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果てなき両者の攻防 大塚家具、総会終わる

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3月27日の総会後の会見に臨む久美子氏。総会には例年の10倍もの株主が参加した(左上)。

経営権をめぐり、創業者で父親の大塚勝久会長(71)と長女の大塚久美子社長(47)が争った、大塚家具の“お家騒動”。親子で前代未聞の委任状争奪戦に発展した3月27日の株主総会で、軍配は久美子氏に上がった。

結果は、久美子氏ら10人を取締役とする会社提案が、議決権を行使された株式のうち、61%の賛成を獲得。片や勝久氏の株主提案は36%にとどまった。総会後の取締役会で、久美子氏の社長兼営業本部長、二男・雅之氏の取締役営業副本部長への就任などが決まる一方、敗れた勝久氏は同日付で会長を退任した。

勝久氏側の関係者によると、想定していたシナリオは55%対45%での勝利だったという。“誤算”は大株主の機関投資家や金融機関を十分取り込めなかったことだ。

「日本生命、東京海上日動火災、三井住友銀行がポイント。そこを崩せなかった」。総会が終わった後、この関係者は肩を落とした。3社合計の議決権数比率は約16%に上る。日生と東京海上は久美子氏に「賛成」し、三井住友などメガバンクは「棄権」か「不行使」だったようだ。

勝利した久美子氏は総会後の記者会見で、「大塚家を除く株主から8割の賛成を得た」と胸を張った。が、大株主の動向次第で、結果が逆転していた可能性もあったのだ。勝久氏側は、個人株主、従業員持ち株会とも半数程度の賛同を得ており、取引先もフランスベッドのほか、業界団体からも信任を得た。

一方、久美子氏は、今後に不安材料を残す。

支持を受けた米ブランデス・インベストメント・パートナーズは、10%超持っていた株式を大量売却。さらに、久美子氏が実質支配する資産管理会社ききょう企画(保有比率約10%)も目下、勝久氏と東京地方裁判所で係争中だ。結果次第では、ききょう企画の持つ大塚家具株が勝久氏に移る可能性もある。

実際に勝久氏は大塚家具の社長の座をあきらめていないとみられる。総会後は「まっさらな気持ちで出直します」とコメントを発表した。自身は約18%の株を保有。久美子氏が早期に安定株主を作れなければ、勝久氏側が臨時株主総会の開催や、TOB(株式公開買い付け)の行使など、再び刀を抜きかねない。

久美子氏にとって防衛策となるのは、業績を早期に回復して、株主から信頼を得ること。だが、ブランドイメージは大きく毀損した。足元では客数が落ち込み、前期の赤字転落後、厳しい状況が続く。

対照的に、同業のニトリホールディングスは28期連続増収増益を達成。その差は歴然だ。似鳥昭雄社長は、「(大塚家具は)友人ですから悪い状態から早く挽回してほしい」と、余裕の表情である。

求心力も課題だ。久美子氏は「ノーサイド」を強調。ただ、幹部社員の多くは勝久氏を支持した。ある古参社員は「会長の下で育てられた思いが強く、勝久氏を応援してきた」と悔やむ。理想の経営モデルを掲げても実効性がなければ、絵に描いた餅に終わる。

久美子氏にできる強硬手段としては、増資で勝久氏側の株式持ち分を薄めるか、MBO(経営陣による買収)で非上場化することなども、選択肢となろう。攻防の行方はまだ予断を許さない。

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