サウジアラビアは国家歳入の8割を石油収入に依存する「石油依存型経済」である。国民は所得税もなくさまざまなサービスを無料や安価で享受している。その石油依存からの脱却を目指そうと指導力を発揮しているのが、現在「サウジ最強の政治家」と目されるムハンマド副皇太子だ。2017年にかけても注目の人物である。
副皇太子は画期的な構造改革に取り組む意向を明らかにし、16年4月以降、断続的に「サウジアラビア・ビジョン2030」、そしてその前段階ともいえる20年までの「国家変容計画」を発表していった。
ただ、30年に政府の非石油収入を6倍超にするなどの数値目標が野心的であり、ビジョン作成に米コンサルティング会社マッキンゼーがかかわったとされていることから「マッキンゼー・ビジョン」だと揶揄される始末。ここからもわかるとおり、このビジョンは米国流のトップダウンの改革だ。補助金削減や付加価値税から始まる税金の導入といった、国民負担の増加につながる策が含まれるなど、サウジの国内情勢を踏まえているとも考えづらい。
大胆な構造改革なだけに、実行にはそれなりの原資が必要となる。しかし、油価低迷で財政状況は逼迫している。起死回生の策として出されたのが、総資産2兆㌦ともいわれる国営石油会社サウジアラムコのIPO(株式新規公開)である。
上場する株式の比率は5%以下とされるが、それでも1000億ドル規模だ。これを原資に投資国家へ変貌する目算である。だがこのIPOを市場で吸収できるかわからないし、アラムコの資産価値を維持するためにも石油を売り続けなければならない。脱石油依存のために、石油に依存しなければならないのは皮肉な話である。
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