落日の旧世代ゲーム、コーエー創業者が復帰
新旧交代に向けた構造変化の荒波がゲーム市場に押し寄せている──。
ゲームソフト中堅のコーエーテクモホールディングス(2009年にコーエーとテクモが経営統合)は11月8日、取締役最高顧問でコーエー創業者の襟川陽一氏が社長に就任すると発表した。01年の会長退任以来、約10年ぶりの経営第一線への復帰だ。
コーエーは『信長の野望』や『三國志』などヒット作を数々生み出した、歴史シミュレーションゲームの草分け的存在だが、今やその面影はない。
記者会見した襟川氏は「業績、株価ともに会社発足以来、最も低迷した状態が続いている。この状態を何とかしたかった」と指摘。シブサワ・コウの別名で自らもゲームプロデューサー・開発者として著名な同氏にとって、居ても立ってもいられなかったことは間違いない。
襟川氏は「時代の変化にうまく対応できなかった」と業績低迷の要因を分析。いつしかゲーム機だけでなく、パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)で人気が高いソーシャル(交流型)ゲームが勃興、コーエーなどが手掛けるパッケージゲームは成長力を失いつつある。矢野経済研究所によると、ソーシャルゲームの09年度の国内市場規模は前年度比7・5倍の338億円。11年度には1171億円と見込まれる。
パッケージメーカーはこれまで「ソーシャルゲームとはユーザー層やゲーム内容が大きく異なる」(業界大手)と危機感が薄く、本格展開への動きは緩慢だった。加えて「ソーシャルゲームのビジネスモデルや収益性はまだわからない」(同)と疑問視する声も多い。ソーシャルゲームは基本的に無料。ゲームを進める中でアイテムに課金して収益を得る仕組みで、従来型とは異なるからだ。