取引先の「倒産・未入金」問題、どう向き合うべき 大手企業でも「安心」が盤石ではない時代

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売掛保証サービスを利用するメリットとは?
「営業活動に時間を割けない」「経営に集中できない」――。BtoB取引の多い企業では、取引先の審査や与信管理にかける時間が、想像以上に本業を圧迫しているケースがある。法人企業向けに売掛保証サービスを手がけるラクーンフィナンシャル 執行役員 東京営業部長の諏訪部哲広氏に、BtoB取引における課題や、取引における対策として売掛保証サービスを利用するメリットを聞いた。

掛け売りには、つねに未回収リスクが付きまとう

一般的にBtoB取引(企業間取引)における支払いは、請求書を発行し、期日に指定の銀行口座へ振り込む「掛け売り」を採用している。もはや商習慣とも呼べるほど当たり前に行われている取引形態だが、実はリスクやデメリットが多く潜んでいるとラクーンフィナンシャル 執行役員 東京営業部長の諏訪部哲広氏は指摘する。

ラクーンフィナンシャル
執行役員 東京営業部長
諏訪部哲広氏

「最大のリスクは、予定どおりに取引先から入金される保証がないことです。掛け売りは契約に基づいた取引ですが、信頼関係で成り立っていますので、未回収リスクはつねに存在します。『入金があるかどうかが心配で、月末はいつも眠れない』という経営者の方々のお悩みをよく聞きます」(諏訪部氏)

経営者がそこまで心配するのは、取引先の急な業績悪化などで、支払いの遅れや「貸し倒れ」(代金が支払われないこと)が起きるおそれがあるからだ。

「貸し倒れが起きれば、売上代金の損失だけでなく、取引先に提供するためにかけた人件費や広告費を含む営業コストも無駄になります。そのうえ、督促や回収のためにさらなる時間やコストをかけなくてはなりません。営業担当者がそれを実施するのであれば、営業にかけられる時間も少なくなってしまいます」(諏訪部氏)

そう説明する諏訪部氏は、「貸し倒れ」によるダメージは単にキャッシュフローが傷むだけではないという。取引金融機関からの融資を受けられなくなる、業界内に風評が広がり取引継続が困難になるといった2次的なリスクを発生させるほか、その後のビジネスに尾を引いてしまうとも指摘する。

貸し倒れは売上代金や人件費、広告費の損失につながる。風評被害のおそれも

「損失分を売り上げでカバーしようとすると、利幅の薄いビジネスの場合、必要以上の仕入れを行ったり新規開拓を余儀なくされたりと、相当な無理をしないとカバーできません。そうすると与信管理が甘くなってしまい、さらなるリスクを招くおそれもあります」(諏訪部氏)

「URIHO」はわかりやすさ・使いやすさを徹底

「わが社の取引先は長年付き合ってきた大手ばかりだから、そんな心配とは無縁だ」――。

そう考える企業もあるかもしれない。しかし、急速な人口減少やデジタル化の進展など、社会構造が大きく変わろうとしている今、不確実性はますます高まっている。コロナ禍で痛手を受けた大企業も少なくないことを思えば、もはや大手だから安心という時代でもない。

そうした時代の変化をいち早く見据えてラクーンフィナンシャルが独自に開発したのがオンライン完結型の売掛保証サービス「URIHO」だ。同社が新たなサービスを立ち上げた理由について、諏訪部氏は次のように説明する。

取引先の代金未払いが発生した場合に、あらかじめ決まっている保証額を受け取れる

「一般的な売掛保証サービスは大企業向けの商品設計となっています。大きな債権に対応できる一方で、ある程度のリソースやコストをかけないと利用しにくい面もあり、中小企業や個人事業主の方々にはミスマッチであると感じていました。日本経済の活性化に貢献するためにも、中小企業や個人事業主の方々が安心してビジネスに取り組める環境を整えたいと考え、『URIHO』を開発しました」(諏訪部氏)

