「脱炭素社会実現」のヒントがエプソンの施設に 丸の内と赤坂のショールームで企業との共創を

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新しくオープンする「エプソンクリエイティブスクエア赤坂」のイメージ
プリンターやプロジェクターで知られるエプソンは、培ってきた技術力を社会課題解決のためのイノベーションに役立てたいと、2022年3月24日、丸の内と赤坂にショールームをオープンさせる(丸の内はリニューアルオープン)。商品の体験だけでなく、お客様の社会課題解決に向けた、環境への取り組みを披露する場としての役割を果たす。多種多様な企業やクリエイターとの共創の場として、展示やイベントも充実させていく。ショールーム新設の背景を、2人のキーマンに聞いた。

お客様やパートナーと共に社会課題解決を目指す

有楽町駅からすぐの場所にある「エプソンスクエア丸の内」は、2019年にオープンしたショールームだ。エプソンの最新商品やソリューションの体験ができる場所としての役割を担っていた。

今回のリニューアルで特筆すべきは、エプソンの技術・商品・サービスを通じて、環境を中心とした社会課題解決に向けての取り組みを体験・体感できる「イノベーションエリア」が新設された点だ。

さらに、課題解決のためには、企業との「共創」も重要だと同社は考える。そのため、企業からのアイデアの実現をサポートし共創を加速させるべく、窓口として「コラボレーションコーディネーター」が常駐するという。

リニューアルオープンする「エプソンスクエア丸の内」の外観イメージ

具体的な展示内容について、「エプソンスクエア丸の内」の立ち上げに携わったマーケティング企画推進部の佐藤拓郎氏はこう話す。

「新設するイノベーションエリアでは、エプソンの商品を導入することによる課題解決のご提案に加え、商品や要素技術をお客様のサービスや製造プロセスに組み込むことによる社会課題解決のアイデアをご提案いたします」(佐藤氏)

エプソン販売
マーケティング企画推進部
佐藤拓郎

例えば、「ワーク&ライフスタイルゾーン」では、ニューノーマルな働き方における、ペーパーレス推進やコミュニケーションの活性化につながる商品の利用提案や、家庭における学習の質を向上させる取り組みを紹介している。

また、「エンジニアリングゾーン」では、環境に配慮した柔軟な製造プロセスについて、ロボットや射出成形機の技術紹介に加え、インクジェットテクノロジーやドライファイバーテクノロジーを用いて革新する事例やアイデアを紹介。プリントヘッドやその成果物も展示する。

同社のプリントヘッドは必要な分のインクを正確に吐出できるので、「材料効率のよい製造プロセスを構築したい」「無駄を省いて環境負荷を抑えたい」という課題を抱えているエレクトロニクス分野やバイオテクノロジー分野の企業などとの共創を想定しているという。

インクジェットテクノロジーの展示例。このサンプルは、金属のインクが使用されている
プリントヘッドはインクの性質や用途に対応する幅広いラインナップが用意されている

「実物や映像などで具体的な活用事例を可視化しているため、文字情報だけでは理解しにくい技術情報を感覚的に捉えられます。社会課題解決に向けたアイデアや取り組みについてのお悩みなどありましたら、気軽に丸の内にお立ち寄りいただき、ご相談ください。

また、リアルな場だけでなく、オンラインのセミナーも充実させる予定です。より多くのパートナー様とのつながりを強化できればと考えています」(佐藤氏)

「エプソンスクエア丸の内」の詳細はこちら(3/24に更新予定)

「まだ見ぬ」アイデアを企業やクリエイターと

赤坂駅と溜池山王駅から程近い「エプソンクリエイティブスクエア赤坂」は、新規オープンとなるショールーム。

屋内外のサイネージ、グッズ制作、ファブリックへの捺染(なっせん)に使われる商業・産業用プリンターを中心に展示する。商品のほぼすべてを取りそろえており、水性顔料、エコソルベント、レジン、UV、ガーメント、昇華転写などさまざまなインク種を搭載したプリンターを一堂に集めて展示している。

商品を見られるだけでなく、ビジネスにおける新たなアイデア発見の場であり、クリエイティブな発想を喚起する体験の場でもあるという。

「すでに大判プリンターを用いてビジネスをされている、印刷業、サイン&ディスプレイ業、グッズ製造業の方々のみならず、クリエイターや学生の方にもぜひ足を運んでいただけるとうれしいです」

