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JR東日本と革マル派 30年以上の「蜜月関係」

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約7500キロメートルの線路網を有し、1日約1750万人が利用する世界最大級の公共交通機関、JR東日本。その最大労組であるJR東労組に、極左セクトである「革マル派」が浸透し、労組に強い影響力を有している──という事実は、あまり知られていない。

革マル派は1963年の結成以来、「反帝国主義、反スターリン主義」を掲げ、共産主義の実現のために暴力革命を目指す集団だ。

警察庁によると2018年1月時点で約5500人の同盟員を擁し、党派性を隠して基幹産業に浸透し、組織拡大を図っているとされる。非公然部隊も持ち、対立セクトや警察に対し住居侵入や窃盗、盗聴などの違法な調査活動も行う、秘匿性、排他性の強い集団だ。

その革マル派で、創設者である故・黒田寛一議長(06年死去)に次ぐ、副議長の地位にあったのが故・松崎明氏(10年死去)だった。松崎氏は55年に国鉄入り。61年に機関士(運転士)の組合「国鉄動力車労働組合」(動労)の初代青年部長に就任した。

JR東労組委員長だった松崎明氏(Kodansha/アフロ)

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動労は、「マル生反対闘争」(69~71年に国鉄当局が推進した「生産性向上運動」をめぐる労使紛争)や「スト権スト」(75年、公共企業体だった国鉄労働者に認められていなかったスト権を要求して行われたスト)などの闘争を指揮し、その先鋭的な姿勢から「鬼の動労」と呼ばれた。

最大組合のドンとして経営にも影響力

しかし、国鉄分割民営化前年の86年、動労委員長だった松崎氏は組織の生き残りのため、それまでの「分割民営化反対」から「賛成」に転じ、激しく敵対してきた鉄道労働組合(鉄労)と和解し、JR東労組やその上部団体である「JR総連」(全日本鉄道労働組合総連合会)を結成した。民営化後はJR東労組の委員長を務めるとともに、JR総連の副委員長に就くことで、JR各社に影響力を持った。

以降、革マル派はJR東日本をはじめ、JR各社の労組(特に、JR北海道とJR貨物)に浸透していくのだが、それが初めて明らかになったのが、96年、警視庁公安部による革マル派の非公然アジト「綾瀬アジト」(東京・足立区)の摘発だった。

アジトから押収された約1400点の内部資料を分析した結果、革マル派内部に「JR委員会」というセクションが存在することが判明。JR委員会には、JR各社の労組を指導する革マル派の組合活動家を集めて作られた「マングローブ」という秘密組織のメンバー約150人が所属していることもわかった。

警視庁公安部は後に、そのうち約100人を特定したが、全員がJR総連、同傘下単組の関係者で、うち6割がJR東労組の幹部や組合専従役員、組合員で占められていた。

それからさらに5年後の01年、漆間巌・警察庁警備局長(当時。後に警察庁長官)は衆議院国土交通委員会で、JR内部にこれら革マル派の秘密組織が存在することを初めて公式に認め、こう答弁した。

「JR総連、東労組内において、影響力を行使できうる立場に革マル派系の労働者がそうとう浸透しているとみている」

しかし、警察庁が公式に認めた後も、この「JR革マル派問題」はJR東日本をはじめ、政府やマスコミに事実上、放置されてきた。

この間、「労使協調」の美名の下、松崎氏とJR東日本経営陣との労使癒着は、明らかにJR東労組の意向を反映した人事異動や、ほかの労組組合員の昇格の遅れなど、組合による人事権への介入を招いた。

またJR東労組の方針に従わなかった組合員が、ほかの組合員から集団でいじめを受けているにもかかわらず、現場の管理者が見て見ぬふりをする事案もたびたび発生し、一部は刑事事件にまで発展した。

JR東日本の労使双方には、民営化後30年余り続いた癒着の歴史があったのだ。

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