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危機から脱したブラジル 5%台の成長持続目指す 【約48兆円のインフラ投資を断行】

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ブラジルにとって、金融危機の影響はすでに過去のものといえそうだ。2009年第4四半期の実質GDP成長率は4.3%増と、3期連続の前年同期比減から脱した。09年通年では0.2%減のマイナス成長となったが、経済を牽引する個人消費は25四半期連続で前年同期比増を維持。10年のGDP成長率は5%台が予想されている。

景気回復の背景として特筆すべきは、政府の経済危機対応策の奏功だ。たとえば08年12月に前年同月比2割近い販売減を記録した自動車について、工業製品税(IPI)の減税を実施、その効果があると見るや白モノ家電など他の耐久消費財にも対象を広げ、期限の延長も複数実施した(09年の自動車販売台数は過去最高の314万台を記録)。また政府は金融機関の貸し出しを維持するため、国内金融機関に対し緊急資金供給を実施、さらにブラジル銀行など公的金融機関の貸し出しも増加させた(図表1)。

[図表1]
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10年1月時点の融資残高を分野別に見ると住宅ローンが前年同月比45%増と伸びが目立つ。これは政府が景気対策として実施した、低所得者向け住宅供給プログラムによるものとみられる。建設業の09年成長率は6.3%減であったが、好況を実感するブラジル建設業会議所が、政府統計に間違いがあるのではないかと指摘したほどだ。

他方、融資残高に占める不良債権比率(90日以上の債務不履行)は09年7月5.9%に達したが、10年1月には5.5%へ低下している。また融資増といっても、国内融資残高はGDP比44.6%にとどまっており、中国の126.2%(08年)、インド64.2%(07年)と比べてまだ水準は低い。

2月訪問したブラジル北部マナウス市では、川沿いのスラムは遊歩道と住宅地に変わり、新しいショッピングセンターが次々と建設されていた。14年ワールドカップに向け、新しいスタジアムの建設工事(マナウスでの建設費用は約250億円)など、今後は国際イベントに向けた建設特需も見込まれる。

政府は3月29日に、11~14年にかけて総額9589億レアル(約48兆円)に及ぶ経済成長促進プログラム第2弾(PAC2)を発表した。PACはブラジル経済の持続的な成長に向けたインフラ投資促進を図るもので、07~10年も総額6380億レアル(約32兆円)規模で実施している。これまでも未完了工事が多く、今年10月の大統領選挙をにらんだ与党の人気取りとの批判もあるが、政府はプログラム期間中、年5.5%の成長持続を打ち出した。

PAC2を発表するルーラ大統領。今後の経済運営に自信を見せた(Copyright AFP)

ブラジルでは成長の制約条件として、投資の少なさが挙げられている。09年はGDP比16.7%であるが、これを政府は14年までに21.5%へ引き上げたい考えだ。ただ、そのためには高金利、高税率といった高コスト体質の改善や、インフラ投資に関する制度の枠組み整備なども必要となろう。次期大統領の舵取りが中長期的な成長を左右することになる。

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