東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #経済学者が読み解く現代社会のリアル

今年度ノーベル経済学賞、実践的研究を高く評価 ランダム化比較試験により具体的な政策提言が可能に

6分で読める 会員登録で読める
  • 中室 牧子 慶応義塾大学総合政策学部教授

INDEX

10月14日、スウェーデン王立科学アカデミーは2019年度のノーベル経済学賞を、米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授のアビジット・バナジーおよびエステル・デュフロ、米ハーバード大学教授のマイケル・クレマーの3氏に授与すると発表した。

バナジーとデュフロは、ベストセラー『貧乏人の経済学』(みすず書房)の著者として知られる。開発経済学の分野で顕著な研究業績がある3氏だが、彼らの貢献はもはや学術研究の世界だけにとどまらない。開発途上国における政策形成に甚大な影響を与え、そのあり方を変えたのだ。

アカデミーは、授賞理由を「世界的な貧困問題を緩和するための実験的アプローチに対して」と説明した。ここでいう「実験的アプローチ」とは、専門用語で「ランダム化比較試験」と呼ばれる。被験者を、介入を受ける「処置群」と受けない「対照群」にランダムに割り当て、処置群と対照群の平均的な成果を比較する方法である。

医療分野では治験など臨床試験において比較的古くから用いられてきた。彼らはこのランダム化比較試験を、社会政策の効果を明らかにすることに取り入れたのだ。そしてアカデミーが評したように「たった20年の間に開発経済学を変貌させた」のである。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象