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老化研究は日米で大きな格差、日本人は予防意識が低い
日本人は米国人に比べて健康に対する予防意識が低い。日本には国民皆保険制度があるためで、風邪をひいて病院で治療を受けても数百円で済みます。ところが米国人は治療費が高く、すぐに数万円程度かかってしまう。そのため、病院に行かずにサプリや薬局で済ませる。自分だけでなく家族の生活を守るためにも健康を管理し、予防するという意識が高いのです。
サプリも、それがどういう役割を果たすのかを自己選択しなければなりません。米国ではサイエンスのリテラシーも高く、自分で科学書を読み、かなり調べて知っている人が多いです。その一方で日本人は、「身体によさそうだし、安いから飲んでおくか」というような具合です。自己選択の責任を持つという感覚も希薄です。
今後、老化を自分でコントロールできるようになれば、日本人も自分で何を飲んで、食べ、どんなライフスタイルを送っていくのかを取捨選択するという認識が強まります。
日本の場合は、老化とともに筋肉が減少していくサルコぺニアという症状が、2016年にやっと病気として認定されましたが、老化研究に関わる領域に保険適用されていない疾患や薬がまだまだたくさんあって、マーケットになっていません。その点、米国では13年にグーグルが15億ドルを投資して、老化研究の企業・カリコをつくりましたが、老化研究が米国においてビジネスになると見抜いての投資でしょう。米国では民間会社がそれを保険適用するといえば、マーケットとして成立します。
日本の保険会社も、健康の度合いに応じて保険料が安くなる商品や、デジタルヘルスやAIの活用も増えてきた。保険料が安くなるなら頑張ろうという意識も浸透しつつありますが、米国のように医療費に大金を支払うという感覚が日本人にはありません。
安い承認薬をうまく使ってエイジングを抑制する方法も
ただ、お金がすべてということでもないのです。メトホルミンという薬は、承認された安全性の取れている薬で、1剤5円程度と非常に安い。今までは、2型糖尿病の治療薬として使われてきましたが、どうやらがんを抑制し、脳の機能改善にも可能性があるとわかってきた。安い承認薬をうまく使ってエイジングを抑制する方法もあります。薬に対する知識を得て、どんな選択肢があるかを知っておくべきでしょう。
健康長寿の時代になれば、人生の終わりを自分で選択するということもありえます。安楽死制度といった話は日本では拒絶反応を示す人もいますが、もっと人生や命に対して議論したほうがいいと思います。『LIFESPAN』は社会構造全体と未来の選択を考えるための本と捉えるべきでしょう。






















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