「腸活」をパワーアップさせるヨーグルトとは? 生きて大腸まで届くビフィズス菌の重要性
腸活のためには「ビフィズス菌」
新型コロナウイルスは世界のあり方を大きく変えたが、個人レベルに目線を落とすと、運動不足や体重増加が浮き彫りになる。「そんなことか」とあなどるなかれ、健康は仕事のパフォーマンスに直結するだけに、その管理はビジネスパーソンにとって、重要なタスクといえる。
コロナ禍とは関係なく、健康意識の高いビジネスパーソンはすでに「腸活」に取り組んでいるかもしれない。腸内細菌の研究が進み、腸と体の関係が少しずつ明らかになってきているからだ。そしてヨーグルトは、誰もができる腸活のための第一歩として大きな支持を集めている。そうした状況を反映してか、ヨーグルトを含めた乳酸菌類の市場規模は、2019年の1837億円から、20年の1919億円へと、約4.5%伸長している※。
だが、ヨーグルトは多くの製品があり、何を基準に選べばいいかが難しい。味や価格を優先したくなるが、「実は菌によって、特徴は大きく変わります」と指摘するのが、ダノンジャパン株式会社 研究開発部の西田聡氏だ。
「ひとくちに“乳酸菌”や“ビフィズス菌”といっても、その中には菌種が無数に存在します。各社とも選びに選び抜いた菌を使っているため、基本的にどの商品にも『スーパースター』が入っていますが、当然スーパースターの中にもそれぞれに個性があり、違いがあります」(西田氏)
ここではまず「乳酸菌」と「ビフィズス菌」を整理しておこう。すべてのヨーグルトには乳酸菌が入っているが、ビフィズス菌はそうではない。ビフィズス菌の扱いは乳酸菌よりも格段に難しく、大きな設備投資や長年のノウハウが必要とされる。なぜそこまでしてビフィズス菌をヨーグルトに入れているかといえば、大腸での「腸活」が期待されるからだ。
大腸まで生きて届くこと
西田氏が指摘するように、ビフィズス菌の中にも個性がいろいろあるが、「大腸まで生きて届くこと」が重要になる。
「大腸内には、元からすみついている“先住菌”がたくさんいます。そして食べものを介して生きて届いたビフィズス菌が大腸内で代謝物を出すことで、先住菌が活性化すると考えられます。もしビフィズス菌が死んで大腸に届いた場合、この作用は起こりません。だからこそ、ビフィズス菌は『大腸まで生きて届くこと』が、大きなポイントになるのです。
とはいえ人間の大腸内には、数百兆個の腸内細菌が常在し、その重さは1〜2キロに及びます。要は牛乳パック1〜2本分の重さの腸内細菌が、体内にすみついているわけです。したがって、生きたビフィズス菌がほんの数個届いただけでは、ほぼ何も起こりません。腸内細菌にいい影響を及ぼすには、ある程度まとまった数のビフィズス菌が生きて大腸に届くことが必要になるのです」(西田氏)
だがビフィズス菌には大きな弱点がある。そもそもが酸や酸素に弱く、大腸まで生きて届きにくいのだ。まずは胃の中で、強酸性である胃酸によって大きなダメージを受ける。続いて十二指腸から小腸にかけても、胆汁により、多くのビフィズス菌が攻撃されてしまう。
従来品より100倍胃酸に強いBE80菌
そんな過酷な環境の中でも、ダノンビオに入っている「BE80菌」は少し他とは違う耐性を持つ。
「BE80菌は、1985年にフランスのダノン社が選抜した菌で、一般的なビフィズス菌より酸素に対する耐性が高く、胃や小腸を通過する際の生存率も高いという特徴があります。85年当時は現代のようには測定機器や実験器具が充実しておらず、ビフィズス菌に関する知見も少ない中でこの希有な菌を発見したのは、奇跡にも近いのではないでしょうか」(西田氏)
同社が行った実験では、BE80菌の対胃酸性は、従来品に比べて約100倍高いという結果が出ている※1。また胃と小腸を通過した場合でも、他の従来品のビフィズス菌はほぼすべてが死滅したのに対し、BE80菌は1/8が生存した※2。西田氏は「これまでさまざまなビフィズス菌のデータを見てきましたが、腸管内での生存率では、私の知る限りBE80菌の数値が最も高いです」と話す。
BE80菌は、数あるビフィズス菌の中でも、より多くの菌が生きたまま大腸に届く“スペシャル”な菌なのだ。そんなBE80菌が入るダノンビオは、海外では「アクティビア」の名で広く流通し、世界で最も選ばれているヨーグルトとなっている※3。
今後、腸内環境を気にしてヨーグルトを購入しようとする際には、味や価格ではなく、菌に注目していただきたい。まずは、そのヨーグルトにビフィズス菌が入っているかどうか。そして、その菌はちゃんと大腸まで生きて届くかどうか。さまざまなものを失ってから菌の大切さに気づく、ということのないようにしたい。
※2 ダノン社が保有する他のビフィズス菌と比較。人工的に胃と小腸を模した装置で菌の生存率を調べた結果
※3 ニールセン・カンパニーなどが報告したデータに基づき、グローバルフレッシュデイリー市場(牛乳を除く)で日本を除く23ヵ国における売り上げ金額をもとに、ニールセン・カンパニーが算出。対象期間2020年1月-2020年12月(プライベートブランドを除く)