「安定志向だが転職したい」年収800万超の悩み

ハイクラスの転職成功者「35歳〜が9割」の事実

コロナ禍を経て、働き方の多様化が加速している。“より自分らしい働き方”をかなえたいと、キャリアの棚卸しをするなど具体的に動き出している人が少なくない。ビジネスパーソンは今、自分のキャリアの可能性を広げるために何をするべきなのか。立教大学経営学部教授で、今年『転職学』を著した人材開発分野のエキスパート、中原淳氏に聞いた。

ハイクラス層が陥りやすい「安定」と「転職」のジレンマ

今、いわゆるハイクラス層のキャリア観はどのように変化しているのだろうか。中原氏はこう考察する。

中原 淳 (なかはら じゅん)
立教大学 経営学部 教授。立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所 副所長などを兼任。博士(人間科学)。専門は人材開発論・組織開発論。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授などを経て、2017〜19年まで立教大学経営学部ビジネスリーダーシッププログラム主査、18年より現職。『転職学』(2021)ほか著書多数。

「コロナ禍は会社と社員との信頼関係が、大きく揺さぶられるきっかけになりました。転職者の人数そのものはまだそれほど増加していませんが、潜在的な転職希望者は増えていると予想されます」

ハイクラス転職サービス「iX転職」を運営するパーソルキャリアが、年収800万円以上の30〜50代を対象にキャリア観の変化について実施した調査では、6割が「現職で無理なく働きたい」と回答※1。転職や独立を希望する人は微増しているという状況だ。

「正社員は基本的に、日本が作り上げてきた終身雇用制度によって守られていますから、右手に『安定チケット』、左手に『転職チケット』を持っている状態です。とくにハイクラス層なら、安定チケットを手放さない選択は極めて合理的でしょう。しかし『仕事が面白くない』『自社の経営状態がよくない』といった不満、不安が顕在化すれば、一気に『転職チケット』の行使が現実味を帯びてきます」

実際、テレワークの浸透によって浮いた時間をスキルアップや学びに充てるケースが増えている。中には、転職チケットを行使する準備をしている人もいるだろう。また、年齢を壁に感じて、転職を躊躇している人もいるかもしれない。だがハイクラス層は希少なスキルや経験、高い専門性を持っていることから、年齢を問わず転職市場での価値が高いと、中原氏は語る。

「ちまたでいわれる『35歳転職限界説』は、確かに中間層ではありうる話です。しかし、ことハイクラス層においては、実年齢よりもパフォーマンスが重視されます。とくに成長中の企業なら、喉から手が出るほど管理職やマネジャー経験者が欲しい。ハイクラス層の中途採用は、今後ますます活気づくでしょう」

パーソルキャリアの調査によると、ハイクラス層の転職成功者は、35歳以上が90%を占めている※2。中原氏の指摘のとおり、この層に限っては「35歳転職限界説」は関係しないといえそうだ。

キャリアの幸福度を高める「自己決定」という効用

またハイクラス層の65.5%が転職活動に半年以上時間をかけており※2、慎重な姿勢がうかがえる。見方を変えれば、じっくり時間をかけて、数あるチャンスを吟味しているともいえる。

ほかにも、転職のハードルとして、ストレスの大きさもある。中原氏によると、転職は死別(家族や恋人などの死)などに次いで、大きな心理的ストレスがかかる行為だという。そのため、転職活動への抵抗感が強く、行動を鈍化させているというわけだ。

こうしたストレスを乗り越えるためには、「自己決定で幸福な転職をかなえる」という意思が必要になる。だが他者決定の連続で人生を歩んできた人にとっては、この自己決定が難しいと中原氏は指摘する。

「日本人は、自分の人生における重要な選択を、自分自身で行った経験がないという人が多い。親や家族、教師、上司などの言うままに将来を決めている、いわば『他者決定病』に陥っている状態といえます。しかし一般的に、人の幸福度は『自己決定したということ』によって高まるんです。そして転職は、自分が生きる場所を能動的に選び取る行為。たとえ結果的に失敗してしまったとしても『自分で選んだ道だ』と思えますから、納得感につながります」

