「研究大国・日本」の本領発揮、世界で勝つ3要件 実は「日本の研究力は右肩下がり」は大きな誤解

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今年、世界の研究動向を分析して発表している文部科学省の科学技術・学術政策研究所から、衝撃的な結果が発表された(※)。一昨年までの3年間に発表された自然科学の論文を分析したところ、被引用回数が研究分野ごとの上位10%に入った論文数において、中国が米国を抜いて世界一になったのだ。中国はすでに、1年当たりの論文数で世界1位を誇っている。ここで気になるのは、日本の研究力だ。

危機的な状況にあるかに見える、日本の研究力

今回、論文の質の指標となる「被引用回数が多い論文数」でも米国を抜いたことで、量、質ともに世界一の研究大国になった中国。一方の日本は、1年当たりの平均論文数は6万5742本で、世界4位。20年前は世界2位、10年前は世界3位だったことを考えると、この視点だけをとらえれば、相対的な日本の地位低下は明らかだ。また、注目度の高い論文(Top10%補正論文)数は昨年の世界9位から10位にまで低下した。

これまでの日本は、科学技術大国であることを誇りにしてきた。しかし、その土台となる学術研究が国際競争で水をあけられると、日本の産業、さらに国際社会における日本の位置づけにも悪影響が出てくるだろう。はたして、日本の研究力をさらに伸ばす処方箋はあるのだろうか。

理化学研究所 理事
小寺秀俊

「日本の基礎研究力は、海外と比べても何ら遜色ありません。むしろいくつかの分野では、世界の先頭を走っています。課題は、研究結果をより多くの人に使ってもらい、そこで見つけた発見や課題を次の研究へとつなげていく展開力、持続力です。ここを強化して、いいサイクルを生み出せれば、日本の研究はもっと活発になると考えています」

そう指摘するのは、理化学研究所理事の小寺秀俊氏だ。小寺氏はナノプラットフォームの研究者で、京都大学や理化学研究所で産学連携を牽引してきた経歴を持つ。アカデミアと産業界の両方を熟知する研究者の目に、現在の日本の研究力はどのように映っているのか。そして研究力を高めるために、産学連携のあり方やデジタル活用をどう考えればいいのか。

小寺氏へのインタビューの詳細は、こちらのページから無料でダウンロードできるPDFから確認してほしい。

※科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2021」