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創造性とブランド価値を高める
オフィス環境の革新

オフィスづくりは
従業員へのメッセージ

社内起業家(イントラプレナー)など、創造性豊かで能力の高い人材ほど、働きやすいオフィス環境を必要とすると百嶋氏は話す。

「彼らは、仕事を通じて社会に貢献することに喜びを見い出し、ライフワークとして仕事に打ち込みます。仕事と生活を切り分けるのではなく、融合一体化させる働き方です。つまり、創造的で自由なオフィス環境と柔軟で裁量的な働き方を必要とするのです」。

しかし、これまでの日本企業は、経営効率を重視するあまり、経営資源をぎりぎり必要な分しか持たない「リーン(lean)型」の経営に傾斜してしまったのだという。今後は、経営資源にある程度の余裕、いわゆる「組織スラック(slack)」を備えておく発想に転換するべきだと百嶋氏は指摘する。

「オフィス空間にも、インフォーマルなコミュニケーションを喚起する休憩・共用スペースといった、組織スラックが必要です。必ずしも大掛かりな仕掛けがいるわけではなく、最初は、従業員が行き来する動線を考えて、踊り場に椅子とコーヒーサーバーを置くだけでもいいのです。コラボレーションやコミュニケーションを誘発する仕掛けにより、働く人同士がつながり信頼感が生まれてくるのです。そうした作用は『ソーシャル・キャピタル』といわれ、組織を円滑に機能させる『見えざる資本』ともいわれます。経営者がイノベーションを促進するためには、自ら選りすぐった人材が創造性を発揮できる環境を戦略的に整えることが重要な責務であると、感性で理解していないといけないのです」

日本でも、次第に働く人同士のつながりを意識してオフィスづくりをする企業も出てきており、ある金融機関では、役職者用の雛壇席を廃止し、副社長以上の役員を除き、一人あたり執務面積を均一化しているという。

「そうしたオフィスづくりは、経営者がフラットでオープンな組織をつくりたいんだという、従業員に対するメッセージになります。このメッセージを受けて、従業員は『会社は自分たちが生産性を上げたり、コミュニケーションをとりやすくなるよう、後押ししてくれている』と感じ、モチベーションや参画意識を高めることができるのです」。

都市の競争力向上に
つながる創造的オフィス

オフィスのスタイルとしては、レンタルという選択肢もある。都内の一等地などでオフィスや会議室、共有スペースなどを利用することもでき、これから成長を目指す起業家にとっては、前向きな気持ちで働ける動機づけともなる。

「レンタルオフィスは、財務余力の少ないベンチャー・中小企業にとって合理的なオフィス利用形態と言えます。また最近は、都市圏のコワーキングスペースやレンタル方式のインキュベーションオフィスも注目されます。前者では起業家、ノマドワーカー、フリーランスなど多様な人々が集いつながることで、新しいアイデアが生み出されています。後者では単なるスペース提供だけでなく、会計士、弁護士、コンサルタントなどのアドバイスが受けられ、創業間もない起業家にとって非常に有用です。いずれもソーシャル・キャピタルを醸成し、オープンイノベーションを促進する重要な場になってきています」

そして百嶋氏は、創造性豊かな人材を引き寄せるためには、創造的なオフィスを起点に職住遊が近接するような街づくりを進め、さらに産学官の多様な組織が一致結束して連携し、都市を起業家、クリエーター、研究者、外国人など多様な人々が集う「クリエーティブシティ」に進化させることが必要だと話す。

働く人の創造性を引き出すオフィス環境づくりは、都市の国際競争力を高めることにつながるといえる。

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