[Profile] Sarah Parcak 米アラバマ大学考古学教授。エジプト学者。リモートセンシングを考古学研究に応用した活動が世界中のメディアに注目されている。2016年TED Prizeを受賞。ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーでもある。
「あなたがカッコいいと思う人物は?」と聞かれたら、迷うことなく漫画『MASTERキートン』の主人公、平賀=キートン・太一の名前を挙げる。キートンは、軍の特殊部隊で身につけた技術をもとに、危険を伴う保険調査員の仕事をこなしながら、考古学者になる夢を持ち続けている。物語のクライマックスで、たったひとり発掘作業に臨むキートンは本当にカッコいい。たとえひとりきりだろうと、情熱に突き動かされるまま、彼は黙々と大地を掘り返すのだ。
考古学への情熱では本書の著者も負けていない。子どもの頃、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』を観てインディ・ジョーンズに魅せられて以来、その熱が衰えたことはないという彼女は、新しい研究分野「宇宙考古学」の第一人者でもある。
「衛星考古学」や「衛星リモートセンシング」とも呼ばれる宇宙考古学は、人工衛星などで取得したデータを解析し、地中に埋もれている人工物を見つけ出す最先端技術である。この技術が、考古学にとんでもない革命を起こしている。本書はその最前線の熱気を伝える一冊だ。
例えば、ある研究者は、リモートセンシングを導入した途端、30年の研究生活で発見した数を上回る古代マヤ遺跡を、たった一晩で見つけてしまったという。あるいは、ブラジルのアマゾン川流域でも、ジャングルに覆われた地域にたくさんの遺跡が隠れており、どうやらこの地にはかつて100万人以上もの人々が暮らしていたらしいことがわかってきた。まさに今、世界のあちこちで歴史が書き換えられようとしているのである。
具体的にどのように衛星画像を分析するのか。ごく基本的なものに「クロップマーク」(作物痕)がある。地中に何かが埋まっていると、そこだけ作物の成長が早くなったり遅くなったりする。この植生の違いが遺構のありかを教えてくれるというわけだ。また、自然界では直線はめったにできない。四角形がいくつもつながっているように見える場所には、古代の住居跡が埋まっている可能性がある。
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