経団連の中西宏明会長が、企業の採用指針の廃止とともに問題提起したのが、新卒一括採用や終身雇用に代表される日本型の雇用慣行だった。それを受けて、個人のキャリア意識が高まりにくい日本型雇用を見直すべきとの声も高まっている。一方で、経営の合理性という視点から日本型雇用の意義を説くのが、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏だ。経団連の指針見直しと日本型雇用の展望を聞いた。
企業の採用活動のルールは、産業界と教育界とでどうしても主張が異なる。産業界が自由化を叫んでも、学業への影響を懸念する教育界からは慎重な意見が出る。
では産業界が主張するように採用自由化に傾くとどうなるか。実際に1997〜2002年に採用活動が完全自由化された時期があった。当時、大学2年生の春休みに松下電器産業(現パナソニック)が採用直結型インターンシップを実施。それに対抗し、採用力の乏しい外資系やベンチャー企業は2年生の冬休みに採用活動を前倒しした。これは学業阻害というより学業破壊の状態。放っておくと、このように弱肉強食の世界でみんな血みどろになる。だからルールが必要。そもそも就活ルールは1928年に誕生して以来90年間、見直しが繰り返されてきた。今回の話もその延長線上にすぎない。
2010年まで4月開始だった採用面接のスケジュールがその後、後ろ倒しされたのは、大学の就職問題懇談会と安倍政権が学業や留学率低下への影響を懸念したため。経団連は「後ろ倒しにしたら、守る企業が減る」と主張したが、両者の圧力に押された。それに懲りて、「もう旗振り役は嫌」というのが経団連の本音だろう。
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