コスパ重視の業務用資材でCO2削減かなえる技術

積載量、配送回数に着目し「物流コスト」も削減

環境負荷の軽減を目指し、流通分野でも脱炭素化が進められようとしている。さまざまな取り組みの中、最近新たに注目されるのが「圧縮梱包」という仕組みだ。特殊な圧縮技術で荷物そのもののサイズを小さくする。積載量を増やすことで配送回数が減り、輸送にかかるCO2削減が可能になるという。

 

コスパ重視の業務用資材、配送と保管に課題

上席執行役員
商品戦略本部 本部長
市原 直人

「オザックスは1910(明治43)年の創業です。創業時の事業は紙やダンボールを印刷会社、問屋などに販売していました。大阪万博の頃から外食産業向けの紙製品や衛生製品を手がけるようになり、現在は、クラウドを活用した受発注システム、倉庫管理システムや、最新のIoT機器までワンストップで提供しています」と、オザックス 上席執行役員の市原直人氏は紹介する。

100年以上の歴史を誇る同社はまさに、日本のビジネスの変化を見続けてきた。その中でも、昨今の環境意識の高まりは大きな流れだ。商品戦略本部 本部長代行の鈴木一輝氏は次のように話す。

商品戦略本部 本部長代行 兼
環境ソリューショングループ
グループマネージャー
鈴木 一輝

「当社では、ファストフード、ファミリーレストラン、居酒屋などの外食店をはじめ、シネマコンプレックス、カラオケ、冠婚葬祭の各施設のほか、スーパーマーケットやドラッグストア、量販店などの小売業界向けに業務用資材を販売しています。これまではやや抽象的な社会貢献イメージで『環境に優しい』製品を採用されるお客様が多数でした。しかし最近は、『この製品の導入により、どれだけCO2が削減できるのか』といった具体的な数値でのご相談が増えています」

転機になったのが、2020年7月に導入されたレジ袋の有料化だ。「企業にとって脱炭素は、『取り組んだほうがいい』から『取り組まなければならない』テーマになりました」と鈴木氏は語る。

同社への要請が高まる一方、課題もあった。「当社は商社ですが、PB(プライベートブランド)開発も手がけています。その過程で、原材料や製造工程でCO2削減を図ることはなかなか難しいことに気づきました。また、業務用資材など大量に消費される製品はどうしても価格が重視されます。CO2削減に多くのコストをかけて価格を上げるわけにもいきません」(市原氏)。

そのうえ、ファストフードなどの店舗は倉庫スペースが狭いため、資材は小口で頻繁に配送してほしいというニーズも高い。これには納入業者や物流業者も頭を抱えていた。

「われわれもあれこれと考えてきましたが、ようやく1つの解を見つけることができました。それが、製品の『圧縮梱包』です」(鈴木氏)

圧縮梱包技術「COMP」でCO2も物流コストも削減

「COMP(コンプ)」と呼ばれる、この特殊な圧縮技術は、かさばる布団をコンパクトに収納する圧縮袋に似た原理を用いているという。大きな特徴は、その名のとおり製品を圧縮して梱包することで、サイズを大幅に縮小できるという点だ。

「例えば、当社ですでに製品化しているペーパータオルの場合、サイズが約3分の2になります。従来の梱包であれば、パレット(荷役台)に16個しか積めないところ、当社の『COMP』で圧縮したペーパータオルなら24個(最大30個まで)積むことができます」と鈴木氏は話す。

圧縮技術により積載量が増えれば、必要な配送車の数は減る。「10トン車の場合、積載量は約28%増えます。さらに、当社が今年6月にリリースしたクラフト紙で梱包すれば、段ボールに比べCO2を約49%削減できる計算です」(鈴木氏)。

※オザックス調べ

これは包装資材の削減だけでなく、保管スペースの有効活用にもつながる。 だが、圧縮されたペーパータオルの品質が損なわれることはないのだろうか。

「積み上げても変形はしません。開封後は自然に復元するため、拭き心地など使い勝手も変わりません」と鈴木氏は説明する。

圧縮梱包「COMP」が革新的なのは、CO2を大幅に削減しながら、それがコストに跳ね返るどころか配送や保管といった物流コストの削減も同時に実現できることだ。

「現在は、ペーパータオルの量産化に成功したところですが、ペーパータオル以外にもさまざまな製品の圧縮梱包が可能だと考えています。例えばフルーツキャップ(果物を梱包する際の緩衝材)などの圧縮梱包も検証しているところです。紙以外にも布、ポリエチレンなどにも応用できるはず。外食産業や小売店向けの製品に限らず『こんなものを圧縮梱包できないか』とご相談いただきたいですね」と市原氏は期待を寄せる。同社では、実際に製品を圧縮梱包した際の復元実験なども、他企業と共同で行っていくという。

オザックスの圧縮梱包「COMP」は、大げさでなく、これまでの梱包の概念を変革するものになりそうだ。鈴木氏は「圧縮梱包がスタンダードになる時代が来るといいですね。この圧縮技術を使った日本発のCO2削減手法が、国内の他社はもとより、世界にも広く普及することで、脱炭素化に貢献できればと思っています」と力を込める。そのためにも、圧縮梱包技術が1つでも多くの製品で活用されることが大切だ。アイデアや関心のある企業や団体、大学などはぜひ、同社に連絡してほしい。

お問い合わせ
オザックス
  • 東京都千代田区神田三崎町3-1-16神保町北東急ビル
  • 03-6758-0776(商品戦略本部)
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