOS、Windows11だけでなく、他社製品のOSやデバイスも管理できる次世代エンドポイントソリューションを開発した。
「ハイブリッドワークが普及した今、業務ではさまざまなデバイスやOSが使われます。個々に管理ツールを入れていると管理者にも負担がかかりますので、1つですべてを管理でき、仮にサイバー攻撃を受けても自動的に検知・修復できる選択肢をご用意しました」(日本マイクロソフト・岸裕子氏)
その1つが、デバイス管理統合ソリューションのMicrosoft Endpoint Manager Intune(以下、Intune)。デバイスが社内外のどこにあっても管理できる。
「例えばスマートフォンは、操作ミスで情報漏洩を起こすリスクもありますが、Intuneを活用すれば、アプリ保護ポリシーの設定をしてコピーや添付をさせないようにできます。デバイスを紛失した際にも、業務で使用するアプリだけを保護ポリシーの対象としていれば、プライベートのデータを守れます」(Microsoft Corporation・篠木裕介氏)
こちらも、前述したMicrosoft LoopやTeamsの承認アプリと同様に、対応可能なサードパーティのアプリを増やしている。いわばIntuneは、セキュリティのハブとしてMicrosoft 365の各アプリケーションやサードパーティ製品、各種データを安心安全に使えるか日々スクリーニングしている存在なのだ。
サンクスカード導入で組織変革を進めるNEC
サードパーティのアプリやサービスとも連携可能と使い勝手がよいうえ、セキュアな環境を実現しているMicrosoft 365。活用した成果はどのように出ているのだろうか。日本マイクロソフトの影山三朗氏は次のように説明する。
「従業員の皆様が、それぞれ使い慣れたデバイスでアクセスできることから、エッセンシャルワーカーとも呼ばれる工場や店舗など現場の最前線で働く『フロントラインワーカー』の働き方も変えています」
音声コミュニケーションでも変革が起きている。いつでもどこでもPCやスマートフォンを「会社の外線電話」として使えるTeams電話によって、コスト削減とリモートワークへの移行を実現させたのが横河レンタ・リースだ。情報システム本部 システム基盤部 第二課長の浅野井宏之氏はこう話す。
「PBXを12台、固定電話は約800台あったのをすべてフルクラウドにし、164あった固定電話回線は約30%削減しました。結果としてトータルでマイナス13%のコスト削減に成功しています。また、以前は外勤のある従業員のみにスマートフォンを配布していたためリモートワーク率は約49%でしたが、全員に配ったことで98%がリモートワーク対応可能となりました」
こうした現場の業務効率化だけでなく、組織パフォーマンスの向上に取り組んでいる企業もある。その1つがNECだ。2022年1月に、コミュニティオが開発・運営する組織強化クラウド「TeamSuite(チームスイート)」の次世代型サンクスカードを導入した。実はこれも、Teams内のアプリケーションとして利用できる。
「近年、外国人やキャリア採用など、多様性のあるメンバーが参画していますので、心理的安全性を高めてポジティブフィードバックを促したいと考えていました。そこで、感謝や称賛を伝える仕組みを整えるべく、TeamSuiteを導入しました」
そう明かすNEC 人事総務部 PeopleSuccessの岡田悠氏は、「モチベーションがアップし、行動変容を促すことができた」と評価する。
「サンクスカードは、贈る側も気持ちが豊かになりますし、受け取った側は当然うれしいものです。メンバーのよい行いが見える化でき、かつ共有できることから、称賛する機会を能動的に探すようになったという声も聞こえてきています」
必然的に「認め合い、高め合う文化」がつくられてきた同社は、この傾向をさらに伸ばしていくためTeamsのbot機能を活用。毎週金曜日にサンクスカードの贈り方の提言を実施し、好評を得ているという。
「人的資本経営」を推進するMicrosoft Viva
業務を効率化し、働き方を変えると同時に「働きがい」も高めつつあるMicrosoft 365。経済産業省が「人的資本経営」を推進する現在、そうした従業員エクスペリエンス向上の取り組みも重要になってくると指摘するのが、日本マイクロソフトの御代知克氏だ。
「ハイブリッドワークが進む中で、従業員一人ひとりの働きの実態が見えにくくなっています。その中でどのように心地よい働き方を提供していくかを考え、マイクロソフトが開発したのが従業員エクスペリエンスプラットフォームのMicrosoft Vivaです。5つコンポーネントがありますが、VivaインサイトはOutlookやTeams会議の予定など、Microsoft 365にあるさまざまな情報を基に、AIが従業員一人ひとりと組織全体の働き方のパターンを可視化します。そのうえで、『チームメンバーとの1on1がしばらく実施されていない』などの示唆を与えてくれます」
Teams上でアクセスできるため、シームレスにミーティングの設定まで完了できるのもポイントだ。情報の集約や効率化をつかさどるとともに、多種多様なアプリやサービスと連携。さらにそれらを踏まえたインサイトまで提示し、どこにいても対応できる――。TeamsをはじめとするMicrosoft 365は、今以上に業務への集中と真のクリエイティビティを引き出すプラットフォームへと進化しつつあるようだ。
なお、TeamsとDynamics 365の連携やWindows11の最新情報など、8つのオンデマンドセッションも公開中なので、ぜひそちらもチェックしてほしい。
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