基本を深めればビジネス英語にも深み

受験で学んだ英語こそあなたの財産

杏林大学外国語学部英語学科 准教授
北村 一真 Kazuma Kitamura
慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程単位取得満期退学。学生時代に関西の大学受験塾の隆盛ゼミナールで難関大受験生の英語講座を担当。2015年より現職。著書に『英文解体新書』(研究社・2019年)、『英文解体新書2』(研究社・2021年)、『英語の読み方』(中公新書・2021年)など
杏林大学外国語学部で学生に英語を教える一方、『英文解体新書』『英語の読み方』などの著書や多様な媒体を通し、幅広い分野で英文を読みこなすコツを伝授している北村一真氏。英語力を高めたいビジネスパーソンに、「かつて受験勉強で学んだ文法や単語が、いかに大事か知ってほしい」と話す真意と、自らが英語を学ぶ中で得たものについて聞いた。

高校時代に気づいた英文法を知ることの魅力

――英語や英語学に興味を持たれたきっかけは何ですか。

高校時代、受験勉強で英語の文法を学ぶうちに、難しい英文も意味がわかるようになり、「英語はこんなに理詰めでわかるんだ」と気づいたのがきっかけでした。そこから、構造や文法など、英語にどんな仕組みがあるのか、どんどん興味が深まっていきました。

――英語の勉強はどのように深められたのですか。

読み書きはかなり一生懸命やって、問題も解けて成績もよくなりました。それで、大学の英米文学専攻に進学したのですが、話題になっている映画の話などを英字新聞で読んでいると、結構わからないことがあることに気づきました。英文の仕組みや構造はわかっても、語彙力や文化的知識が不足していたんです。そこで、学部の勉強に取り組みながら、語彙力に関しては、ネイティブの高校生が使うようなボキャブラリーをがっちり勉強して、しだいにベストセラーの洋書などを読んでも内容がわかるようになっていきました。

多くが誤解している「学校で習う英語」の価値

――英語を学んだメリットをご自身はどう捉えていますか。

まず、英語を論理的に学ぶことで、日本語を英語に訳せない際に、実は元の日本語のほうを厳密に理解できていない場合もあると気づけたのはよかったと思います。例えば、「独り歩きをする」という日本語を、「ウォークアローン」と英訳しても本来の意味は通じませんよね。そんなふうに、和文英訳の訓練を通じて、母語でも曖昧にしか理解できていないということに気づけたのです。そこで、その文脈では「本来の趣旨とは離れてそれだけが取り上げられること」のように置き換えられるとわかれば、英語に訳すことも可能になります。そう考えると、英語を学ぶことで日本語の力も伸びたというメリットはあったと思います。それと、英語の受験勉強自体が、実際に英語を使う場でかなり役立つことがわかったことも、よかったと思います。このことは、皆さんももっと知るべきで、誰にとっても英語を学ぶことの大きなメリットです。

――具体的にはどういう意味ですか。

これは、誤解している人が非常に多いのですが、日本では学校で習う英語はネイティブに通じないとか、一般にはあまり使われない教科書英語だという思い込みがかなり根強いのです。「実際、それはよく使われている英語ですよ」と言うと、英語のわかる人はうなずきますが、「本当ですか?」と疑う人が結構います。それで、僕が大学で担当している授業でも、映画のワンシーンを見せて、「ほら、学校で習う文法をまさにここで使っているでしょう。これを知らなかったら、いくら単語が聞き取れても意味がわからないよね」と説明すると、彼らも納得するのです。

受験勉強の文法や単語が英語力を伸ばすカギに
英語に触れる時間を意識して増やす

――受験勉強の英語は、社会に出てからも役立つということですか。

もちろんです。多くの社会人が受験するメジャーな英語能力検定も、高得点を取れる人となかなか点数が伸びない人の差は、受験英語の基礎がどれだけ身に付いているかだと僕は思っています。つまり、大学受験で地道に勉強した英単語や英文法が、いかに重要かということです。また、そうした検定は、英語を継続して勉強する目標にもなりますから、それをきっかけに改めて英語の勉強をしたとか、実際のコミュニケーションで生かされたということにもつながると思います。それなのに、自分の英語がいちばんできたのは受験直後の大学1年生のときだったという人がかなりいて、本当にもったいないと思います。僕が『英文解体新書』や『英語の読み方』という本を書いたのも、そんな思いからでした。

――社会人にとっても英語は基礎力が大事ということですね。

英語を勉強し直したいと思っている方には、かつて自分が受験で一生懸命勉強した文法や単語をもう一度思い出してほしいですね。英語能力検定などでも、対策本に頼りがちですが、受験英文法の基本や英文解釈の基本をしっかりやり直したほうがいいと僕は思います。そうすると、「自分はここが抜けていたな」といった気づきがあり、結局点数を伸ばす近道になることが少なくありません。

――コロナ禍でオンライン会議が増えるなど、英会話の必要性が出ている人もいると思いますが。

英語を間違いなく話そうとすると余計話せなくなりますから、まずそれを気にしないことです。例えば、相手が英語のネイティブスピーカーなら、あなたの英語が完璧でなくても言いたいことは通じるものです。そして、日本人は英語に触れる時間が圧倒的に少ないですから、英語教育の場なども含め、できるだけ意識して英会話に触れる機会を増やすことが重要です。そうして話す回数を増やし、自分に合った勉強法を見つけて継続することが、英会話力を高めることにつながるでしょう。

――最後に、読者へのアドバイスをお願いします。

まず、ビジネスパーソンについては、それぞれの仕事で使う英語はかなり特殊なケースが多いですから、最初は必要な場面で使う英語を見極めてマスターするのが重要だと思います。そのうえで、目的に合った英語の勉強を継続するとともに、普段から英語で話したり聞いたりする機会を増やしたり、ニュースの英語版を見るようにしたりして、英語に触れる時間を増やすことがレベルアップにつながると思います。

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