Hondaがグロービス学び放題を採用した理由

4万人超の従業員を対象とした自律型研修制度

自動車産業を取り巻く事業環境が激しく変化しつつある中、本田技研工業もこれに対応するために変革に取り組んでいる。そのカギを握る人材育成でも新たな取り組みが進んでいる。従来の画一的な階層別研修を廃止し、自主自律型の研修体系を構築しようとしているのだ。そこで選ばれたのが、「グロービス学び放題」だ。

自動車産業が大きな変革の時期を迎えている

電気自動車(EV)や自動運転車の登場などにより「100年に一度の変革期」とされる日本の自動車産業。日本のものづくりを支えてきた自動車メーカーも、これまでのビジネスそのものの転換を迫られている。本田技研工業(以下、Honda)もそのうちの1社だ。

同社人事部 人材開発課課長の笹野真紀氏は次のように語る。「Hondaは『2030 年ビジョン』を定め、『すべての人に"生活の可能性が拡がる喜び"を提供する』というステートメントの実現に向けて、現在、『既存事業の盤石化』と『将来の成長に向けた仕込み』に取り組んでいます。キーワードは、『電動化』そして『カーボンニュートラル』です」。

本田技研工業
人事部 人材開発課
課長 主幹
笹野 真紀

「2030 年ビジョン」は、八郷隆弘前社長時代に掲げられたものだが、4月に就任した三部敏宏新社長にも引き継がれた。三部社長は、2040年までに同社が発売する新車のすべてをEVか燃料電池車(FCV)にすると表明している。

笹野氏は「事業を取り巻く環境が大きく変化している中で、新しい価値を創出することが求められています。そのための課題を解決するためには、やはり人材がカギになります」と語る。求める人物像もこれまでとは変化するに違いない。

「未来のHonda」に向けてどのような人材を育成しようとしているのか。同社人事部 人材開発課の竹花賢人氏は次のように答える。「一口で言えば自律的に”考動”する人材です。外的環境が刻々と変化する中では、会社からの指示を待っているだけではその変化のスピードに対応できません。本田宗一郎は創業当初から、『会社のためではなく、まず自分のために働け』と言っていました。人生100年時代ともいわれる今、改めて『自分のために働け』を進化させ、継続的に自己研鑽することで、他と伍して戦い、勝ち抜く人材になってほしいと考えています」。

コロナ禍の新入社員研修では「グロービス学び放題」を活用

本田技研工業
人事部 人材開発課
竹花 賢人

人材育成戦略についても見直しを進めているという。竹花氏は「研修などについても、これまでは入社年次や階層ごとに一律に行っていました。その一方で、事業部ごとにバラバラに実施している研修も数多くあり、全体像が把握できていませんでした。そこで、全社で行われている研修を洗い出すとともに、集約できるものは人事部門に集約し、部門によらずやる気のある従業員は主体的に学習できるような自己選択型の学習プログラムに転換していきます。さらに、LMS(学習管理システム)を導入し、一人ひとりがどれだけ学んでいるかを可視化できるような仕組みを構築中です」。

注目すべき取り組みもある。「自律的に考動する人材」の育成をHondaが重要視しているとのことだが、その実現のために、同社が選択したのが「グロービス学び放題」だ。

「グロービス学び放題」は、その名のとおり、ビジネスに関する体系的な知識を動画で好きなときに好きなだけ学習できるサービスだ。 21年7月現在17万人以上が学んでおり、企業での導入も2300社を超えるという。

笹野氏は「グロービス学び放題」を採用した理由について次のように話す。「20年はコロナ禍の影響もあり、新入社員研修をすべてオンラインで行いました。そこで『グロービス学び放題』と『グロービス学び放題フレッシャーズ』を採用したのですが、かなり成果が感じられたため、新入社員だけではなく、全社的に展開しようと考えました」。

20年春は、初めての緊急事態宣言下で、多くの企業で、研修はもとより、事業そのものの停止を余儀なくされた時である。Hondaも苦労を強いられたが、その中にあって「グロービス学び放題」を活用し、知識をインプットするだけでなく、インプットした内容を生かして、オンラインのワークショップを行うといった研修プログラムを着実に実施したという。

「さらに、現場に配属した後も、『今年の新人は、インプットした内容をしっかりと伝えることができる』という評判が多かったのです」(笹野氏)と、その成果にも手応えを感じたという。

4万人を超える全従業員を対象に「グロービス学び放題」を展開

20年春にHondaに入社した社員のうち、実際に、「グロービス学び放題」を活用して研修を受けた2人に話を聞いた。

本田技研工業
人事・コーポレートガバナンス本部
人事部 給与厚生課
直井 貴哉

人事・コーポレートガバナンス本部 人事部 給与厚生課の直井貴哉氏は「入社式もオンラインで行われるなど、『これからどうなるのだろう』という不安はありました。その一方で、Hondaに入ってどう成長したいか、自分を見つめ直す機会にもなりました。もっと多くの人にHondaに親しんでほしいという思いから、『グロービス学び放題』で、マーケティングなどのコンテンツも自主的に学んでいました」。

人事・コーポレートガバナンス本部人事部 給与厚生課の吉永隆二氏は「本田宗一郎のフィロソフィーに感銘を受けてHondaに入社しました。『グロービス学び放題』には、日本を代表する企業の経営者の講演などのコンテンツも多くあります。それぞれの経営者としての志やビジネス成功のための考え方を、いつでもどこからでも学ぶことができるのは非常に魅力的です。経営者視点に立って仕事に取り組む意識が高まりました」と語る。

本田技研工業
人事・コーポレートガバナンス本部
人事部 給与厚生課
吉永 隆二

笹野氏は「21年10月からは、新入社員だけではなく、4万人を超える全従業員を対象に『グロービス学び放題』を展開していく計画です」と紹介する。

従来の一律の階層別研修などは廃止されるという。竹花氏は次のように説明する。「例えば新任マネジャーに対して、Hondaとしてどのような知識を身に付けてほしいかといった大まかな能力開発のガイドラインは示します。ただし、そこから先、どれだけブラッシュアップの幅を広げるかはまさに自律的な研鑽に委ねられています」。

「グロービス学び放題」のアカウントは自ら手を挙げた社員に付与される。竹花氏は「受講に当たって、審査などはなく、誰でも受講できます。ただし、あくまでも会社からの指示ではなく、自主的であることを大切にしたいと思っています」と公募で導入とした理由を話す。

笹野氏は「まずは年度末(22年3月)までに5000人の受講者数になることを目指します。いずれは、4万人を超えるすべての社員が『グロービス学び放題』を利用するような文化を醸成していきたいと考えています」と目標を話す。そうなれば、まさに、Hondaがこれまでにはなかった新しい価値を生み出す企業へと大きく進化しているに違いない。

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