ソフトバンク流「良質な働き方」が挑戦を生む訳 人生を見据えて成長できるキャリアを築くには
「失敗で減点しない」企業風土の根源には人間愛
「ソフトバンクっておもちゃ箱みたいな会社なんですよ。『あれとあれを組み合わせて、こんなものを作ってみたい』と言うと『面白そうだしやってみれば』と」
そう言って笑うのは、多彩なキャリアを歩んできた小齊平康子氏。日系、外資系コンサルティングファームで買収監査や事業再生などに従事した後、ファーストリテイリングで事業監査や業務改善を担当し、2017年にソフトバンクに転職。入社のきっかけは、ソフトバンクでRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション、ロボットによる定型作業の自動化)活用の新部署の立ち上げだったという。
「前職で内部監査をしていた際、数千件に上るデータを目視でチェックしていましたが、労働集約型の働き方に疑問を感じていました。煩わしい業務から人手を解放したいと思っていたので、働き方をRPAというテクノロジーで解決しようとしていたソフトバンクの方向性に共感し、迷わず入社を決意しました」
新卒時代から『何かを変えたい』という思いでキャリアを選んできた小齊平氏。ITやテクノロジーの活用で社会課題に挑むソフトバンクは、一度しかない自分の仕事人生を懸けるに値するフィールドだと感じたという。ゼロからイチを生み出す面白さを実感した仕事について、こう振り返る。
「RPAを活用してロボットのPepper(ペッパー)で何かできないかなと考えたところ、衣料品店にRPAで商品の在庫情報を教え込んだPepperを置いて、お客さんに操作してもらうのはどうかと思いついたんです。Pepperに搭載されたカメラに商品バーコードを読ませると、タブレットに色や在庫数などの情報が表示され、お客様自身が確認できる仕組みです。
上長に提案したところ、『面白そうだからやってみたら』と、すぐGOが出て、すぐ仲間や資材が集まりました。懐が深いというか『おもちゃ箱』みたいな会社です(笑)。テストの結果、Pepperから購入につながった例がすごく多かった。新しい購買体験を生み出す面白さを感じましたね」
だが挑戦を恐れない人には失敗がつきものだ。「ソフトバンクに入社後、大きなミスを何回もしました」と話す。
「新しい会社を立ち上げるプロジェクトに失敗したときのこと。頭が真っ白になって落ち込んでいた私を心配した役員が、ご飯に連れていってくれて『うちの会社は大きな失敗を経験している人ばかりだから大丈夫だよ』と励ましてくれたんです。実際に人事評価は、予想していたような悪い点数ではありませんでした。結果だけではなく、プロセスやチャレンジの姿勢を評価してもらえましたし、失敗から学ぶ姿勢を重視する企業文化を感じました」
挑戦による失敗は、減点評価しない。こうしたところに、ソフトバンクの本質が見て取れる。小齊平氏は今、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資する企業の日本進出支援を担当。出資先の1つであるWeWork Japan合同会社のヴァイス・プレジデントとして出向し、160名近くのメンバーを束ねているという。
「管理職として意識しているのは、ネガティブな側面に限定した評価をしないことです。これは尊敬する上司から『上司はチームを率いるのではなく、部下の働きを支援する立場』と言われて気づかされました。根源に人間への強い愛情を持っている管理職が多いのも、ソフトバンクの魅力かもしれません」
「本質を理解したらデザインが変わった」
UI/UXデザイナーの内藤万弓氏は、現在ソフトバンクのオンラインショップの企画やデザインに携わっている。2017年にWeb制作会社から転職したというが、その経緯について次のように話す。
「前職では大手から中小企業まで、幅広い業界の案件を担当していました。業務内容も企画・提案、プロジェクト管理、UXデザイン、情報設計と多岐にわたり、とても刺激的な毎日でした。全力で仕事をする中で、第三者としてではなく、もう一歩踏み込んで自分自身の気持ちを入れたデザインを手がけたい、という思いがありました。事業者サイドなら、それができるのではないかと考えました」
ソフトバンクに入社後、最初の約1年は公式アプリのUXデザインに携わった。その後、公式サイトの担当を経て、現在は公式オンラインショップのサイトデザインを任されている。
「前職と比べると、より本質を理解したうえでデザインできるようになりました。例えば、スマートフォンに精通している社員にヒアリングして、どうすれば機種の魅力がより伝わるのか、何を実現したいのかを把握することで、現場の生の声をデザインに活かせています。これは自社サイトを担当しているからこそ得られる醍醐味ですね」
同じ会社のメンバーだからこそ、相手の真意をつかむまでコミュニケーションを重ねられ、本質が理解できる。そうやって生まれたアウトプットはより納得感のあるものに仕上がる。今は、仕事の質を上げるだけでなく幅を広げることにも積極的だ。
「上司に、『こんなことをやりたい』という希望を伝えると、チャレンジできる場を設けてくれますし、うまくいかないときのサポートもしてくれるので、安心して挑戦できています」
「限りある人生の時間」を有意義に使える働き方
ソフトバンクが推進する働き方改革や支援制度も、自己実現をかなえる一助になっていると2人は話す。例えば、内藤氏はスーパーフレックスタイム制(コアタイムがなく業務状況などに応じて始業・終業時刻を日単位で決められる制度)を使うことでクリエーティブな仕事がしやすくなっているという。
「デザイン関連の業務は、作業時間が細切れになると非効率になってしまいます。締め切り前などの集中したいときは、朝や夜のミーティングが入らない時間に作業し、次の日は昼から始業するなど柔軟に働いています。また、社員一人一人の自己成長に向けた動きを継続・活性化させるために毎月1万円支給されている『自己成長支援金』は、デザイン関連の書籍やセミナーへの参加に活用できるので助かっています」(内藤氏)
小齊平氏は「時間だけではなく場所の制約がないのも合理的」と話す。
「ソフトバンク社員はWeWorkやその他のサテライトオフィスを自由に使えます。コロナ禍で使用する人は増えましたね。Face to Faceとオンラインを組み合わせ、効率よく時間を使えるように工夫しています。
また、学生時代からの親友ががんで闘病していたとき、2週間に1度の木曜日の午後は治療の付き添いに時間を充てていました。自分の時間を何に優先して使いたいのかは人それぞれです。柔軟な働き方によって優先順位を調整できるのは、人生において重要なことではないでしょうか」(小齊平氏)
自分の価値観や人生で大切にしたいことを守りながら、仕事でもパフォーマンスを発揮できる。ソフトバンクには、そうした生き方を支える土壌が整う。2人はこれからの挑戦についてこう展望する。
「直近の目標としてはデータを細かく分析するスキルを磨きたいと考えています。Web デザインの概念とビジネスの視点を融合できるようになれば、自分自身の付加価値を高められるはず。その根底には、会社に依存するのではなく、いつの時代でも個人として選ばれる自分でありたいという思いがあります。また、中長期の目標は、社内起業制度『ソフトバンクイノベンチャー』に挑戦すること。社会貢献につながるサービスを生み出してみたいですね」(内藤氏)
「私はロボットやVRのような先端テクノロジーが好きなので、それを活用して世の中をどう変えていけるのかを構想しています。例えば、VRでリアルと変わらない感覚のオンライン会議ができないものかと、最近はVRの体験会に足しげく通ってビジョンを膨らませています」(小齊平氏)
ソフトバンクの経営理念は「情報革命で人々を幸せに」。その担い手となるメンバーたちは、自律的な働き方とたゆまぬ挑戦によって価値を創り出している。その姿はたくましく、凜々しい。
⇒女性のキャリア支援について詳しくはこちら