Amazonが日本に積極投資を続ける根本理由 11月には、海外販路拡大の特設サイトを開設

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Amazonが日本において、さらなる進化を遂げようとしている。その中核となるのが中小規模の販売事業者への支援だ。「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」をミッションに、きめ細かいサービスを日本の「中小企業」に提供していくというAmazon。その具体的な取り組みとは何か。これから紹介することにしよう。

Amazonでは、日本における中小規模の販売事業者への支援策を次々と打ち出している。これから、それらを語る前に、まず興味深い数字から見ていくことにしよう。2020年においてAmazon.co.jpに出品する日本の中小規模の販売事業者数は約16万社。この約16万社が、年間5億点以上の商品、つまり1分当たりに換算すると平均で900個以上の商品を販売しているという。そして、彼らが海外で販売した商品個数も前年比で55%以上の増加という高い数字を示している。

フルフィルメントセンターなどでロジスティクスを強化

しかし、Amazonの存在感が増す一方、日本での投資活動はあまり詳らかにされてこなかった。では、具体的にどのような行動をとってきたのだろうか。

実は、2010年から2019年までに2.7兆円を日本に投資している。その額は年々増加しており、2019年には6000億円以上。こうした傾向は日本で果たすECの役割が大きくなっていることを示唆しているかのようだ。

経済産業省の調査によれば、日本国内のBtoCにおけるECの規模は2020年で12.2兆円と前年比21.7%の成長を遂げているという。つまり、元気がないといわれる日本でも、ECにおいては拡大する余地が小さくないともいえる。日本でのEC事業を一貫して指揮してきたアマゾンジャパン社長のジャスパー・チャン氏も次のように語る。

Amazon ECサミット2021に登壇する
ジャスパー・チャン氏

「今、政府がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する中で、日本企業、とくにその9割以上を占め、日本の雇用の約7割を担うといわれる中小企業を、今まで以上に支援する役割を果たしていきたい」

中小企業支援の大きなカギとなるのが商品の在庫保管・配送代行サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」。販売事業者の商品の在庫管理から梱包、配送、カスタマーサービスまでをAmazonに委託するプログラムだ。とくに人手不足の中小企業では、在庫管理や発送業務などにさける人員に限りがある。カスタマーサービスを24時間365日体制で行うことも困難だ。FBAによって、販売事業者は、新商品の開発やものづくりに集中できるだろう。 

テクノロジーとスタッフとのコンビネーションがスピーディーな配送の原動力

FBAの拠点となるフルフィルメントセンター(FC)は日本国内に20カ所以上。FC内では、最新のロボティクスと大勢のスタッフとのコンビネーションによってスピーディーな配送を実現している。さらに、お客様に商品を届ける物流の最終プロセス Last One Mile(ラストワンマイル)を担う配送ネットワークにも投資。Amazonでは、FBAを戦略的プログラムと位置づけ、積極的な投資を続けている。

Amazon.co.jpに出品する日本の中小規模の販売事業者である約16万社のうち、8万社以上がFBAを利用している。もちろん、FBAは顧客にも価値を創出している。例えば、FBAを利用している商品は「お急ぎ便」でお客様への配送が可能になる。そして、会員制プログラム「Amazonプライム」の特典の1つとして追加料金なく無制限に利用できる「お急ぎ便」の人気は高いという。

カスタマーエクスペリエンス(顧客満足度)を重視する理由

積極的な投資と継続的なサービスの改善は、顧客満足度の向上につながる。Amazonが中小規模の販売事業者支援で重視しているのも、カスタマーエクスペリエンス(顧客満足度)にほかならない。Amazonのカスタマーエクスペリエンスは、品ぞろえ、価格、そして迅速な配送などの利便性という3本柱によって支えられている。高い顧客満足度を提供するECサイトであれば、多くのお客様が集まり、多くの販売事業者が出品することができる。その結果、より品ぞろえが充実し、より安く手に入る商品も増える。そこでは、規模の経済が生まれることで、ロジスティクスへの投資が進み、配送スピードも上がる。そうすると、さらに顧客満足度が向上し、もっと多くのお客様が訪れる。そんな好循環をAmazonはつくり出そうとしているのだ。

ロジスティクス強化が、顧客満足度向上に寄与する

その好循環は国内にとどまるものではない。販売事業者は、アメリカやヨーロッパをはじめとする世界19のAmazonのストアで、180カ国以上のお客様に商品を販売することができる。実際、2020年に日本の中小規模の販売事業者が海外で販売した商品個数は前年比で55%以上の増加という高い数字を示している。2020年には、日本企業の海外進出をサポートするため、日本語で海外販売を支援するチームも立ち上げている。

「JAPAN STORE」の開設などの新たな中小企業支援策

それだけではない。Amazonでは中小規模の販売事業者を支援する新しい取り組みを次々と打ち出している。その1つが、ヤマト運輸と共同で行う「マーケットプレイス配送サービス」だ。これは、Amazonに出品する販売事業者が、自社でお客様向けに配送する全ての商品を対象として、ヤマト運輸が提供する宅急便、宅急便コンパクト、ネコポスの配送サービスを、両社の連携により実現した「特別運賃」で利用できるサービスで、2021年内にスタートする予定となっている。

この「マーケットプレイス配送サービス」を活用することで、販売事業者は事業規模にかかわらず、特別な条件交渉や手続きなしに、特別運賃でお客様向けに商品を配送することができる。とくに中小の販売事業者は出荷コストの低減分の経済的資源を商品の拡充をはじめとする販売戦略に振り向けることが可能になるので、自社の強みを伸ばすことにもつながるだろう。

さらに、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)と共同での日本企業の海外販売支援もスタートさせている。こちらは11月にアメリカのAmazon.com上に開設する「JAPAN STORE」を通じて、日本企業による海外販売およびマーケティング活動をサポートするというもの。「JAPAN STORE」での販売にあたっては、はじめてAmazon.comに出品する販売事業者は、出品アカウントの作成や商品登録のサポート、販売コンサルティングといったAmazonの専任担当者による日本語での支援サービスが受けられるので、販売事業者は言語や事業拠点の場所にかかわらず、Amazonを通じてアメリカに向けて販路を拡大していくことができるようになる。

さらに「JAPAN STORE」は、アメリカの法人および個人事業主向けのECサイト「Amazonビジネス」上にも開設されるので、JAPAN STOREに出品する販売事業者は、アメリカでBtoCだけでなく、BtoBにも販売機会を広げることができる。

なお、「JAPAN STORE」の基本プランへの申し込みは2022年3月まで可能。この機会に是非とも確認したい。

日本の中小企業への支援策を拡充するAmazon。これからも日本の産業界の一員として、日本企業の国内外でのECビジネスの成長をより一層サポートしていく方針だ。

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