原子力や防衛など、東芝の事業は国家と関わるものも多い。経済政策をつかさどる経済産業省はどのような影響を与えてきたのか。元官僚で政治経済評論家の古賀茂明氏に聞いた。
──一連の騒動をどう見ますか。
大きくはガバナンスの問題だ。
東芝は株式会社の1つであると同時に日本の産業を代表する存在でもある。そうした企業を誰が支配し、経営するのが正しいのかということが問題の核心だ。政府や経産省はつねに、産業革新機構や日本政策投資銀行などを使い、何とか自分たちの思うように動かしていこうと関与してきた。最近は米中対立を背景に地政学的な問題がクローズアップされる中、経済と政治、安全保障が切り離せないことを象徴する案件だと思う。
安全保障や政治的に重要な事業であれば、国益を守るために国が何らかの介入を行う必要性は否定できない。ただ、そこで経済合理性をまったく無視したり、目的と手段の整合性や責任の所在が不明確なままであることが目立つ。
例えば、東芝の経営危機をもたらした原子力の海外展開でも、東芝が勝手にやった話ではなく、政府・経産省も深く関与した案件だった。だが失敗すると東芝に責任を押し付け、経産省は東芝の命運を握る優位な立場を手に入れた。
二人三脚の運命共同体
──経産省から見て、東芝は「子分」のような存在なのですか。
子分というより、パートナーだ。非常に話が通じやすいし、関連会社も含めて大事な天下り先でもある。二人三脚で歩む運命共同体といってもよい。経産省は政策実現のために東芝を当てにできるし、東芝も危ないときにいろいろな形で支援を受けられる。本来ならこうした腐れ縁は、前回の経営危機の際に清算できたはずだ。
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