INDEX
ニューヨークでは今、アマゾンへの風当たりが強まっている。11月13日、同社は50億ドルを投じ、第2本社をニューヨーク市クイーンズ区ロングアイランドシティ(LIC)とバージニア州北部アーリントンのナショナルランディング地区に建設することを決定した。
物議を醸しているのは、その条件だ。アマゾンは平均年収15万ドルの雇用を5万人以上生み出すのと引き換えに、ニューヨーク州から約15.2億ドルの税額控除・補助金、バージニア州から5.7億ドルのインセンティブを受け取ると報じられたのだ。翌日には早くもLICで、反対派のデモが開かれた。地元政治家からも反発が起こっている。

建設が格差拡大を助長?
第2本社の2つの建設予定地は、いずれも東海岸。特にLICは急速にジェントリフィケーション(再開発による高級化)が進められている地域だ。
「(アマゾンの誘致で)ジェントリフィケーションが進み、格差拡大を招く」。そう懸念するのは、LICにあるニューヨーク市立大学傘下のラガーディア・コミュニティカレッジで教えるフィリップ・スタブラウスキ社会学部准教授だ。
11月28日、スタブラウスキ氏は同僚を補佐して第2本社建設をめぐる討論会を開いた。登壇者の1人であるジャーナリストのダグ・ヘンウッド氏は、約40年にわたってニューヨーク市の変遷をつぶさに見てきたが、「近年の建設ラッシュと住宅価格上昇は常軌を逸している」と話す。LICを含むクイーンズ区のハンターズポイントは、市当局が長年、不動産業界とともに再開発を画策してきた地区で、ヘンウッド氏は「さらなる値上がりを期待して買いに走るのが人間の本能だ」とバブルの萌芽に危機感を示す。
ウォールストリート・ジャーナル紙(11月20日付)によると、すでにアマゾンの社員数人がLICの住宅を購入。そのうち2人は、本社建設が報じられる前に動いたという。「不動産売買はインサイダー取引の対象外」(ブルックリン・ロースクールのデービッド・ライス法律学教授)だが、「インサイダージェントリフィケーション」と批判する報道もある。
この記事は有料会員限定です
残り 646文字
