長らく日本の転職市場に関わり、第一線で活躍するトップヘッドハンターに話を聞いた今回の対談。後編となる本稿では、キャリアを切り拓いていくために必要なことや優れたヘッドハンターの選び方など、より実践的な内容へと話が進んだ。“キャリアのプロ達が語る本音”、きっと悩める全てのビジネスパーソンにとって有益なものになるはずだ。
ひとりで考えても答えはでない!
戦略的アドバイザーを持つべき理由

佐藤 今回私たちがCAREER CARVER(キャリアカーバー)を立ち上げた背景の一つに、候補者の方々のご相談いただくタイミングが総じて遅いこと。もう少し早くからヘッドハンターとお付き合いしていれば、もっと理想的なキャリアを築けたのにと感じること、そのような課題感があります。彼らがなかなか動かない、または動けない理由はどのようなところにあるとお考えでしょうか?
福留 日頃から「こういう風になりたい」「こんな仕事をしたい」と考える習慣や意識が日本のビジネスパーソンはやや低いように感じます。社内のポジションや外部の同世代と比べた年収は気にしても、自分の将来のキャリア像についての棚卸しが足りない気がします。そもそも自分自身のことをよく分かっていない人が多いことが問題のように思います。
丸山 そういうことを自分ひとりで考えてみても、そうそう答えなんて出るものではない。人生経験が豊富な先輩と話をしたり、外部のプロに助言を求めることではじめて自分のことが分かってくる。そうして現状認識をした上で目標、なりたい姿を描いていく。理想的なキャリアを歩むにはそういうアクションが必要なのです。
佐藤 キャリア形成について考えている人、そういうアクションを取る方と取れない方にはどのような差があるのでしょうか?

福留 日本では就社意識の強い伝統的大企業に属している方。例えば昔ながらの基幹産業系、公共インフラのような人的流動性の低い会社。あるいはベースの基本報酬が高く、一定の年功制が保持されているような企業でお仕事をされている方たちには、キャリアの危機意識を強く持てという方が難しいかもしれません。
しかし、これらの企業で出世競争に勝ち残り順調にステップアップしていくことは、世間一般で思われている以上に難しい。少なく見積もっても50~100人に1人程度しか事業責任者クラスにはステップアップできないのが実情です。40代後半になって社内での序列が見えてきて、これ以上のステップアップは難しいと思ってもキャリアチェンジを考えるには遅すぎる。
丸山 日本の人事はその会社で生きていく術は教えてくれても「こういうところが評価されている」「こういうところが足りない」と戦略的にアドバイスしてくれるような ことはほとんどありません。もちろん、今の会社でキャリアに満足したままで定年を迎えられるならば、それに越したことはないのですが、かつてのような入社したら会社もそのまま大きくなって、何もせずにポジションが与えられるなんて時代はとうの昔に終わった。最近の若者はその前提をしっかりと理解していますが、私たちがターゲットとしているミドル層について言えば、まだまだその認識が甘い。
福留 会社の人事部門が、客観的かつ専門性の高いキャリアの助言を所属社員に対してキャリアコンサルティングを行えるほど、日本の人材マネジメントは成熟していないのが現状です。今回の対象になる30代から40代のミドル層も例外ではなく、自分自身でキャリア開発を行わないといけません。

佐藤 仮に転職をしなくても、会社で与えられたポジションにバリューがあるかについて、実はその会社の人事より外部のヘッドハンターの方が知見を持っていることもあります。ヘッドハンターはさまざまな企業のトップや数多くの候補者と日々お会いしているので、キャリアの評価や相場観についても熟知しているのです。
いいヘッドハンターの選び方、探し方。
その重要なポイントは――
佐藤 最近では個人の方が知り合いの紹介や仕事のつながりなど自分のネットワークで転職する。ヘッドハンターを絡ませないで転職することも増えてきました。そういう動きに対する危惧はございませんか?

