「ギグワークでキャリアを築ける」は本当か? コロナで国内100万人増、注目のワークスタイル

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単発・短期の仕事「ギグワーク」。米国で普及していた配達代行などが、日本でもコロナ禍の巣ごもり需要を背景に一気に市民権を得た。だが、「スキマ時間」で稼ぐギグワークは、コロナ以前からライフスタイルの変化や副業の広がりなどで増えていたのも事実だ。では今、注目されているのは何か。それは、稼ぐだけでなく、キャリアを築くギグワークだ。

「スキマ時間」でキャリアが広がる

今、リモートワークの広がりで、多くのビジネスパーソンに「スキマ時間」が生まれ、その活用方法に注目が集まっている。

それが、場所を選ばず、好きな時間に働けるギグワークだ。 今でこそギグワークといえば配達代行がイメージされるが、自分のスキマ時間で仕事をする人は以前からいた。業務委託の仕事をインターネット上でマッチングさせるサイトを運営するクラウドワークスの田中健士郎氏は、次のように語る。

「ギグワークを広義に捉えると、デスクワークの仕事も含まれます。街中を自転車で走る配達代行者のように数分から数十分で完了する仕事ではなく、数時間、あるいは数日をかけるような仕事になり、時間軸こそ異なりますが単発という点では共通しています。

クラウドワークス 社長室/地方創生リーダー 働き方エバンジェリスト
田中 健士郎

とくに2020年はリモートワークの普及により、通勤時間が浮いた人も多く、その時間でギグワークを始める人が増えました。緊急事態宣言後の20年6月末だけでも、ギグワークに従事する人は100万人増加したともいわれています。その選択肢の1つとして、デザインの仕事を検討するケースは少なくありません」(田中氏)

ここで重要なポイントは、「スキマ時間」で金銭的利益を上げることに集中するか、キャリア形成まで見据えるかということだ。単発・短期の仕事はキャリア形成につながりにくいと見られがちだが、実はそうでもない。デザインのように一定のスキルを必要とする仕事であれば、キャリアの可能性を広げるきっかけとなりやすい。

「デザイン系の仕事はユーザーのインサイトをつかんで、アウトプットに落とし、クライアントに刺さる提案をする必要があります。こうしたデザイン思考はどのような職種にも生きます。また、ギグワークは業務量や優先度合いを自分でコントロールできるのが魅力です。“緊急ではないけれど重要な仕事”を積み重ねていくと、長期目線で自分のキャリアに足りないものや、必要なことを見極められるようになります。実際にクラウドワークスで仕事をされている方の中には、仕事を通してこれまでのキャリアを見直す方も多いです。会社の看板がない状態で働くことで得られるメリットは、大きいと思います」(田中氏)

時間単価を上げることも可能

コロナ禍をきっかけに、キャリアに生かせるギグワークに関心を持つ人が増える今、クラウドワークスの登録者数も2020年3月末からの1年間で74万人増加したという。100種類以上の案件がある中、多くの人は単発の仕事からスタートして実績を作り、長期的に継続する案件につなげている。

こうした流れの中で、クラウドワークスは自分らしい働き方の実現を支援するため、20年5月に完全オンラインの学習プラットフォーム「クラウドカレッジ」を立ち上げた。クラウドカレッジで、名刺やバナーなどデザイン系の講座の設計を担当する眞道祐介氏は、その意図を次のように説明する。

クラウドワークス 社長室ワーカーエクスペリエンスチーム/クラウドカレッジ学長
眞道 祐介

「実際の案件を想定した、”走りながら学ぶスタイル”です。アドビのPhotoshopを使ったバナー作成や、Illustratorを使った名刺作成など、さまざまなコースがあります。デザイン系の仕事に欠かせない、アドビソフトが習得できるカリキュラムです。ギグワークや副業へ結び付けるためには、単なる学びではなく働く力を養うことを重視し、価値提供できるスキルを磨く必要があります」

自身もWebデザインの副業をする眞道氏。デザインの仕事の魅力についてこう話す。

「本業ではサービス開発など、いわゆるビジネス系の仕事をしています。片やWebデザインの仕事はものづくりですから、仕事に必要な思考や頭の使い方が異なります。私はその違いを楽しんでいます。クリエイティブな仕事は、自分の個性を発揮しやすいので、経験を重ねると仕事の領域が広がるところも魅力。私も最初は名刺デザインから始めて、チラシロゴWebデザインとできることを増やしていきました」

IllustratorやPhotoshopなどを用いで制作できる、名刺・ポスター・ロゴの例

いずれも慣れるまでは一定の時間を要するが、スキルや経験を身に付けると案件によっては1日1時間でできるものもあるという。また、時間単価を上げることができるのも、デザイン系ギグワークならでは。

「単純作業の仕事は時間当たりの報酬で固定されてしまいます。しかし、デザインの仕事は、経験やノウハウが蓄積されることで“自分ならではの表現”が生まれ、指名発注されれば単価がアップすることもあるので、“時間単価が上がるギグワーク”になりえると思います」(眞道氏)

時間ではなく、スキルを提供するギグワークへ

現在、デジタル化の波が押し寄せていることから、今後もWebデザインや動画編集などの仕事は需要増が期待できると田中氏は言う。

「デザインの仕事を通して鍛える、人の考えを酌み取る思考力や、言語をデザインに変換する力はルーティンワークと異なります。その人ならではのアウトプットが求められるんです。とはいえスキルがないと受注は難しいため、仕事で使うツールの習得は必須です」(田中氏)

デザインを含めクリエイティブ系の仕事をする際、デザインや動画編集に必要なサービスがそろった「Adobe Creative Cloud」。クラウドカレッジでも、「Photoshop」「Illustrator」「Adobe Premiere Pro」「Adobe After Effects」などを活用したカリキュラムを組んでいる。それぞれのアプリは、ビジネスのトレンドに合わせて最新のものにバージョンアップされるため、基本操作を身に付けることで一生役に立つスキルを備えることができるだろう。

「私は名刺制作のコンペへの参加を決めてから、Illustratorの操作を覚えました。初回の挑戦で運よく受注ができたことから、自信がついて、今ではWebデザインやアプリの画面など、いろいろなクリエイティブ業務に挑戦しています」(眞道氏)

とくにデザインの仕事で培ったスキルは、本業にも生かせるから、短期・単発のギグワークのような形式で気軽にクリエイティブな仕事に挑戦してみることが、結果として実績を生み、スキルアップをもたらす。そしてそれは、本業やキャリアアップのきっかけとなるだろう。

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