コロナ禍を、自社の人材戦略再構築の機会へ 「グロービス学び放題」を活用した人材育成

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企業の人材育成のあり方が変わろうとしている。必要に迫られてのリモートワークでの研修の実施もその1つだ。人材育成のデジタルシフトも加速するだろう。注目すべきは、単にデジタル化だけではなく、社員に対する学びの提供の仕方、さらには人材戦略そのものを見直し、再構築しようとする企業が増えていることだ。

「グロービス学び放題」が利用者数を大幅に伸ばす

企業のさまざまな活動が大きく変化している。テレワークの拡大もその1つだ。通常の業務だけでなく、従来集合で行っていた研修もオンラインで行う企業が増えている。そこで注目されているのが、動画などを用いた学習サービスだ。中でも、グロービスが提供する定額制動画学習サービス「グロービス学び放題」が急成長している。

グロービス・デジタル・
プラットフォーム
マネジング・ディレクター
井上 陽介

グロービス・デジタル・プラットフォーム マネジング・ディレクターの井上陽介氏は「2020年1月に6万1000人だった有効会員数は、21年1月時点で13万人、22年1月時点で21万人に増加しています。企業での導入も2500社を超えます」と話す。この2年弱で、約3.5倍にも利用者数が伸びたわけだ。

井上氏は加えて「グロービスは学校法人としての『グロービス経営大学院』および、株式会社としての『グロービス・マネジメント・スクール』などを展開しています。人材育成にご活用いただいている企業も多いのですが、『グロービス学び放題』は、これらを利用されたことのない新たな企業からも引き合いが増えています」と語る。

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受講者の成長を後押しする、充実の管理機能や受講者用アプリも用意

最近になって、オンラインでの教育サービスも数多く登場している。その中で「グロービス学び放題」が多くの企業から選ばれている理由はどこにあるのか。

「グロービスには、ビジネススクールや法人研修、出版事業などで培ってきた豊富な知見があります。ユーザーが離脱することを防ぎ、学習意欲を高めるような良質なコンテンツには大いに自信を持っています」

その内容も充実している。コンテンツは思考、戦略・マーケティング、組織・リーダーシップなどのカテゴリーに分けられ、その数は600コース・4200本を超えているという。まさに、初級から実践まであらゆるレベルに対応可能だ。実際に、利用しているユーザーの満足度も高く、企業のリピート率も高いという。

「導入いただいた企業の多くで、利用者数、利用時間が増えています。このことから対象となる社員の方を拡充される企業がほとんどです。新入社員の導入研修を『グロービス学び放題』で実施される企業もあります。さらに、企業によってはすべての社員が『グロービス学び放題』を利用できるようにしたところもあります」

一律の階層別研修から個別の研修へとシフト

単にコロナ禍で人材育成のオンライン化が進んだだけでなく、企業の人材戦略そのものが変化している、と井上氏は指摘する。

「かつての企業研修といえば、『入社〇年次研修』『新任マネジャー研修』といったように、年次や階層別にほぼ全員一律で行うのが一般的でした。その後、選抜型の研修を行う企業も出てきて、多くの企業で選抜型研修は定着しましたが、限られたリーダー層への教育しか提供できず、若くポテンシャルのある人材を発掘することができないという課題があります。そこで最近では、意欲ある社員が自律的に手を挙げるような公募型の研修体系を採る企業も増えてきています」

人材育成のためのコストも限られている中、自社の競争力強化につながる、意欲のある社員に投資をしたいと企業が考えるのにも納得がいく。

ただ、その一方でコンテンツの内容についての要望も変化が起きているようだ。「『人生100年時代』とも言われますが、社員の方のライフスタイルなども視野に入れたキャリアアップの支援などにつながる教育を実施しようとする企業も増えています。現在携わっている業務と直接関係しないような研修であっても受講できるという企業もあります」。

そこでも「グロービス学び放題」なら、現在営業部門にいる社員が経理・財務のコンテンツを学んだり、製品開発や品質管理のコンテンツを学んだりすることができる。学習履歴などのデータを活用することにより、社員本人の興味関心を人事部門で把握したり、適性を判断したりすることもできる。「別の部門に異動して活躍したいと考える人はもちろんのこと、多様なカテゴリーの知識を得ることで、ビジネスパーソンとしての基盤となる力を身に付けることができます」(井上氏)。

最近では、イノベーションの実現を目指して他社との協業などに力を入れる企業も多い。他社での武者修行や副業などを奨励する企業もある。ダイバーシティーという観点でも、多様な視点を持つ社員を育てることは企業にとってもメリットは大きいだろう。その点で、社員の興味に従って、さまざまなコンテンツを柔軟に学べる「グロービス学び放題」は便利に活用できそうだ。