丸山 確かに知り合いの紹介で転職するケースは増えています。しかしどんなにその相手に信頼を寄せていても、転職やキャリア形成について彼らはプロではない。そういうプロの介在しない転職で失敗するケースは本当に多く見られます。
佐藤 一方でヘッドハンターも玉石混交。参入障壁が低いのでキャリア形成の「プロ風」なだけで適切なコンサルティングを行うという意識はなく、転職してもらいさえすればよいという考えの人も残念ながら存在します。CAREER CARVERは今回お呼びしたお三方のような優れたヘッドハンターだけを厳選した場にしたいと考えているのですが、皆さんから「いいヘッドハンター」の選び方、探し方をアドバイス頂けますか?
丸山 大前提として新卒でヘッドハンターになった人は避けるべきでしょう。どの業界を専門にやっているか、出身はどこかという経験はしっかり確認した方がいい。あとは実績。そのヘッドハンターがどういうところに強みを持っていて、どういう会社を決めているか。またどれくらいのポジションで決めているか。そういう話をすれば、ヘッドハンター側にもその方がプロを求めているということが伝わります。
福留 できれば一人のヘッドハンターに依存しないこと。複数の方にお会いして話してみることが大切です。例えば、1:敢えてキャリアメイキング全般に、耳の痛い話をしてくれる人。2:話しやすくて自身の悩みや弱みを相談しやすい人。3:他にはない貴重な独自案件を時折持ってきてくれる人。4:自分の志向している業界に精通している人。5:自分とは異なる業界に明るい人。 ヘッドハンターも十人十色の個性がありますから、この5タイプ等は意識していただくと多様なアドバイスに触れられるかもしれません。

重國 私たちのところには、他のヘッドハンターに相談した経験のある方がいらっしゃることも多いのですが、話を聞いてみると皆が違うことを言っているなんてことも多い。どのヘッドハンターが信頼できるかは相対比較しなければ分からないことです。自分の目で見比べてみて、どのヘッドハンターが本当に信頼できるか、そういう目線で候補者の方からも見極めるような意味で複数人と面談してみるのがいいかもしれません。
CAREER CARVERへの期待と候補者へのメッセージ
動きたくても動けなかった方へ――!
佐藤 みなさんがCAREER CARVERに期待することをお聞かせください。
丸山 志を同じくする仲間が集まるサイトにして欲しいと思います。いま、広く人材紹介業界が真価を問われている。いい加減に人を斡旋しているところもある。ろくなヘッドハンターしかいないというイメージを持っている人もいる。私たちがいるからこそ実現できたご縁がどれだけ作れたか。そこをしっかり意識できる人が集まり、この業界かくあるべしという高い理想を持って業界の質を引っ張っていきたいですね。
福留 CAREER CARVERには大変期待しています。優秀な人材不足は慢性的に続いており、人材業界としても、企業が応募や紹介を待つのみならず、例えば候補者に直接声をかけるダイレクトリクルーティングなどの採用手法も多様化してきている。単に人材を紹介するだけでフィーをいただくというシンプルなビジネスモデルが成長を続けられるとは考えられません。そこにどれだけ付加価値をつけられるか。付加価値を高めたサービス提供は顧客企業・候補者への貢献につながります。CAREER CARVERのご発展は、人材業界のみならず、企業・候補者、3者間のwin-win-win構築への架け橋になるのではないでしょうか。
重國 求職者がヘッドハンターに会うと転職させられる。そういう誤解を解きご自身のキャリアを考えるハードルを低くしていきたいですね。CAREER CARVERに行けば優秀なヘッドハンターが数多くいて、転職ありきではない相談ができる。そういう認知を高めていきたいです。
佐藤 最後に東洋経済オンライン読者の皆さんへメッセージをお願いします。
丸山 記事を読んでなにか感じるものがあれば、ぜひCAREER CARVERへアクセスして欲しい。出会いはこういったご縁から始まるものなので、ぜひ構えることなく気軽にご相談していただければと思います。
福留 誰もが出来ているようでなかなか難しいこと。ご自身がどうなりたいのか、本当にやりたいことは何なのかを自分自身で厳しく定期的に見つめなおして、自分なりの仮説を立てる。そしてその仮説が正しいのか、それとも他のオプションがあるのかをプロのヘッドハンターに相談してみる。そういう意識を是非持っていただければ新しい道が拓けるかもしれません。
重國 いままでキャリアについて一人で悩みどうしていいか分からなかった方。動きたいけど動けなかった方。そんな方々の最初の一歩になりたいと思います。(了)

ヘッドハンターからのアプローチを受けた人、これからキャリアを考えている人など、一般の人の生の声が集まるリアリティ座談会です!






