五輪エンブレム騒動、若手女子社員過労自殺、さらに……。今、広告代理店に逆風が吹いている。ネット上には、虚実入り交じった悪評が連日書き込まれる。なぜか。
“忠義”を尽くす電通 ビジネス優先の博報堂
──広告代理店は「ぬえ」的存在なのですか。
一般企業でもなければメディアでもない。基本的にはコミュニケーションにまつわることをすべてやる。クライアントとの「情報の非対称」を利用して、特に電通、博報堂は高収益を上げ、社員は高い給料を得ている。にもかかわらず、仕事内容をはっきり開示せず業務を進めてきた。だから正体がわかりにくい。
──とかく陰謀の主役説があります。
実態としては「何でも屋」だ。得体の知れない存在ではなくて、客の申し出に対し「はい、喜んで」と何でも受ける。社員は単なる「モーレツサラリーマンの社畜」であり、それだけの存在でしかない。
──名は体を表さずの組織ですか。
組織名はよくわからないカタカナやナンバー表示だったりする。たとえば今のように話題の動画を作りたいというニーズが膨らめば、部署は増えていく。電通はテレビや新聞に強い。博報堂は伝統的に出版広告が得意。出版社の宣伝部と仕事をする出版営業局、これはわかりやすい。ところがある時期に公共ニーズが増え、ある県の役所を担当する部署が第13局として分化した。そのセクションも時代とともに名前は「テーマ何とか局」に変わる。こうして日々姿を変えながら、客の要望に応えていく。このやり方を続けている。
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