SUV型のPHEVに力を入れる三菱自動車の狙い エクリプスクロスにパジェロ、ランエボの薫り

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地球温暖化を背景にしてクルマのEV(電気自動車)化が加速している。だが、環境への影響をさまざまな角度から考えたときに、現状でEV一択かといえば、必ずしもそうとは言えない。SUV型のPHEV(プラグインハイブリッドEV)に力を入れる三菱自動車の狙い、エクリプスクロスの走る楽しさとは――。

PHEVは、EVとガソリン車のいいとこ取り

世界規模でのEV(電気自動車)市場の争奪戦が激しさを増している。欧米や中国に対して後れを取っているといわれていた日本だが、2020年10月に政府が「カーボンニュートラル宣言」をしたこともあり、日本でもEV化が加速していきそうだ。しかし、EVというだけでは、カーボンニュートラルとは言えない。使用する電力が化石燃料由来であれば、カーボンニュートラルな乗り物ではないからだ。

というのも製品の一生を考えた際に、部品や素材の製造から製品の使用、破棄に至るまでの環境負荷を考える「ライフサイクルアセスメント」※1で考えるとバッテリー生産時に大量のCO2を排出するためだ。22年現在、日本で最も環境負荷が低いクルマを選び出すのは難しい。

そんな、いわばカーボンニュートラルの時代への過渡期といえる現時点では、1つの選択肢として「プラグインハイブリッドEV(PHEV=Plug-in Hybrid Electric Vehicle)がある」とモータージャーナリストの御堀直嗣氏は指摘する。PHEVとは小型のバッテリーを搭載して短距離ならEVとしても走り、外部充電が可能なハイブリッドカーだ。その中でも、三菱自動車のエクリプスクロスPHEVは魅力的に映る。

「エクリプスクロスPHEVは一晩充電すれば約50キロはCO2を排出しない、EVとして走ることができます。日本だけでなく世界的に見ても、通勤や買い物等で走行する距離は1日当たり50キロ以内といわれていますから、距離としては十分。また自宅に太陽光発電を備えればクリーンな電力のみでクルマに乗ることができます」

とはいえ、これまでのガソリン車に慣れたユーザーの中には、航続距離50キロのバッテリーでは不安という人も多いだろう。その点、PHEVであればガソリンでの走行が可能なため、普段使いで残電力を気にする必要もなければ、遠出で充電設備を下調べする必要もない。EVとガソリン車のいいとこ取りともいえる特性を持つ。さらにエクリプスクロスはEVであると同時に、SUV=Sport Utility Vehicleである点にも注目したい。

御堀 直嗣
モータージャーナリスト
大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい

「SUVはアウトドアを楽しむなど、遠出をしたくなるクルマです。例えば、渓谷でのキャンプや山奥の温泉などにEVで行くのは充電の不安が付きまといますが、PHEVならそんな心配は無用です。現状、SUVに最も適しているのはPHEVかもしれません」

自動車の新車販売台数はこの10年で339万台から280万台へと減少しているが、その中でもSUVは21万台から65万台※2と3倍以上の増加を見せている。自動車業界の中でも「優等生」だ。その時代を見抜いていたかのように、三菱自動車は13年に世界で初めてSUV型のPHEV※3を市場に投入している。

※1 ライフサイクルアセスメント:ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法(国立環境研究所より)
※2 日本自動車販売協会連合会のデータより
※3 アウトランダーPHEV

パジェロ、ランエボの技術を生かした走り

「普段はEV、時々ハイブリッドカー」という今の時代に合ったクルマともいえるPHEV。しかし、エクリプスクロスの場合、魅力はそれだけではない。

「やはり三菱自動車のDNAがしっかりと宿る、走って楽しいクルマだということです。エクリプスクロスPHEVは前後にモーターが1つずつ備えられていて、モーターはエンジンより緻密に、素早く4輪をコントロールできます。ですからエンジン車よりアクセルやステアリングのレスポンスがよく、プログラミング次第で、いかようにも加減速やコーナリングの制御が可能なのです」

この「制御プログラミング」は、気持ちよさといった感性に沿うもので、パソコンを前に設計しているだけでは見えないものだ。

三菱自動車はランサーエボリューションで世界ラリー選手権(WRC)を、パジェロでダカールラリーを席巻した過酷な現場での経験と知識がある。「それも単に参加しただけでなく、幾度も優勝をしてきました。そんな激戦の積み重ねから、20年以上前にクルマの制御技術『AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)』を開発して、ランサーエボリューションに搭載しました。またモーターを制御して走るEVも、世界で初めて量産化に成功したのは三菱自動車のi-MiEVです」。これらの技術や経験がエクリプスクロスPHEVに生かされ、運転時にその力を体感することになる。

「運転すると見た目以上にボディがコンパクトに感じ、まるで小型ハッチバック車を操っているかのような俊敏さがあります。またエクリプスクロスPHEVには4つの走行モードがありますが、モードを切り替えるとスパッと車の性格が変わり、とくにターマック(舗装路)モードではアクセルやハンドル操作への応答がより早くなります。それとともにクルマの制御も変化し、力強くグイグイとクルマを前進させ、カーブでは鋭く切れ込むように曲がっていきます」

しかも、政府がカーボンニュートラルに方向を定めた今なら、補助金の大きな恩恵を受けられる。例えば東京都でエクリプスクロスPHEVを購入したとすると、経済産業省の補助金制度と東京都の補助金制度を併用することで、100万円の補助が受けられる※4自治体からの補助金は地域ごとに異なるためWebサイトで確認するとよいだろう。

この先自動車業界もカーボンニュートラルの世界に向かって進みそうだが、現状のあらゆる状況を踏まえれば、PHEVも優先順位の高い選択肢といえそうだ。その中でも、意のままに操れる楽しさのあるSUV、エクリプスクロスPHEVは、クルマとしての魅力が際立っているといえるだろう。

>>>エクリプスクロスPHEVについてはこちら

>>>補助金についてはこちら

※4 経済産業省(令和3年度補正予算)クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)が55万円、東京都「電気自動車等の普及促進事業(EV・PHV車両)」が45万円