霞ヶ関キャピタルが切り開く物流の新しい可能性 独自戦略で投資家を呼び込み、倉庫不足を解決

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ニーズが高まっている物流施設は、投資家にとって魅力的な投資先だ。しかし、投資できるのは通常、デベロッパーが倉庫を完成させた後になる。もっとハイリスク・ハイリターンで開発段階から倉庫に投資をしたい――。そうした投資家のニーズに応えて新たな投資機会を提供しているのが、倉庫ブランド「LOGI FLAG」を展開する霞ヶ関キャピタルだ。業界に一石を投じる同社の取り組みを追った。

「巣ごもり需要」の裏にある"倉庫不足"の課題

近年のEC市場の拡大によって倉庫の需要が高まり、このニーズを受けて伸びているのが、霞ヶ関キャピタルが展開する倉庫ブランド「LOGI FLAG」だ。

不動産ファンドをルーツに持つ霞ヶ関キャピタルは、東日本大震災で被災した商業施設の再生を機に「社会課題の解決」を事業の軸に、再生可能エネルギー発電施設、アパートメントホテルなどの不動産開発を展開している。

同社が、なぜいま物流分野に進出したのか。倉庫不足は大きなテーマだが、実は同時に気候変動課題にも取り組もうとしている。取締役執行役員で物流事業本部長の杉本亮氏は、こう語る。

取締役執行役員
物流事業本部 本部長
杉本 亮氏

「物流の中でもコールドチェーンは成長が期待されています。触媒に使われるフロンは2030年までに全廃しなければならない。一方、いま主流になりつつある代替フロンはオゾン層を破壊しないものの、温室効果はCO2の1万倍程度といわれています。私たちの冷凍冷蔵倉庫は、自然触媒のアンモニアとCO2を使用予定で、開発コストは約5%上がりますが、CO2排出は少ない。地球環境のために必要なことだと考えています」

有名ファンドが投資する独自の開発フロー

霞ヶ関キャピタルが、いま開発を進める倉庫は事業の立ち上げから約1年で8件に上る。創業10年を迎える同社は、上場しているが規模的にはベンチャー。普通は年に数件の開発が限界だ。なぜこれほどの数の開発を進められるのか。

「倉庫不足の解消に、迅速かつ大きな役割を果たしたいと考えています。そのために獲得した土地を、倉庫の計画や許認可取得、コストを固めた段階で投資家やファンドを呼び込み、一定の利益を乗せて売却します。こうして回収した資金を再び土地の取得に回す。倉庫の開発は投資家やファンドと共に行い、開発した倉庫の売却益等の運用益をファンドや投資家に分配するスキームです。こうすることで資金的な制約に縛られることなく、多くの用地を取得できています」

同社は過去にさまざまなアセットをこの「戦略的コンサルティング型デベロッパー」スキームで手がけており、それを倉庫開発に適用した形だ。

投資家から見ても、このスキームはメリットが大きい。物流ニーズの高まりから、倉庫への投資機会を狙う投資家は多い。しかし開発後の投資が通常で、ローリスクローリターンになりがちだった。一方、「LOGI FLAG」は開発前に投資が可能であり、より高いリターンを期待する投資家に新しい選択肢を提供する。

実際、「LOGI FLAG」にはさまざまな投資家が手を挙げている。千葉県市川市の冷凍冷蔵倉庫開発は、JR西日本不動産開発らが投資。千葉県船橋市の冷凍冷蔵倉庫開発は、世界有数の不動産ファンドであるブルックフィールド社が投資を決めた。「ブルックフィールドが日本の案件に投資するのは初めてでとても画期的だ」と杉本氏も胸を張る。さらに埼玉県ふじみ野市で取得した用地には芙蓉総合リース、NECキャピタルソリューションなど日本企業3社が投資を決めている。

横浜港北エリアに建設予定の冷凍冷蔵倉庫 (イメージ)

ワンストップで開発を導く「チーム力」の源泉

「LOGI FLAG」は取得した土地の立地の魅力からも、多くの投資家から注目を集める。市川市で開発中の冷凍冷蔵倉庫は、工業地域と住宅地域の境目の工業地域側に建てられる予定だ。

「工業地域の真ん中に建てると、通勤に不便で従業員を雇用しづらい。一方、住宅地域は規制があるうえ、道路が狭くてトラックが通りづらい。住宅地寄りの工業地域は理想的な立地です」

さらに、倉庫を建設できるエリアは少ないが、地価が低い市街化調整区域での開発にも積極的だ。同社はこうした土地を手に入れ、開発コストを抑えることで、高いパフォーマンスが期待されるファンドを組成できる。ではなぜ、いい土地を獲得できるのか。秘密は人材にある。

「事業部内の、テナント誘致チームが強みの1つです。彼らは、土地情報が出ると現地へ赴き、いい土地かどうかを的確に判断するノウハウを持っています」

倉庫に適した土地であれば、設計企画チームが最短1日で建物の簡易プランを作成し、物流投資マーケットを熟知したチームが収支計画を立てる。その後、毎週開かれる投資委員会に上げ、その場で決裁する。このスピードも特徴的だ。

「通常デベロッパーは企画を外注するケースが多く、土地情報を得てから売り主に価格提示するまで1カ月かかることも珍しくない。一方、私たちはすべて内製化しているので1週間で施設の企画から想定収支の組み上げや価格算出ができる。このスピードの差が競争力になります」

現在、ドライ倉庫「LOGI FLAG」、冷凍冷蔵倉庫「LOGI FLAG COLD」を展開中だが、将来に向けて立ち上げた研究チームは自動倉庫「(仮称)LOGI FLAG TECH」を開発中。特殊な医薬品向け倉庫「(仮称)LOGI FLAG MEDICAL」など、付加価値をつけたサブブランドの展開も視野に入れている。

「ほかにも新しい『LOGI FLAG X』ができるかもしれません。私たちは今後もまだ世にないものを開発し、社会課題を解決したいという思いを持っています。物流の世界で新しいことをやってみたい人がいれば、ぜひ一緒に挑戦してほしいですね」

幅広い事業展開で成長してきた霞ヶ関キャピタルは「社会課題の解決」を軸に、生き生きと挑戦するマインドを持つ人材を広く募集している。自分なら、どのような「X」のアイデアを持つか、考えたい。

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