そう話すのは、赤坂ショールームの立ち上げを担当した商業機器営業推進課の阿久澤亜実氏。

エプソン販売
商業機器営業推進課
阿久澤亜実

エプソンの商業・産業用プリンターでは、屋外のサインボード、また壁紙などの内装材、オリジナルマスクやTシャツなどさまざまなファブリックアイテムを制作することが可能だという。

環境に配慮した装飾提案をしていきたいサイン&ディスプレイ業の関係者だけでなく、プリンターを活用した作品作りを検討しているクリエイターにも体感してほしいというのが、赤坂ショールームの狙いだ。

また、ここは同社が取り組む「お客様の事業の環境負荷低減」について発信する場所でもある。

「大阪の梅田にある百貨店・阪急うめだ本店様と共創し、プリント物とプロジェクションを活用した魅力的な装飾演出を実現しながら、廃棄物量を削減した実例があります。赤坂ショールームでは、このような実例を中心に、サイン&ディスプレイ業や、小売業の方々などへ店舗装飾・イベント装飾をご提案していきます」(阿久澤氏)

廃棄の問題といえば、ファッション業界が想起されるだろう。サンプルや売れ残りなど、大量の衣服の廃棄が問題になっているが、それを解決しうる「デジタル捺染技術」も、赤坂のショールームで紹介される。

「捺染」とは、布地にプリントを行う技術のこと。デジタル捺染技術は、データから直接印刷できるため、需要変動に合わせた生産が可能。必要なものを、必要なときに、必要な分だけ作ることで、売れ残りや廃棄ロスの削減につながるのだ。

「ファブリックマテリアルメーカーをはじめとするパートナー企業様や、売り場やお店を持つ小売り・飲食店様、クリエイターの皆様など、『課題はあるが具体的な取り組みが思いつかない』『刺激となるアイデアが欲しい』と考える方にぜひ、訪れていただきたいです」(阿久澤氏)

赤坂ショールームでは、空間そのもので「環境負荷の低減」を体現するべく、内装材や家具はサステナブルなものを使用している点も見どころだ。産業廃棄物から生まれた壁材にUVインク搭載のプリンターで壁装飾を施し、商談テーブルには海洋プラスチックで作られた天板をあしらっている。

「エプソンクリエイティブスクエア赤坂」の詳細はこちら(3/24に更新予定)

ショールーム新設の背景にある
エプソンの長期ビジョン「Epson 25 Renewed」

「エプソンとコラボレーションすることで環境問題などの社会課題を解決できるかもしれない」――丸の内と赤坂のショールームは、訪れる人にそう感じてもらえるきっかけの場にしたいと佐藤氏は語る。エプソンがここまで環境問題にこだわっているのは、確固とした理念があるからだ。

エプソンは、1942年、自然に恵まれた信州諏訪地方で創業して以来、自然環境を敬う姿勢を企業風土として根付かせてきた。公害問題が取り沙汰された1970年代には、法律や条例の規制値よりも厳しい社内環境自主基準を設定。また、1988年、世界に先駆けて「フロンレス宣言」を発表し、1993年に達成するといった歴史からも、環境保全の信念がうかがい知れる。

また、「環境ビジョン2050」では、2050年に「カーボンマイナス」と「地下資源(原油・金属などの枯渇性資源)消費ゼロ」を目標としている。取り組む領域は多岐にわたるが、達成に向けて、脱炭素、資源循環、環境配慮型の商品・サービスの提供、環境技術の開発を推進することを示し、実行に移している。

そして2021年、エプソンは「持続可能でこころ豊かな社会を実現する」という“ありたい姿”の実現に向けた、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」を発表。「環境負荷の低減」「労働環境の改善」「分散型社会をつなげる」「インフラ・教育・サービスにおける質の向上」「ライフスタイルの多様化」の5つの社会課題を起点に、エプソンの技術・商品・サービスでどう課題を解決し、社会に貢献できるかという発想でビジネスを展開していく。しかし、エプソンだけでは解決しえない社会課題がある。

これまで培ってきた技術をオープンにしたショールームは、企業の垣根を越えてコラボすることで社会課題解決への足がかりにしたいという思いが結実しているといえるだろう。ここからどのような共創が生まれ、それが社会をどう変えていくのか。これからの展開に期待したい。