廃業寸前だったせんべい屋がECで再起できた訳 兄弟で作る「3カ月待ち」人気煎餅誕生の裏側

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新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で、日本国内におけるBtoC領域のEC市場が拡大している※1。実店舗を展開する個人事業主や小規模事業者にとっては、売り上げを伸ばす好機である。こうした中、EC展開で失敗しないために必要なことは何なのか。廃業寸前の逆境からEC展開に活路を見いだし、V字回復した老舗米菓メーカー「笠原製菓」と、それを支えたネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」の担当者に、ECサイトの始め方から運用方法、成功の裏側について話を聞いた。


1960年創業の米菓メーカー「笠原製菓」。東京・江戸川区で半世紀にわたって煎餅のOEMを続けてきた老舗企業だが、2014年に創業者の孫である笠原健徳氏が代表取締役社長に就くまでの数年間、赤字続きで廃業の危機に追い込まれていた。

笠原製菓
代表取締役社長 
笠原健徳 氏
1975年生まれ、東京都出身。約20年間のIT企業での勤務を経て、2014年より家業である老舗米菓メーカー「笠原製菓」の4代目社長に就任。自社ブランド「センベイブラザーズ」を立ち上げ、廃業寸前だった同社をV字回復させた。著書に『倒産寸前からの復活!センベイブラザーズのキセキ』(大和書房)

笠原氏は、当時の様子を次のように振り返る。

「OEMしかやっていなかったので、収益率の低さがネックでした。ただ、工場長を10年以上務めていた弟の焼く煎餅の評判がよかったので、自分たちのブランドを立ち上げて、ECサイトでガンガン売ればいいと考えていました」

ところが現場に入ってみると、想像以上に経営状況が悪く予算がなかった。解決すべき課題も山積みで、初日でEC展開を断念する。

負債を抱えていたため、とにかく売らなくてはならない。そこで、自社ブランド「センベイブラザーズ」を立ち上げ、工場の軒先での直売や、最寄り駅での路上販売、地元の朝市への出店など、地道に販売し続けた。

笠原氏は、社長になるまで勤めていたIT企業でのデザインやマーケティングの経験を生かして、パッケージなどの見せ方や売り出し方にもこだわった。

コンセプトは、「せんべいを、おいしく、かっこよく。」

徐々に口コミが広がって、メディアで紹介されたり、百貨店のバイヤーに声をかけられたりするようになった。都内の百貨店で催事をやったことでさらに知名度が上がり、「取り寄せたい」という要望が届くように。

「『センベイブラザーズ』の立ち上げから1年後には黒字転換していましたが、ECサイトの運用に回せる時間も人手もありませんでした。それでも何とかお客様のご要望にお応えできないかと、さまざまなECサービスを検討して行き着いたのがBASEだったんです」(笠原氏)

BASEに決めてからの笠原氏の動きは早かった。

「朝から準備を始めて、その日の夕方にはサイトをオープンさせることができました。出荷の手配や商品登録などは、30分から長くて1時間程度。外出時に急いで在庫を追加したいときは、スマホで対応できます。BASEを利用して7年目になりますが、操作やサイトの構築で問い合わせたことは一度もありません。結果として、商品開発や営業戦略の立案、ブランド育成などにリソースを割くことができています」(同氏)

実際のBASEの画面

Amazon Payとカゴ落ち改善・新規顧客増加の関係

BASEを簡単に操作できるのは、ユーザーのITリテラシーが高いからではない。BASEを運営するBASE社上級執行役員COOの山村兼司氏は、次のように説明する。

BASE社
上級執行役員COO 
山村兼司 氏
1978年生まれ、京都府出身。立命館大学卒業後、サントリーを経て2004年にリクルートに入社。「ケイコとマナブ.net」の編集長を務め、共同購入サービス「ポンパレ」事業の立ち上げにも参画。関連企業の経営企画部長などを歴任し、2017年にBASE社に入社。2018年より現職

「BASEは、初期費用も月額利用料も不要で、売れたときだけ手数料※2をいただくビジネスモデルです。また、エンジニアやデザイナーといった専門人材がいなくても、ECサイト構築の知見がまったくなくても、直感的に使えるUXにこだわっています。つまり、金銭面でのリスクが低く、誰でも簡単にオリジナルのネットショップを始められるんです」

BASEのネットショップ開設実績は4年連続1位、170万ショップを突破している※3。サイト開設者の98.7%が運営人数4名以下で、こうした個人事業主や小規模事業者がつまずきがちな決済面の利便性にもこだわっている。こういったところも多くのユーザーから支持される理由の1つだろう。

「BASEは現在、クレジットカード決済やキャリア決済、コンビニ支払いなど、7種類の決済方法に対応しています。面倒な決済手数料の交渉も不要ですし、その日のうちに使い始められます。通常、売り上げの振り込みは申請から10営業日後ですが、最短翌営業日の『お急ぎ振込』サービスなど、キャッシュフロー最適化のご支援もしています」(山村氏)

笠原氏も、決済面の利便性は大きな魅力だという。

「決済方法が多いほどカゴ落ちしにくく、コンバージョンにつながるなど、さまざまなメリットがあると考えています。実際、昨年3月に決済方法にAmazon Payが加わって以降※4の売り上げデータを見ると、新規のお客様の増加を促しているだけではなく、選択される決済方法がAmazon Payに移行していることがわかりました。個人情報を入力する手間が不要なこと、Amazonが提供するサービスという“安心感”が大きく影響しているのではないでしょうか」

BASEから別のサービスに乗り換えなかった訳

BASEを高く評価し、積極活用して売り上げを伸ばしてきた笠原製菓だが、別のサービスに乗り換えようとしたことがなかったわけではない。

「コロナ禍で売り上げが減少したときは、よりコストを抑えられる別のサービスに心が揺らぎましたが、利用者目線で信頼を担保してくれるBASEの質の高さを思い返して踏みとどまりました。

われわれのような小さな会社でも、全国の人に届けたいという大きな目標を掲げて走り続けていると、時々メディアパワーによる大量の注文など、想定外の幸運が訪れることもあります。そんなとき、コストを重視した軽装備では対応しきれないんです。BASEのような、どんな状況にもしっかり対応できる装備を整えることが、長い目で見ると自分たちの目指すゴールに近づける気がします」(笠原氏)

笠原氏のこうした思いは、BASEもしっかりと受け止めている。

「創業以来一貫して取り組んできたのは、日々のオペレーションの負荷軽減につながる機能の拡充などを通して、個人やスモールチームの大きな挑戦を支援することです。今後も、コロナ禍のような不測の事態が発生したとしても、ユーザーが安心して利用できるサービスを提供し続けていきたいと考えています」(山村氏)

新型コロナウイルスの感染拡大でオンラインシフトが加速し、EC市場も拡大傾向にある。中でもBtoC領域は、EC化率こそ8.08%と低いものの、物販系の伸長率は、21.71%と大幅に拡大しており※5、まだまだ伸びしろのある分野だ。このような時代において、笠原製菓の“歩み”とそれをサポートしてきたBASEの取り組みは、EC参入を検討している人はもちろん、テコ入れを図りたい人にとっても、大いに参考になるのではないだろうか。

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※1・5 経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」
※2 BASEの決済手数料は1取引当たり3.6%+40円。別途サービス利用料3%がかかるため、6.6%+40円
※3 BASE社「オーナーズ調査2021」
※4 BASEを利用する事業者は「BASEかんたん決済」を通じてAmazon Payの利用が可能

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