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感染爆発か集団免疫か、「小さな世界」がカギに 「スピルオーバー効果」の重要性

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  • 星野 匡郎 早稲田大学 政治経済学部准教授

INDEX

新型コロナウイルスの世界的蔓延からおよそ2年。現在はオミクロン株の広がりが懸念されるが、日本では昨年秋に感染者数が急減して以降、比較的落ち着いた状況が続いていた。感染者急減の明確な理由はまだわかっていないが、ワクチン接種率の上昇は少なくともその一因だろう。

ワクチン接種のメリットは、自身の感染リスク低減だけではない。自分が感染しにくくなることで周囲の人々の感染リスクをも下げられる。統計的因果推論の分野では、自分の受けた処置(この場合はワクチン接種)の他人への波及効果を「スピルオーバー効果」と呼ぶ。本稿では、この効果の重要性について考えてみたい。

「小さな世界」の私たち

ネットワーク科学分野に、スタンレー・ミルグラムの実施した有名な実験がある。無作為に選んだ人たち(スタート)に、彼らから遠く離れた特定の人物(ゴール)への手紙を届けてもらう。ゴールの人物の名前や職業、およその住所は手紙に記されているが、直接の知り合いでない場合は、その人物に縁のありそうな知人に手紙を託してゴールを目指す、というものだ。結果としてゴールまで到達した手紙における平均的な仲介者数は、わずか5〜6人だった。

普段はあまり意識しないが、私たちは「家族」「職場の同僚」「同じ通勤バスの乗客」など、多様な社会ネットワークを構成しており、それらを通じて多くの人々と間接的に影響し合って生活している。

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