「自分らしい人生」を支援するキャリアの立教 低学年から先輩と交流し「選択肢の幅を広げる」
ハウツーにとどまらない、本質的なキャリア支援を
立教大学のキャリア支援の特徴は、「ポイントを押さえた多彩な就職支援講座」「キャリアセンターと学部のダブルサポート」「キャリアセンターや各学部で1年次から参加できる講座を多数展開」していることなどに見て取れる。就職支援講座は、オンラインと対面の開催を合わせて年間331回に上り、キャリアカウンセラーも23人在籍。包括的かつ手厚い支援の結果は、就職率96.3%(2020年度)という高い数字にも表れている。
個々の講座の根底に共通するのは、学生一人ひとりの人生に寄り添いたいという強い意志だ。「われわれのキャリア支援は就活のハウツーを伝授するのではなく、自らの資質を向上させ、社会に貢献できる人を育てることに主眼を置いています」。そう語るのは、立教大学キャリアセンター事務部長の工藤秀夫氏。
「自分自身が納得し、キャリアを自己決定することは、その後の人生の幸福度に影響します。自己決定のためには、自分と社会を知ること、社会で貢献できることを探すことが大切です。そこでキャリアセンターでは、自己理解の促進や段階的に進路を意識化できるように、4年間を通して目標設定の機会を提供しています」(工藤氏)
とりわけ重視しているのが、1・2年次生に向けたキャリア支援だ。1年次の12月に実施するキャリアデザインガイダンスでは、「大学時代に一生懸命取り組めることを見つけてほしい、今しかできないことをしよう」と伝えているという。
「キャリア=就職と考える学生は少なくありません。4年間のうち、自分のキャリアについて考える機会が少ないと、就職のための大学生活になってしまう可能性が高くなります。しかし、われわれは大学生活を自分らしく楽しむことこそ、将来のキャリアにつながると考えています。
その意味では、立教大学は学部の専門科目のほかに全学部共通の科目を用意するなど、学部の垣根なく授業を聴講し単位も取れるため(一部を除く)、学生の視野と可能性を広げることができます。進路の選択肢は無限で一人ひとり違っていい、そして就職は人生のゴールではなく、人生のマイルストーンであると伝えるようにしています」(工藤氏)
こうしたキャリア支援を受けて社会に出た立教大学の卒業生は、企業からの評価も高い。2021年8月には、2016年度の卒業生を対象にした調査を実施。約400社の企業にアンケートを送付し、卒業生の社会人基礎力についての質問を投げかけた。「周囲に働きかけて良好な人間関係を構築できるか」「相手を尊重し、異なる意見や立場を理解できるか」「社会を構成する一員としての倫理観を持っているか」といった質問について、100%が「はい」と回答したという。
学部独自のキャリア支援にも力を注ぐ
立教大学のキャリア支援は、キャリアセンターと学部が密に連携していることも特徴だ。一方で、学部ならではの取り組みもある。多民族・多文化の共生社会における諸問題に取り組む行動力を持つ人材の育成に力を注ぐ異文化コミュニケーション学部では、学部独自のキャリア支援室を設置。学部の教員で構成するキャリア委員会と専属のキャリアサポーターとともに、多彩な講座や企画を展開している。
1年次は「自分自身の生き方・将来について考える時間」、2年次は「異文化を体験し、新たな世界に触れる時間」、3年次は「将来・進路に向かって具体的に準備し、行動する時間」と年次ごとに分け、多角的にキャリアをサポート。中でも1年次の講座には特別な思いを込めている。異文化コミュニケーション学部長の浜崎桂子氏はこう説明する。
「入学直後の新入生を対象に『ウェルカムアワー』というイベントを開催していますが、ここでは2~4年次の先輩がロールモデルとして大きな役割を担っています。新入生は、まず先輩の大学生活の経験や取り組みについてプレゼンを聞きます。その後、少人数グループで、これからの大学生活で何を実現したいのかについて、先輩のファシリテートのもとディスカッションをします。
こうしたスタートダッシュの機会を設け、身近な先輩の姿から今後の大学生活について考える機会を持つことは、新入生にとっては学業やキャリアに前向きなモチベーションを持つきっかけになると考えています」(浜崎氏)
また、学部の専門性を生かせるような企業にアプローチし、独自にインターンシップの受け入れ先を開拓。1年次から参加できるように企業の協力を取り付けるなど、実践を通したキャリア支援にも注力している。
