
新ECシステム導入の
目的と選定理由
株式会社せーのは、VANQUISH(ヴァンキッシュ)をはじめとする若者向け衣料ブランドを展開、全国20店舗の直営店、ECサイトなどを運営する年商約30億円の企業である。
2012年には、同社のEC事業は売上高で年間8億、全社売り上げの3割を占めるまでに成長。オムニチャネル時代の到来を見据え、実店舗との連携を推進すべく、より高度なシステムへの入れ替えを検討するようになった。
経営管理部 管掌 兼 情報マネジメント推進室長
井谷 大也氏
「オムニチャネル化の基盤構築において避けては通れない在庫、顧客データ管理の一元化の実現、そして実店舗とWebショップの共通ポイントプログラムの導入を目指すことにしました」と、せーの取締役の井谷大也氏は言う。
開発パートナー選定のため、ECベンダー7社間でコンペを行った結果、採用したのがインターファクトリーの「えびすマート」であった。同社は、SaaS型(※1)ECサイト構築システム「えびすマート」を軸にECソリューション事業を展開する。「えびすマート」はECサイトの基盤システムであり、さまざまな外部システムとの連携や拡張性に優れていることに加え、サイトへのアクセスや取引数の増加などにも柔軟に対応できるクラウド型システムの特徴を兼ね備えている。
「そのような『えびすマート』の特徴や実績を評価したことのほか、当社のオリエンに対して、窓口となった営業担当者の理解度が高く、システム開発の全体構想を十分に共有できたことも、選定の決め手となりました」(井谷氏)。
User Profile
株式会社せーの http://ceno.jp
【事業内容】衣料品および雑貨企画・製造・販売、直営店事業、Web通販事業、店舗開発事業、メディア開発事業、ライセンス事業、アートディレクション・デザイン
オムニチャネル時代の
ECシステムの要件とは
一方、インターファクトリー取締役の三石祐輔氏はこう語る。
取締役 経営企画担当
三石 祐輔氏
「実際、せーの様のような、ECを軸として、実店舗のPOSシステムやバックオフィスまでも含む連携を求める事例が増えています。今回は特に、物流連携も含めた広範な開発となりました。まさにオムニチャネル時代の要請と言いえるでしょう」。
さらに、せーのは「えびすマート」の顧客管理機能と連携する会員向けのスマートフォンアプリをリリースした。このアプリは、店頭で「デジタル会員証」として使用できるほか、「自動来店ポイント(客がアプリをインストールしたスマートフォンを持ってせーの直営店に入店すると、自動でポイントが付与されるサービス)」機能が実装されており、スタートから1年でダウンロード数が1万を超えるなど好評を博している。「自動来店ポイント」は、店頭設置のセンサー技術によって実現している。この技術を使用することで、たとえば「店員が来店客の購入履歴をタブレット端末で確認し、その情報を基に商品を提案することや、来店客のスマートフォンの画面に、リアルタイムでおすすめ商品を表示させるといったことなども将来的に可能になります」(井谷氏)。
また、実店舗とWebショップのポイント共通化の効果も大きく、相互のチャネルをまたぐ顧客の往来が活性化している。昨年の年末商戦において、実店舗経由で会員登録した客にWebショップでのセール開催を告知したところ、Webショップの売り上げが前年比1.3倍にまで増加した。
「もはや、今後のEC戦略を考えるうえで、実店舗とECの連携は必須と言えます。オムニチャネル戦略推進で先行するせーの様のケースは、オムニチャネル化を検討されている企業様にとって、よい参考事例となるのではないでしょうか。そして、その戦略を支えるのが『えびすマート』なのです」(三石氏)。
機能のAPI(※2)化を加速し
オープンプラットフォーム化を推し進める
「当初期待していたことは(インターファクトリーと組んだことで)ほぼ実現できました。今後はこれらのシステムから生成されるデータを積極的に収集し、いわゆる『データマネジメント・プラットフォーム』を構築していく考えです。データの分析・活用は今後の重要テーマです。これからの競争環境で打ち勝っていくためには、データ分析に基づき、PDCAサイクルを高速に回していくことが必要です」(井谷氏)。
なお、せーのが構築したような、広範な領域をカバーするシステム構築は、開発規模が大きくなりコストもかさみがちだが、API技術を採用する「えびすマート」を使えば比較的投資コストを抑えることができる。インターファクトリーは14年下期から「えびすマート」全機能のAPIを順次公開していき、「EC構築システム」から「プラットフォーム」へ生まれ変わろうとしている。
「10年1月よりSaaS型でサービス提供を開始して以来、『えびすマート』の導入数は約300サイトに及び、流通総額も急速に拡大しています。これは当社が時代の変化に合わせて技術、サービスをアップデートしてきたこと、そしてクライアント企業様の要望に真摯に向き合ってきたことの結果であると自負しています。今後もさらに外部企業との連携を強化し、オムニチャネル化の実績を重ねることで、ECシステム市場のキープレーヤーとしての存在感を高めていきます」と三石氏は意気込みを語る。
※2 API:Application Programming Interfaceの略。ソフトウェアの機能などを、外部のプログラムから呼び出して利用するための手順を定めた規約のこと