「大統領になったら、カーペットボム(無差別攻撃)で『イスラム国』(IS)を忘却の彼方に葬ってやる」 2015年12月5日、共和党のテッド・クルーズ上院議員は、大統領選挙の重要州アイオワで開かれた保守派活動家の集会で、こうブチ上げた。
同候補は、草の根保守系運動「ティーパーティ(茶会)」の支援を受けた共和党最右翼。昨年11月のパリ同時多発テロなどを受け、国防が重要論点として浮上すると支持率が急上昇し、有力候補として頭角を現した。
ISへの空爆強化とイランとの核合意撤廃を声高に訴えるクルーズ氏に対し、民主党候補指名争いの有力候補ヒラリー・クリントン前国務長官は「大言壮語」と揶揄する。ただ、クルーズ氏の指摘どおり、IS増長の裏にはオバマ政権によるシリア政策の迷走がある。
「シリア介入はイラク戦争の二の舞いを招くと、オバマ大統領は案じたのだろう。世界の『警察官』だったブッシュ前大統領によるイラク戦争の後遺症だ」と、中東政治を専門とするデンバー大学のネーダー・ハシェミ准教授は言う。オバマ大統領はアサド政権の戦争犯罪や難民危機を黙殺し、シリアにはリスクを冒してまで守るべき国益がないと考えていた。だが、IS信奉者だったといわれる米国人が起こした12月2日のカリフォルニア鋭乱射事件など、ISの影響は国内にも及んでいる。
クリントン氏はオバマ路線を踏襲しつつ、「米国がISとの戦いを主導すべき」と強調。同盟国との協調による空爆拡大、現地反体制派の支援を行う米特殊部隊の増派などを打ち出した。
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