「インターンシップの実施に当たっては、キャリアサポーターも交えて、学生への事前・事後研修を行っています。これは、自分の考えや体験を言語化し、ほかの学生に発表する機会となります。このプロセスによって、インターンシップで得た経験が自身の血肉として定着し、次のキャリア支援のステップにシームレスにつなげることができると考えています」(浜崎氏)
こうした熱心な取り組みの背景には、学部の理念としている「学生の人物像」がある。
「異文化コミュニケーション学部の理念は『「ちがい」から、つくる』です。人々の行動、信条、文化を多面的に捉え、本質を見極めて新しい価値を創造できる人物を育てたいと考えています。異文化というのは海外だけではなく、すぐ隣にいる他者の中にあるもの。だからこそ対話を大切にしようと伝えています。学部としての教育だけでなくキャリア支援にも、その理念が息づいています」(浜崎氏)
浜崎氏から見た、同学部の卒業生は「多様なステークホルダーとのコミュニケーションや交渉によって、解をすり合わせられるスキルを持ち合わせている」とのこと。グローバル人材として活躍している卒業生も多いそうだ。
低学年から先輩と交流することが、挑戦する学生生活につながる
立教大学はキャリア支援にさらなる厚みを持たせるべく、現在、学外の企業・団体などとも連携しながら、低学年向けの講座の充実を図っている。2021年12月には、多様なロールモデルを知ることで学生たちのキャリアの選択肢の幅を広げることを狙いに、株式会社ビズリーチが提供するOB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」との連携で、低学年向けのオンラインOB/OG訪問プログラム「キャリアインタビュー」を開催。さまざまな学部から1・2年次生約30人が集まった。
キャリアセンターの工藤氏は、コラボ講座の狙いについて、「これまでキャリアセンターが主催するOB/OG訪問会は、全学年を対象にしていました。しかしながら、1・2年次と3年次では先輩たちへ聞きたいことに違いがあるという課題があり、それを解決するために低学年限定のOB/OG訪問プログラム『キャリアインタビュー』を企画しました」と話す。
講座は2日間にわたり実施。1日目は、3000人を超える大学生や社会人のキャリアデザインに携わってきた経験を持つビズリーチ・キャンパスの熊谷智宏氏※をメインプレゼンターとして迎え、OB/OGへのインタビュー内容を考えるための個人ワークとグループワークを行い、学生たちは2日目のキャリアインタビューに臨んだ。
※2021年7月より、ビズリーチ・キャンパスのビジネスパートナーを担う
当日は、外資系コンサルティング会社や総合商社、メーカー、IT企業などに勤める卒業生9人が参加。グループに分かれ、30分×2回で学生から先輩へインタビューを行った。学生たちは先輩たちに「どんな学生生活を送っていたか」「学生生活でやっておいたほうがいいことは」「なぜその会社に就職したのか」「仕事は大変か」など、さまざまな質問をぶつけ、先輩たちもそうした質問に率直に回答し、学生たちの思いに応えた。
終了後は学びを言語化するため、個人のワークでどのようなアクションにつなげていくかを考察し、参加者間で共有。社会で活躍する先輩たちの話に刺激を受け、「興味のある業界の先輩にOB/OG訪問する」「論理的思考力を高めるために本や新聞をたくさん読む」など具体的な行動目標を立てる学生も。それを受けて熊谷氏は「ちょっと無理だと思う目標」を立ててみることをアドバイス。
「大きな目標に挑戦することは怖いかもしれないけれど、自信や勇気がなくて挑戦しないことは、挑戦するリスクよりも大きなリスク。卒業を迎えたときに、挑戦を避けた自分を振り返り、二度と取り返せない大学生活を悔やむことになりかねない。1・2年次にこの講座に参加しようという勇気と行動力がある皆さんなら、絶対大丈夫」とエールを送った。
学生一人ひとりが自分らしいキャリアを切り拓くことにコミットした「本質的なキャリア支援」に取り組む立教大学。不確実さを増す現代社会で生きていく学生たちにとって、4年間を通して手厚いサポートを受けられることは、これから先の人生を力強く、そしてしなやかに歩む助けとなるだろう。
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