乳がんの中には、遺伝性のものがあることが、よく知られている。遺伝が原因となるのは、乳がん全体の5~10%程度。最も多いのがBRCA1、BRCA2という2つの遺伝子変異が原因で起こる「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」だ。
HBOCの人は、「卵巣がんも発症しやすい」「乳がんは45歳以上に多いが30代の若いうちに発症しやすい」「両側の乳房に発症しやすい」といった特徴があり、血縁関係が近い人の中に乳がんや卵巣がんになった人がいると遺伝性の可能性は高くなる。
HBOCは、血液検査で遺伝子変異を調べることでわかる。自分や家族の発症リスクを予測でき、部分切除が可能であっても全摘を選択するなど、治療の選択にも関わる。
HBOCを調べる検査に今年4月から保険が適用されるようになった。
保険の対象は、「①45歳以下の発症②60歳以下のトリプルネガティブ乳がん③2個以上の原発乳がん発症④第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる⑤男性乳がん」のいずれかに該当する乳がん、卵巣がん患者だ。
さらにHBOCと診断された人は、乳房や卵管卵巣を予防的に切除する手術にも保険が適用されるようになった。
「がんの発症リスクが高い未発症の臓器も保険で治療できるようになったのは、大きな進歩」(明石教授)
抗がん剤はホルモン剤に比べて副作用が出やすい。サブタイプがホルモン受容体陽性のルミナール型の場合、ホルモン剤に抗がん剤を追加するかどうか迷うケースがある。その場合に判断の決め手となるのが、「多遺伝子検査」だ。検査の結果、再発リスクが高いことがわかれば、抗がん剤を追加する。医療費削減の面からも利点は大きい。
しかし検査は自費のため約20万~45万円かかる。「本人が納得して抗がん剤治療を受けられるので、精神面のメリットも大きい。多遺伝子検査も近い将来、保険適用されることが期待されている」(明石教授)。






















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