ステルス化する「反社リスク」に対応できない理由 DX時代に忍び寄る"巧妙すぎる"手口とは?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ガバナンス強化とコンプライアンス遵守がかつてないほど企業に求められている現在、接点を持つだけで社会的信用が一気に失墜する反社会的勢力(反社)の存在は脅威でしかない。2021年春には、反社と知らずに会食していただけで自治体に排除措置を受けわずか2週間で倒産に追い込まれた地方企業の事例もある。では、今本当に有効な「反社対策」とは何か。約700社の上場企業をサポートする危機管理コンサルタントで社会構想大学院大学教授の白井邦芳氏に、最新の実態と対策方法を聞いた。

法規制の強化で表舞台からは消えた?
顔を変えた「反社」の最新実態

白井 邦芳
危機管理コンサルタント 社会構想大学院大学教授
早稲田大学卒。AIU危機管理コンサルティング室室長、AIGリスクコンサルティング 首席コンサルタント、ゼウス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長。日本リスクマネジメント協会顧問。著書に「ケーススタディ 企業の危機管理コンサルティング」(中央経済社)、「リスクマネジメントの教科書」(当社刊)など。

反社(反社会的勢力)という言葉が初めて登場したのは、2007年のことだ。政府の犯罪対策閣僚会議が「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(※1)を策定。「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義した。その後、2011年には全ての都道府県で暴力団排除条例(暴排条例)が施行される。
※1「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年(2007年)6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)より

暴排条例は、反社のあり方を大きく変えた。それまでも反社を取り締まる暴力団対策法(暴対法)はあったが、暴排条例は、一般人や企業が反社と関わりを持たないことを目的としたからだ。関わりを持った企業は自治体から指名停止等措置を受け、ウェブサイトなどで実名を公表されてしまうため、従来の暴力団のやり方は通用しなくなっていく。

顕著なのが構成員・準構成員の数だ。警察庁の調べによれば、1991年に9万人以上いたのが2020年末時点で2万5900人と16年連続で過去最少を更新(※2)。この30年間で3分の1以下となった。
※2「令和2年における組織犯罪の情勢」(令和3年4月発表 警察庁組織犯罪対策部)

ならば、「反社リスク」も低下しているかといえば、そうでもないようだ。むしろ......続きを読む