──病院数が多いことによる弊害はありますか。
症例が分散して各病院の症例数が少なくなることだ。その結果、医療の質にばらつきが出ている。
私が米国のメイヨークリニックと行った共同研究で、膝(しつ)関節置換術(ひざに人工の関節を入れる手術)の症例数を分析したところ、日本は年間50症例以下の病院が多かった。米国では執刀医1人当たり少なくとも50症例以上なければ質は担保できないといわれているため、この数字は少なすぎる。さらに症例数が少ないほど、手術後の合併症が多いなどアウトカム(成果)が悪いこともわかった。
また米スタンフォード大学との共同研究では、すい臓や心臓など5つの手術の死亡率や合併症発生率で日米間の比較を行った。すると、日本のほうがすべての手術で変動係数(ばらつきを表す数値)が高いという結果になった。
──日本は手術の質の格差が大きいということでしょうか?
そのとおりだ。決して日本のほうが手術の質が悪いという意味ではないが、質のばらつきが大きいということだ。
日本の医療をよくするためには、病院産業の再構築が必要だ。過剰な病院数への対策を取らなければいけない。病院間の足並みをそろえて落ちこぼれを出さないような護送船団方式のままでは、結果として全員玉砕になる。かつての造船業や繊維産業がどのようになったか。衰退産業へのアプローチの仕方が重要だ。病院産業だけを特別扱いするのではなく、過去の産業政策の実例と経験から学ぶべきだ。
──病院産業を再構築するには何が必要でしょうか?
この記事は有料会員限定です
残り 733文字