開発に当たって重視したのは、「わかりやすい」「手軽に使いやすい」サービスの設計だ。申し込みから与信審査、保証の請求まで自動化され、かかるのは月額料金のみ(9800円、2万9800円、9万9800円の3プラン)。各プランに定められた保証額の上限の範囲内であれば、何社でも売掛金の保証をつけられる。ちなみに、最も導入社数が多い月額2万9800円のプランの最大保証額は、合計3000万円だ(1取引先当たりの保証額は最大500万円)。

月額料金を支払えば、何社でも保証を付けられる

「支払いの遅れが発生したら弊社が代払いをする仕組みですので、いわば “掛け捨ての保険”のようなサービス設計です。よく、売掛債権を買い取って回収を代行する『買い取りファクタリング』と誤解されるのですが、『買い取りファクタリング』は支払いが遅れていなくても回収業者が出てきますので、取引に差し支えるおそれがあります。それと違って『URIHO』は、お客様企業のビジネスを阻害しません」(諏訪部氏)

入金の有無を案じて眠れない月末を過ごすことも、督促や回収の手間をかけることもなくなるというわけだ。また「倒産よりも支払い遅延のほうが先に起こり、発生する割合も圧倒的に高い」(諏訪部氏)ことから、取引先の「倒産」だけでなく、「支払い遅延」も保証の対象にしているという。

倒産よりも発生リスクの高い支払い遅延まで、しっかりカバー

リスクが圧倒的に軽減し、機会損失も防げる

これだけでも「URIHO」を導入するメリットは大きいが、諏訪部氏はさらに「与信ノウハウを提供できる」ことを強みとして挙げる。

「長年お付き合いを続けてきた取引先でも、状況の変化で取引額を見直さざるをえないケースがあります。しかし、そうした与信管理を適切に行うには、信用調査やさまざまな情報収集をしなくてはなりません。専門チームを設置しないと対応できないレベルですが、『URIHO』は弊社が長年積み上げてきたノウハウで、適切な与信審査・判断ができます」(諏訪部氏)

URIHOの与信ノウハウを生かせば、社内審査の手間も軽減できる

保証可能か否かだけでなく、柔軟に「一部保証可能」を示してくれるのがポイントだ。例えば、300万円の保証を希望した場合に「200万円までは保証可能」と最適な取引判断基準を示してくれるのである。しかも原則2営業日以内と迅速。与信審査は1週間程度かかるのが一般的だが、なぜ「URIHO」はそんなに素早いのか。

「導入企業数、1.1万社以上の保証実績を積み上げてきた成果を基に、グループが持つ技術力を生かしてAIを使った独自の審査スキームを確立しています。調査会社から入手した情報も加味し、デリケートな内容は人のチェックを介しています」(諏訪部氏)

AIを使った独自の審査スキームで、多くの審査依頼に対応

迅速に的確な与信判断が下せることで、当然のことながら営業活動は非常にスムーズになる。「この取引先との取引金額を増やしても大丈夫かどうか」の判断がつかず、取引を見送るケースは少なくないが、「URIHO」を活用すればその検討に要するリードタイムを圧倒的に短縮し、営業担当者の負担を減らして機会損失も防げるからだ。

未回収リスクと督促・回収業務をゼロにし、適切な与信管理のサポートで営業活動の最適化を図ることも可能――。中小・零細企業を支える多くの地域金融機関が提携するのは、このように低コストで高い安心が得られるからだろう。

未回収リスクと督促・回収業務をゼロにし、与信管理をサポート

「予測不可能な時代だからこそ、未回収リスクを抑えてつねにリスクコントロールできるようにすることが重要です。『URIHO』は、年間一括ではなく、毎月見直していただける契約形式になっています。また、初回の保証開始日から1カ月間は無料にしていますので実際にサービスをご利用いただいてから、導入を決定することができます」(諏訪部氏)

あくまでも「わかりやすく」「使いやすい」サービスであることを貫く「URIHO」は、不安がつきもののBtoB掛け売りビジネスを根底から変えていくかもしれない。