興味深いデータがある。「ある企業で調査したところ、『グロービス学び放題』の利用時間が多い社員ほど、社内における人事評価が高いというデータも出ました」と井上氏は紹介する。まさに、自ら学ぶ社員のポテンシャルの高さが示されたわけだ。

自律的に行動できる人材が組織を強くする

新たな感染症の発生など、今後もさまざまなリスクが到来しそうだ。VUCA(ブーカ:変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)と呼ばれるように変化が読めない時代でもある。一方で、SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)などの関心の高まりを受け、企業にとって社会的な責任への対応が求められるようになっている。

「自動車産業が電気自動車(EV)に急速にシフトし産業の構造が変わりつつあるように、数年先の市場の見通しが難しい時代になっています。そうした中では、会社から言われたことだけをやるのではなく、自ら考え行動する自律型の人材が不可欠になります」と井上氏は語る。

学びについても自ら意欲的に取り組む人材が望ましいことは言うまでもない。「グロービス学び放題」の活用もその一助になるだろう。だが、井上氏は「オンラインのツールを用意すれば、社員が勝手に伸びていくというものでもありません。また企業や職種によってはオンラインよりもリアルな対面で研修を行ったほうが効果が高いということもあるでしょう。その点では私は、企業の研修はオンラインの利用を進めながらもリアルと併用するハイブリッド型になっていくと考えています」と語る。その中で、どのような人材を育成していくかが問われる時代になってくるわけだ。

「もちろん、教育の内容も進化していく必要があります。『グロービス学び放題』についても、コンテンツの拡充のほか、英語版「GLOBIS Unlimited」の展開なども積極的に進めていきます」(井上氏)。英語で学ぶことができれば、海外に進出する日本企業の現地社員の教育なども容易になるだろう。実際に海外ローカル人材のマネジャー育成で「GLOBIS Unlimited」を利用するケースも出てきている。

「企業の価値向上を担うのはやはり人材です。日本企業がグローバルに競争優位性を発揮していくためには、社員の皆さんにどのような学びが必要なのかを検討し、引き続き良質なコンテンツを提供していきたいと考えています。コロナ禍もあって、企業は厳しい経営環境にさらされていますが、見方を変えれば、将来を見越し人材戦略を再構築する絶好の機会でもあります。そのような企業と一緒に、日本の社会をダイナミックに変えるお手伝いをしたいと願っています」と井上氏は力を込める。

「グロービス学び放題」を利用し、個々が学び続け、互いに教え合う組織を目指す

株式会社JTB 人財開発チーム
人財開発担当マネージャー
(企画担当)
櫻井 康一氏

JTBでは2021年4月より、グループ全従業員に自己啓発用の有料コンテンツとして「グロービス学び放題」を案内しており、希望者は自分の好きなタイミングで、受講したいプランを選択することができる。

取り組みの背景には、同社グループを取り巻く事業環境の変化がある。JTBグループは20年度に「『新』交流創造ビジョン」を策定し、ウィズ/アフターコロナを見据えた3つの事業戦略として「ツーリズム」「ビジネスソリューション」「エリアソリューション」を定めた。3つの事業戦略を掛け合わせて取り組むことによって、より高いレベルでお客様の実感価値を追求していく考えだ。

ツーリズム以外の領域も強化していく中で、人財に求められる要件も変わってくる。JTBグループは長年、社員に向けて手厚い研修を用意してきたが、19年度からはさらに、「『社員は財産』であり、社員の成長・活力が会社の成長、グループの発展を支える」という基本理念の下、「社員が自ら育つ、会社はそれを支援する」という考え方に転換した。

社員の成長を支援するグループ横断型育成プラットフォーム「JTBユニバーシティ」ではこれまでさまざまな研修を実行してきたが、21年度には「あなたの学びの応援団」を合言葉に「J-Campus(LMS:ラーニング・マネジメント・システム)」を本格稼働させ、学びのアイテムの拡充、人財開発に関する考え方の理解浸透などを図っている。

「自ら育つ(育ちたい)社員を応援するために」JTBグループが選んだのが「グロービス学び放題」だ。幅広いビジネススキルを吸収できる充実したコンテンツが用意されていることに加え、飽きさせないための工夫などが高い評価を得た。導入後も「J-Campus」やグループ社内報などを通じて「グロービス学び放題」の活用法や受講生の声を発信するなど、受講活性施策も積極的に行っている。

22年度は、「自分らしいラーニングジャーニーを始めよう」を新たな合言葉に、これまで進めてきた研修改革をさらに大胆に実行する予定だ。