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パーソルキャリア「ハイクラス人材の転職事情を徹底調査」 調査期間:2019年2月 対象:1都3県(東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県)に住む、会社勤め(役員経営者、フリーランスは除く)で年収1000万円~1100万円未満の30~50代男女計400名と、年収400万円~500万円未満の20~40代男女400名 集計方法:分析においてはウエイトバック集計を行い、総務省「就業構造基本調査」2017年全国を性年代別、雇用形態別割合にあわせて補正したうえで分析 調査方法:インターネットによるアンケート回答方式

ヘッドハンターという「壁打ち相手」を転職のパートナーに

現状維持でキャリアを全うするか、新天地に活躍の場を見いだすか。いずれにせよ転職活動という具体的な行動に移す前に、自分自身の知識やスキルの棚卸しをし、自分の強みをどこで生かせるのかじっくり考える必要がある。自己を深く正しく認識するために合理的かつ効果的なのが、ヘッドハンターという伴走者の存在だ。

「ヘッドハンターには、人材と企業のマッチングだけでなく『壁打ち相手』の役割もあります。転職のプロと対話を重ねていくうちに、自分の強みや価値が浮き彫りになり、これまでのキャリアから現在、そして未来までのストーリーを描きやすくなります。『ダニング=クルーガー効果』といって、能力の高くない人は一般に自分の能力を過大評価しがちだとされますが、逆に能力の高い人は、自分を過小評価している可能性があります。正しい自己像をつかむには、家族や友人だけでなく、第三者であり、転職事情に精通したヘッドハンターの力を借りるのが効率的です」

ヘッドハンターを介した転職サービスは数多くあるが、重視したいのは実績だ。業界大手・パーソルキャリアが運営する「iX転職」はハイクラス層が多く登録している。大量の求人情報があるのはもちろん、いちばんの強みは、質の高いヘッドハンターが約2500人そろっていることだ。さまざまなキャリアバックグラウンドを持つヘッドハンターとの壁打ちは、新しい世界と出合い、自分でも気づかなかった自分に気づくための第一歩になる。

「iX転職」では、職務経歴書を登録するだけで希少性の高い求人の紹介を受けられ、転職活動にかかる雑多なストレスを軽減できる。それ以外にも、「はたらく」の選択肢を広げるとともに、選択と決断のヒントとなる情報を提供するメディアの運営やコーチングなどのサービスを通して、ハイクラス層がキャリアを戦略的に築くための支援をしてくれる。

「自分の強みを見つけ、正しい自己像を捉えたら、次は転職マーケットとのマッチングを考えなくてはいけません。それには相当な労力が必要ですから、やはりヘッドハンターの協力を得ることが合理的でしょう」(中原氏)

転職によって新しい世界に飛び込み、キャリアの可能性を広げながら、安定性を維持すること。これは両立可能だ。今こそヘッドハンターをはじめとするプロの力を借り、自分を生かせるキャリア形成について改めて考え直したい。

 
※1 パーソルキャリア「新型コロナウイルスによるハイクラス人材の「キャリア観の変化」を調査」 調査期間:2020年7月 対象:1都3県(東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県)に住む、会社勤めで年収800万円以上の30~50代男女(フリーランスは除く)計200名 調査方法:インターネットによるアンケート回答方式
 
※2 パーソルキャリア「ハイクラス人材の転職年齢を調査」 調査期間:2018年10月 対象:4大都市圏(東京・名古屋・大阪・福岡)に在住する男女6503サンプル 集計方法:ウエイトバック集計のもとデータは総務省労働力調査2017年次データで、性年代別・地域別・雇用形態別で集計。 調査方法:インターネットによるアンケート回答方式
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