日本・アジアでエネルギー変革のリーダー目指す 再エネ発電のプロ集団 レノバの地域への想い

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太陽光、風力、木質バイオマス、地熱など再生可能エネルギー電源の開発・運営に特化するレノバ。東証1部唯一の再エネ専業企業として、順調に事業規模を拡大している。今後は洋上風力および海外事業を成長領域として注力する考えだ。大きな特色の1つは、地域との「共存共栄」にかける強いコミットメント。木南陽介社長に、その想いを聞いた。

太陽光やバイオマスなどの大規模再エネ発電所を開発・運営

再生可能エネルギー事業を手がけるレノバの代表取締役社長CEOの木南陽介氏は次のように語る。「私は学生時代から環境問題に関心があり、何とかしてこの課題を解決したいと、2000年に当社を設立しました」。同社は環境・エネルギー分野の調査・コンサルティング事業会社としてスタート。東日本大震災後の12年に再エネ事業に本格的に参入した。17年には東証マザーズに上場、18年には東証1部へ市場変更している。

代表取締役社長CEO
木南 陽介

「環境分野の社会課題を解決するためには、再生可能エネルギーの大量導入が必要です。そのために、当社では地域に適したさまざまな再エネ電源の積極的な開発を続けています」と木南氏は話す。

14年に同社初の太陽光発電所となる水郷潮来ソーラー(茨城県)にて発電を開始した。その後も順調に発電所を開発し、21年7月末時点における同社グループの運転中の発電所は、大規模太陽光発電所11カ所およびバイオマス発電所2カ所となっている。さらに、運転開始に向け建設工事を行っている太陽光発電事業2件、バイオマス発電事業4件、地熱発電事業1件、後述するベトナムでの陸上風力発電事業1件も順調に工事が進んでいる。「ベトナムのクアンチ省にて、同国の電線工事を営む上場企業のPCC1社が開発を進める複数の陸上風力発電事業(合計設備容量 144・0メガワット)へ参画しました」。現在、21年10月末までの運転開始を目指して工事が進められており、同社においては海外第1号案件の発電所となる。このほか、苓北陸上風力事業(熊本県天草郡苓北町)も開発が順調に進み、22年ごろの着工、24年ごろの運転開始を見込む。「運転中、建設中、開発中の事業の設備容量の合計は約1・8ギガワットになります」。

※原子力発電所約2基分の設備容量に相当
 
 

国の目標にも掲げられ、可能性が高まる洋上風力発電

太陽光発電に限らず、複数種別電源(マルチ電源)の発電事業を展開しているのが同社の大きな特徴だが、木南氏は「この中でも、洋上風力発電市場の拡大が今後本格化すると考えられます」と話す。

化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトは世界の潮流となっている。日本政府も50年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げたが、その施策として洋上風力発電の導入が重視されている点は注目すべきだろう。

19年には「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」が施行され、また20年12月15日に政府が開催した官民協議会では、洋上風力発電の導入目標が30年までに10ギガワット、40年までに30~45ギガワットと示された。

「政府は洋上風力の普及を進め、発電コストを欧州並みにする計画です。当社は早くから洋上風力発電の可能性に注目し、調査や開発を進めてきました」

同社ではすでに複数のプロジェクトに着手している。秋田県由利本荘市沖では15年から他社に先駆けて事業化の検討を開始、地元の関係者との対話や各種調査を重ね、21年5月に事業者選定に向けた公募への計画書を提出したところだ。さらに、千葉県いすみ市沖などでも各種調査を推進中だ。

 

「地域との共存共栄」を実現できるエンジニアリング力

全国各地で再生可能エネルギー発電所を開発してきたレノバが大切にしている「想い」がある。

「電力の主な消費地は都市部ですが、再生可能エネルギーの源は地域にあります。私たちはそのエネルギーの一部をお借りして事業を行っているのです。その点で、『地域との共存共栄』は非常に重要だと考えています」

同社では、事業を通じた地域資源の有効活用や、雇用の創出などによる地域活性化にも積極的に取り組んでいる。例えば、16年に運転を開始した秋田バイオマス発電所(秋田市)では、県産の未利用材を燃料として活用し、林業などに貢献している。また、由利本荘市沖の洋上風力プロジェクトでも、地元漁業者など地域住民との対話を重ねてきた。

地元の漁業者にも協力を得ながら、風車の最適配置の検討に向けた各種調査を実施。調査結果や事業計画の説明会を度々実施し、国内初となる大規模着床式洋上風力発電事業への理解醸成に努めた。

「当社の強みは、高い志を持つだけでなく、それを具体的な事業に落とし込んで具現化するエンジニアリング力を備えていることです」と木南氏。同社では、海外の大型事業を担った高度人材をはじめ、50人超のエンジニアが日々経験と知見を蓄積している。再生可能エネルギーに精通するエンジニアリングチームを内製化することで、実現性が高くかつ競争力のある事業をデザインすることができるのだ。

「日本は化石燃料には乏しいものの、四方を海に囲まれているため、洋上風力発電には大きなポテンシャルがあります。また当社には、日本固有の地理的条件に合った設計・開発のための各種データと、地道な対話を通じて得た地域と共存共栄する事業をつくり上げるための知恵が蓄積されています。由利本荘市沖洋上風力事業では今まで培ってきた技術やノウハウを投入し、われわれならではの貢献を目指します」と木南氏。

同社のビジョンは「日本とアジアにおけるエネルギー変革のリーディング・カンパニーとなること」だ。日本発の再エネ事業会社が、脱炭素社会実現に向けて成長著しいアジア・日本の再エネ市場をリードすれば、部品など国内での関連産業の発展も期待できる。同社の活躍には、環境問題や地方創生などさまざまなステークホルダーからの熱視線が送られている。

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