リスク情報をいち早く把握するソリューション AIとビッグデータで事件・事故の情報を抽出
BCPにおける初動をDX化するソリューション
「BCP(事業継続計画)という言葉は、経営者にも広く知られるようになりました。ただ、日本企業の場合は主に自然災害を想定しており、それ以外の不測の事態に遭遇すると対応が後手に回ってしまう印象が否めません。また、社員にはBCPに対する意識が高まっておらず、組織として迅速な対応に結び付けていく活動がうまくいっていないように見えます」と指摘するのはJX通信社代表取締役の米重克洋氏だ。内閣府の調査によると、BCPに対する経営層の意識が低いと回答したのは、わずか「6.6%」だった。一方で現場では、部署間の連携がうまくいかなかったり、サプライチェーンの中での調整が必要であったりと、組織として危機対応していく体制が確立できない要因があるようだ。
「情報に基づいて初動を早めることで、被害や損害を最小化していくソリューションが世の中にあるということに気づいていないことが理由として挙げられるでしょう」と米重氏は語る。不測の事態に遭遇してから情報を集めるには、カメラやセンサーなどを設置したり、テレビや現地の声を活用したりと人海戦術で多種多様な情報をウォッチしていく対策が普通だった。が、今やAI、ビッグデータを活用して、どこで何が起こっているのか、たちどころにリアルタイムで明らかにできるソリューションがある。それも限りなく予測に近い時間軸で情報を把握することができるのだ。
それがJX通信社が開発した「FASTALERT(ファストアラート)」だ。AIを用いて日本語でリスク情報を配信するSaaS型防災テックで、「あらゆるリスク情報の収集をDX化した」サービスだ。すでに報道機関で圧倒的な導入実績を誇るほか、行政、あるいは民間企業なら製造、物流ほか、エネルギー・鉄道・道路・水道など社会インフラなどを手がける業種を中心に浸透しつつある。とくにBCP対策、あるいはサプライチェーンのレジリエンス強化といった用途向けにニーズが高まっているという。米重氏は次のように語る。
「もともとFASTALERTは報道機関向けに開発したソリューションサービスです。報道機関は労働集約型で人海戦術に依存しているという課題の解決が必要でした。中でも情報を集める業務を機械化できないかというニーズを受け、SNSというビッグデータの中から災害や事故の情報を収集して、人間ではなく機械が、どこで何が起きているかをあぶり出していくことができないかと私たちは考えたのです。そうやってDX化を実践してきた経緯がFASTALERTにはあります」。JX通信社は2008年に米重氏が創業した報道分野に特化したテックベンチャー。「FASTALERT」はサービス提供を開始した年から7カ月という短期間で首都圏の放送局すべてで採用が決まり、今では全国の報道機関のほとんどが利用する状況となっているという。
「例えば、ニュース番組で視聴者提供というクレジットが付いた災害映像を見ることがあると思いますが、その多くはFASTALERTが提供しています。事件や災害が起きると報道機関に速報として第一報を配信すると同時に、私たちも情報の事実確認など一定の取材を行い、続報を配信し続けます。速報であっても正確できめ細かい情報を提供することを心がけています。報道機関でも情報のタイムラグや漏れが少なくなり、初動も早くなりました」
「FASTALERT」が選ばれる理由
「FASTALERT」の特長は大きく分けて3つある。
まず1つ目が「どこで、何が起きたかをどの報道機関より早く配信できる」ことだ。報道機関にとってのネタ元なので、ある意味、当たり前と言ってもいい。
2つ目が「100分野以上のリスク情報を収集し、提供できる」ことだ。リスクの内訳として大雨、地震、台風、積雪などの自然災害から、システム障害、交通事故などの物的・人的被害、さらに情報漏洩、炎上リスク、新型コロナウイルスの最新情報まで幅広くカバーしている。
3つ目が「ライブカメラ、速報衛星画像など、一社単独では収集が難しい情報を活用できる」ことだ。
「普通なら、インターネット上の情報の99%以上は、リスク情報として使えません。しかし、私たちには膨大な情報の中から、AIを駆使して確かな情報を選び出し、どこで何が起こったのかを整理分析し、"使える情報"として提供できる技術があります。これは、弊社にしかない強みです。"使える情報"の中には、報道機関にとってはささいな情報でも、企業にとっては死活的に重要な情報があるかもしれません。そうした情報収集のDX化は、報道機関に限らないのではないか。そこで私たちは報道機関以外のお客様にもサービスを提供していくことにしたのです」
情報収集のDX化に価値を感じて、経営者やマネジメント層からの問い合わせが相次いでいるという。
「物流やサプライチェーンに関わる業種で多くの車両を持っている企業や、広いエリアでお客様を抱えていらっしゃる店舗や施設を持つ企業で、主に経営者の方々からご指名をいただいてFASTALERTの採用が拡大しています。事故や災害が発生すると、どの道路が通行可能なのか、SNSや自動車の通行状況ビッグデータ、衛星画像などを活用して解析を行い、配信を行っています。広いエリアでも、不測の事態が起これば状況を把握し、迅速に対応しなければなりません。危機管理やBCP対策に責任を持つ経営者にとってFASTALERTは強い味方となっているのです」
こうしたリスク情報の配信は、利用している顧客からの要望に応えて、種類も増えているという。
「最近は、システム障害に関する要望が増えてきました。局地的に発生した障害は影響範囲の特定が難しいといわれていますが、FASTALERTならどのエリアで、どんな人たちに影響を及ぼしているのかを特定することもできます」
多様なビッグデータでリスク情報の「解像度」を上げる
SNSやAI、ビッグデータを活用し、リスク情報を可視化できる「FASTALERT」。JX通信社では現在、情報源である多様なビッグデータを活用して「今起きていることの解像度を上げる」ことに努めている。
より正確なリスク情報を提供していくことで、企業の危機管理のサポートをしたいと米重氏は言う。
「もし不測の事態が発生しても、正確でどのメディアよりも早く情報を得ることができれば、リスクを回避し、損害を最小化することができます。しかも、これまでのように自社で人海戦術やハードウェアに頼った対策ではなく、効率的に少ないコストでサービスを利用することができるようになっているのです。それがFASTALERTです。企業の経営者、マネジメント層の方々にとっても、必ずご満足いただけるサービスとなっています。不確実性が増す時代の中、想定外の不測の事態にどう対応すべきなのか。そう思われた際には、ぜひとも私たちにご相談いただければと思っています」