─小売りトップが語る。
消費者に選ばれる店舗経営の最新事例─
10月に東京で開かれた「オムニチャネルカンファレンス2014」は、この問題に対する注目度の高さを物語るように400人の参加者があり、満員の盛況ぶりであった。
【協賛】 日本マイクロソフト、レノボ・ジャパン、ロイヤルゲート、エプソン販売、
GMOペイメントゲートウェイ、インテル
【メディア協賛】 東洋経済新報社
基調講演
無印良品は仕組みが9割
国内外に約680の店舗を展開する無印良品は、ネットの売り上げが全体の約7%、130億円に達している。1990年代、順調に成長をしていた同社は、99年をピークに売り上げ、利益ともに急降下。その原因について松井氏は「ブランドの弱体化が最大要因」と分析し、この挫折を克服した方法を中心に講演を行った。それによると同社は、仕組み化、見える化、風土作りを基本に改革を推進。出店基準を明確にして失敗しない仕組みを作り、出店の9割を成功させてきた。また13冊2000ページに及ぶマニュアルを作成して、業務の標準化と見える化を実現。松井氏は「社風を変えるのはそれほど難しいことではなく、やり続けることと徹底することが大事だ」と指摘。そして販管費の削減、人事の全体最適なども実現して、再び成長軌道に乗せることに成功したと明かした。
導入公開事例セッション
クライアント事例から導き出す
マトリックス×クライアント インタビュー
オムニチャネル化がなかなか進まないのはなぜか?―― 真田氏はそんな問いかけから講演を始めた。組織と評価制度の改革に踏み出せない企業が多いことが最大の理由だと指摘したうえで、丸善&ジュンク堂書店のネット事業を担う工藤淳也氏と、ハードオフコーポレーションの山本太郎常務取締役に対するインタビュー動画も交える形で話を展開。丸善&ジュンク堂書店は、ネットと店舗の双方を意識した評価制度を作ったこと、ハードオフコーポレーションは店舗の強みを生かすネットを構築したこと、フェアな評価制度を導入したことなどをポイントに挙げた。そのうえで、全体に影響を与える人物をアテンドする、組織・人事評価制度を改革する、コンセプトを明確にする、組織改革などを仕組みに落とし込むことなどが重要だと提起した。
特別講演
オムニチャネル最前線
~ネットとリアル店舗融合の現状と今後の展開~
オムニチャネルもO2Oも本格期に入ったとする松浦氏は、ネットとリアルのあらゆる販売経路を統合し、顧客の満足度と利便性を高めるのがオムニチャネル戦略だと定義。スマートフォンやソーシャルメディアを日常的に使いこなす新しい消費者が台頭し、消費行動も変化してきていると指摘した。そしてオムニチャネル戦略とは、ECへの対抗策であり、究極の囲い込み・CRM戦略であるとし、消費者目線と企業目線の両方が必要だとした。さらにネット上での店頭在庫確認や店頭取り置き予約といった消費者への「新しいおもてなし」が必要だと語り、チャネル横断型のシステム統合をするためのシステム投資、店舗運用の強化・店員のIT武装などを課題として挙げた。そのうえで今後はモバイル決済の進化、マーケティングオートメーションなどが進んでいくと予見した。