2月に東京で3公演、大阪で1公演を予定するテオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ。
1972年ギリシャ生まれのクルレンツィスは、ロシアのサンクトペテルブルク音楽院で指揮を学び、自ら組織した精鋭管弦楽団ムジカエテルナとムジカエテルナ合唱団を率いてクラシック界に新風を吹き込んでいる風雲児だ。
世界各地で称賛されているそのレパートリーは、フランスバロックのラモーやモーツァルトのオペラにレクイエム、そしてベートーヴェンにチャイコフスキー&マーラーなどと幅広い。
しかもそれら聴き慣れた名作の数々が、彼の指揮を通して目を見張るほど新鮮な姿となって再現されるのだから、世界中の音楽ファンが魅了されるのも納得だ。まさに「誰にでもわかるすごさ」の意味を実感させてくれる存在なのだ。
さて、このムジカエテルナの公演チラシに大きく書かれた「別格」の文字を見た瞬間に頭をよぎったのは、かつて一世を風靡したマウリツィオ・ポリーニの『ショパン:12の練習曲 作品10/作品25』アルバムだ。
当時高校生だった自分に強烈な衝撃を与えたこのアルバムの帯に書かれていたのは「この上に何をお望みですか」というキャッチコピー。これは提供する側によほどの自信がなければまず書けないコメントだ。このアルバムは、そのコメントどおり今もクラシック史上に残る大名盤として多くのファンに愛されている。
同じようにコピーが印象的だったのが、マルタ・アルゲリッチとキリル・コンドラシンの共演で行われた、チャイコフスキー『ピアノ協奏曲第1番』の強烈極まりないライブ録音だ。このアルバムの帯に「その時ピアノは火を吹いた」と書いてあったことは忘れられない。「まさにまさに!」とひざを打つような熱演だからこそ、この大げさともいえるキャッチコピーを使えたのだろう。
前置きが長くなったが、クルレンツィスの「別格」ぶりには、異論を唱える余地がない。
この数年の活躍を知るファンにとっては、最も来日が望まれてきた指揮者とそのアンサンブルなのだ。彼らの“すごさ”を体験するのにお薦めなのが、チャイコフスキーの交響曲第6番『悲愴』だ。2017年度のレコード・アカデミー賞大賞に輝いた名盤だ。
またコンサバティブなクラシックのイメージを払拭するような容姿もスター性十分。新たな伝説の誕生に期待したい。
ポリーニやアルゲリッチがそうであったように、クルレンツィスの「別格」を体験すれば、いつかきっと自慢になるに違いない。






















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