厳しい経営環境が続く中、銀行はフィンテックに活路を見いだしている。
IDCジャパンによれば、2017年の国内金融機関のフィンテック投資は増加しており、22年には500億円を突破する見込みだ。

銀行にとってのフィンテックの重要性は人事にも表れる。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は18年12月、19年4月付で太田純副社長が社長に昇格する人事を発表した。
同氏は17年4月から、銀行のデジタル化を推進するITイノベーション推進部やデータマネジメント部を統括してきた。國部毅社長は「これからの金融グループに最も影響を持つのはデジタライゼーション。これをどう取り込めるかで優劣が決まる」と、その重要性を強調した。
銀行とデジタルの相性はいい。課題の業務効率化や、新たな稼ぎ頭となる新規サービスにつながる。業務効率化では、これまで人が行っていた業務をAI(人工知能)などで代替する。
三井住友FGが提供する「ポラリファイ」はオンライン上の生体認証サービスで、指紋や声の情報を基に本人確認を行う。店舗に足を運ぶことなく、ネット上でサービスを完結でき、コスト削減が可能だ。このサービスは日本生命保険など外部企業でも採用されている。
新規サービスも次々に誕生している。
みずほ銀行がソフトバンクとの合弁で設立した「J.Score(ジェイスコア)」は、AIで個人の信用力をスコアリングし融資するサービスを提供する。年齢や年収だけでなく、性格や好みといった情報を加味し、より個人に合わせた融資条件を提示できる。
三菱UFJFGは、ブロックチェーンを応用した仮想通貨「coin(コイン)」を開発している。1コイン=1円に価値が固定され、1円未満の決済であるマイクロペイメントにも使用可能だ。
「情報銀行」で巨大IT企業に対抗
「銀行=おカネ」から離れたサービスも出てきた。対象となるのは“情報”だ。
EU(欧州連合)がGDPR(一般データ保護規則)を導入するなど、個人情報の管理に注目が集まっている。無料で情報を吸い上げる米グーグルなどの巨大IT企業から情報を個人の手に取り戻し、それを運用する「情報銀行」が求められている。
三菱UFJ信託銀行は、行動履歴や金融情報などのデータを自社のアプリで収集し、個人の同意の下で企業に提供する情報信託サービス「DPRIME」を19年中に提供予定だ。
三菱UFJFGや三井住友FGはITの見本市「CEATEC(シーテック)」にも出展し、フィンテックへの取り組みをアピールした。銀行外からの意見やニーズも取り入れる狙いだ。
銀行にとって今後の競争力の源泉となるフィンテック。早々に優劣の差も出てきそうだ。






















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