ヘッドハンターの生の声を聞く
キャリア形成の実践篇!

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
 経済が右肩上がりの時代は過ぎ去り、いま全てのビジネスパーソンが自身のキャリアについて真剣に向き合う必要に迫られている。閉塞した環境から抜け出し、幸せなキャリアを築くため我々が取るべき行動とは?
 長らく日本の転職市場に関わり、第一線で活躍するトップヘッドハンターに話を聞いた今回の対談。後編となる本稿では、キャリアを切り拓いていくために必要なことや優れたヘッドハンターの選び方など、より実践的な内容へと話が進んだ。“キャリアのプロ達が語る本音”、きっと悩める全てのビジネスパーソンにとって有益なものになるはずだ。

ひとりで考えても答えはでない!
戦略的アドバイザーを持つべき理由

佐藤 今回私たちがCAREER CARVER(キャリアカーバー)を立ち上げた背景の一つに、候補者の方々のご相談いただくタイミングが総じて遅いこと。もう少し早くからヘッドハンターとお付き合いしていれば、もっと理想的なキャリアを築けたのにと感じること、そのような課題感があります。彼らがなかなか動かない、または動けない理由はどのようなところにあるとお考えでしょうか?

福留日頃から「こういう風になりたい」「こんな仕事をしたい」と考える習慣や意識が日本のビジネスパーソンはやや低いように感じます。社内のポジションや外部の同世代と比べた年収は気にしても、自分の将来のキャリア像についての棚卸しが足りない気がします。そもそも自分自身のことをよく分かっていない人が多いことが問題のように思います。

丸山 そういうことを自分ひとりで考えてみても、そうそう答えなんて出るものではない。人生経験が豊富な先輩と話をしたり、外部のプロに助言を求めることではじめて自分のことが分かってくる。そうして現状認識をした上で目標、なりたい姿を描いていく。理想的なキャリアを歩むにはそういうアクションが必要なのです。

佐藤 キャリア形成について考えている人、そういうアクションを取る方と取れない方にはどのような差があるのでしょうか?

福留日本では就社意識の強い伝統的大企業に属している方。例えば昔ながらの基幹産業系、公共インフラのような人的流動性の低い会社。あるいはベースの基本報酬が高く、一定の年功制が保持されているような企業でお仕事をされている方たちには、キャリアの危機意識を強く持てという方が難しいかもしれません。

しかし、これらの企業で出世競争に勝ち残り順調にステップアップしていくことは、世間一般で思われている以上に難しい。少なく見積もっても50~100人に1人程度しか事業責任者クラスにはステップアップできないのが実情です。40代後半になって社内での序列が見えてきて、これ以上のステップアップは難しいと思ってもキャリアチェンジを考えるには遅すぎる。

丸山 日本の人事はその会社で生きていく術は教えてくれても「こういうところが評価されている」「こういうところが足りない」と戦略的にアドバイスしてくれるような ことはほとんどありません。もちろん、今の会社でキャリアに満足したままで定年を迎えられるならば、それに越したことはないのですが、かつてのような入社したら会社もそのまま大きくなって、何もせずにポジションが与えられるなんて時代はとうの昔に終わった。最近の若者はその前提をしっかりと理解していますが、私たちがターゲットとしているミドル層について言えば、まだまだその認識が甘い。

福留会社の人事部門が、客観的かつ専門性の高いキャリアの助言を所属社員に対してキャリアコンサルティングを行えるほど、日本の人材マネジメントは成熟していないのが現状です。今回の対象になる30代から40代のミドル層も例外ではなく、自分自身でキャリア開発を行わないといけません。

佐藤 仮に転職をしなくても、会社で与えられたポジションにバリューがあるかについて、実はその会社の人事より外部のヘッドハンターの方が知見を持っていることもあります。ヘッドハンターはさまざまな企業のトップや数多くの候補者と日々お会いしているので、キャリアの評価や相場観についても熟知しているのです。

次ページいいヘッドハンターの選び方、探し方。