「特定の業界というより、あらゆる業界で不足している」。転職情報サービス会社、ビズリーチの酒井哲也事業本部長がそう語るのは、デジタル技術に精通したIT人材のことだ。小中高のプログラミング教育に注目が集まるのも、こうした産業界のIT人材不足が背景にある。
IT人材不足の要因の1つは、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ、AI(人工知能)といった新分野に明るい人材の需要増。今やどの業界でも、このトレンドは無視できない。酒井氏によると、もともと金融などサービス業を中心に不足していたIT人材は、ここに来て自動車をはじめとする製造業でも急速にニーズが高まっている。さらに昨今は、「社内業務改善のためのエンジニアのニーズも強い」(酒井氏)という。
経済産業省の調査によると、国内のIT人材は2015年に約17万人不足していたが、2030年には最大79万人に不足数が広がる見込みだ。

最高年収1億円で募集
社内で育成できる人材が限られる中、各社が渇望しているのは即戦力人材。ハイスペックな中途採用社員の年収はうなぎ上りだ。
「求む天才」──。ファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイは4月、AIなど先端技術に詳しい人材をグループ会社で、最高年収1億円で採用すると発表した。同社の前澤友作社長は「1億円かどうかは秘密だが、すでに数名採用している」と明かす。「彼らはプロフェッショナルな領域とオタク的な領域を持ち合わせている。異なる領域を掛け合わせれば、誰も見たことのないようなものが生まれるはず」(前澤氏)と期待を寄せる。
年収だけではない。各社は支給するパソコンの性能や、どれだけ柔軟な勤務スタイルが可能かなど、中途採用の条件のよさを競い合っている。
新卒採用も活況だ。これまで初任給は社内で横並びなのが一般的だったが、その常識が変わりつつある。
フリマアプリ最大手のメルカリは4月、新入社員向けに新人事制度「メルグラッズ」を導入。特徴は初任給を一律とせず、能力や経験、アウトプットに応じて差をつけたことだ。
メルカリの米国版サービスの開発を手掛ける毛利竹宏氏も同制度を利用して入社した1人。米国に住んでいた小学4年時にプログラミングを始め、大学時代には1年間休学し、ネパールでプログラミング教育に携わった。
「実際にソフトウエアを作った経験を評価してもらえたことが、メルカリを選んだ理由の1つ」と語る。今やこうして期待を一身に集めるIT人材。引く手あまたの状況は、今後しばらく続きそうだ。





















