電話応対をやめると"得する"これだけの理由 オフィスにかかる電話は8割以上が営業電話?

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今、オフィスでの電話応対をアウトソーシングする企業が増えてきている。きっかけはコロナ禍でのリモートワークに対応するためだったが、社員がオフィスで電話を取ることをやめると驚くほどのメリットが出てくるという。多数ある電話代行サービスの中でも急激に利用者数を増やしているのが2019年2月にリリースされた「fondesk(フォンデスク)」。急成長の理由とそのメリットを運営元のうるる 執行役員 脇村瞬太氏に聞いた。

6割以上のビジネスパーソンが「会社への電話はストレス」

——電話代行は古くからあり、競争の激しい業界です。その中で、fondeskはサービス開始から約3年と新しいサービスにもかかわらず、導入企業数を3000社超と伸ばしています。急成長の理由はどこにあると分析されていますか。

株式会社うるる
執行役員
fondesk事業管掌
脇村 瞬太 氏
大学卒業後、建築系商社に入社し、住宅設備機器の営業職に従事。その後、インターネット広告代理店に入社し、大手プロバイダー・電子機器メーカーのプロモーション業務などに携わる。2011年にうるるへ入社、19年よりfondeskの事業責任者を務める

脇村 まず、コロナ禍でテレワークに移行して「誰が会社の電話を取るのか」という課題が顕在化したのは大きかったと思います。2020年3月までの最初の1年で契約ID数は346社でしたが、20年4月の緊急事態宣言発令後に導入件数が急伸、1年後の21年3月まで約7倍の2230社に増えました。書類の提出が一切不要で契約から設定、お支払い手続きまですべてオンラインで完結し、5分程度でご利用を開始できる手軽さと、14日間無料体験ができることも評価されたと感じています。

ただ、緊急避難的な活用が中心かといえば、そうでもありません。緊急事態宣言解除後も順調に成長を続けています。私たちは、電話に対する価値観が変わった結果だと考えています。

——具体的にはどのように価値観が変わったのでしょうか。

脇村 メールやチャットといったテキストコミュニケーションが普及したことで、「相手が誰なのかわかる状態」でのやり取りが当たり前になってきました。つまり、1to1の大切なやり取りは"非同期"に移行しているのです。一方電話はどうかといえば、fondeskで蓄積されたデータを分析すると、オフィスにかかってくる電話のおおよそ8割が「営業電話」と判明しています。この変化に現場の方々はもちろん気づいていて、私たちが実施した調査によれば、ビジネスパーソンの6割以上が「会社への電話を不要と感じたことがあり、それを受けることにストレスを感じている」ことが明らかになっています。

業務を中断されることで生産性を下げる懸念も

——電話を受けることへのストレスとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

脇村 調査では「業務が中断されるから」「電話対応に時間がかかるから」を理由に挙げる声が目立ちました。実際、中断された仕事のリズムを取り戻すためには一定の時間がかかるといわれており、複数回電話対応した場合は、対応時間前後にも影響し仕事全体の生産性が下がってしまうわけです。

また働き方も、オフィスへの出勤とテレワークを併用するハイブリッドワークが日常的になってきていますから、電話の取り次ぎも簡単ではありません。従来、電話対応業務は新入社員が担当することが多くの職場で慣習になっていました。しかし、営業電話がほとんどという状況では「取引先の名前を覚える」といった効果も期待できなくなっており、無用なストレスで人材流出のリスクを高めてしまっています。とくに1990年代後半から2000年代に生まれたZ世代は、家庭の固定電話での対応経験も少ないため、いっそう負担を感じるようです。

——fondeskは、そういった時代の変化に対応することを意識して開発されたのでしょうか。

脇村 はい。fondeskは、社内・部署内の共有もスムーズにできるチャットベースの業務フローに最適化していることが強みです。これまで、メール通知のサービスや、事業内容に合わせて対応する秘書代行や電話代行サービスはありましたが、高額なコストが必要でした。しかし、fondeskは月額1万円で100件まで対応と、価格も低く抑えています。

——なぜ低価格を実現できたのでしょうか。

脇村 最大の理由は、「平日日中の一次取り次ぎ」に特化したことです。担当者が不在である旨を伝えるか、電話受付窓口であるため用件を伺うのみと伝え、相手の名前と折り返し先の電話番号、用件を聞くことに限定しています。クレーム対応や応答のカスタマイズをしないことで報告のフォーマットも均一にできるのです。

また、オペレーターがチャットルームに参加して通知する形式の場合、オペレーターの手数も増えて誤送信のリスクもつねにありますが、fondeskは独自のシステムを構築。セキュアな状況かつミスが出ない形で通話や報告が行えます。しかも、常設のコールセンターを用意せず、オペレーター全員が在宅で対応しているので余計な経費がかかりません。経験は豊富なのに、育児や介護などで短時間しか働けないという地方在住の方が多数活躍しています。ちなみに、高い品質を保つため、オペレーターの対応内容をランダムチェックしており、オペレーターのミスに由来するクレームはほぼありません。おかげさまで、利用継続率も非常に高く推移しています。

「オフィスのクラウド化」の実現で採用力も強化

——地方在住のオペレーターが多数活躍しているとのことですが、オフィス電話の対応が不要になると、同じようにユーザー企業も決まったオフィスに縛られない働き方が可能になりそうですね。

脇村 お客様の多くは、そういう手応えを感じてくださっているようです。「電話番がいない」が入り口でも、実際に導入すると、まずオフィスで電話が鳴らなくなって業務効率が上がることに驚かれます。すると、「電話を取るために出社する必要はない」と考えるようになります。私たちは「オフィスのクラウド化」と呼んでいますが、どこにいても本業に集中して生産性を高められます。出発地点は電話応対の軽減なのですが、結果的には場所を問わず優れたスキルを持つ人に働いてもらえるなど、採用力向上の一助になるのではと考えています。

——オフィスのランニングコストも削減できそうです。

脇村 ビジネスフォンのリース代もそうですし、オフィス移転時の電話工事や情報システム部門の立ち会いなどもなくなります。BCPの観点からも、「オフィスのクラウド化」を進めるメリットは大きいはずです。これからの働き方を考えるとオフィス出勤への「完全回帰」ではなく、リモートワークとのハイブリッドが残っていくのではないでしょうか。そのためにも「オフィスのクラウド化」が重要です。コロナ以前のワークフローが適応できていない場合は、必ず見直しの機会を持っていただき、fondeskを従来の業務の制約から解放するきっかけの1つにしていただければと思います。

現在はITベンチャーや東京都内の企業が中心ですが、今後は地方活性化や非IT企業のDX推進への貢献にも力を入れていきたいと思います。

「fondesk」の詳細はこちら