ファーストアカウンティング

スキャンも不要!AIで実現した「戦略経理」の威力

インボイス対策もできる自動化ソリューション

コロナ禍の影響もあり、リモートワークは働き方の1つとして定着しつつある。しかし、経理部門は依然として完全リモート対応が難しい。なぜなら取引先から「紙」の請求書が届いてしまうからだ。出社を余儀なくされ、多様な働き方を確保できないという不満から、担当者の離職につながってしまうケースもある。こうした課題を解決し、効率的な経理業務と迅速な経営判断を促すAIソリューションを開発しているのがファーストアカウンティングだ。同社が目指す「戦略経理」の先進性と、その実現を支える技術と仕組みを取材した。

経理で単純作業をこなすことの「弊害」

経理は間接業務に分類される。「間接」という字面から軽視されがちだが、企業経営には欠かせない業務だ。そもそも名称からして「経営管理」の略称であり、企業活動の血液に相当する資金の流れや収益状況を把握し、経営の意思決定に寄与することが求められる。

つまり、本来は理解力と分析力が問われるインテリジェンスの高い業務なのだ。多数の上場企業に経理業務を効率化するAIソリューションを提供しているファーストアカウンティングの代表取締役社長、森啓太郎氏は次のように話す。

ファーストアカウンティング
代表取締役社長
森 啓太郎

「経理の担当者は、本来経営参謀になるべきなのです。『売り上げが2倍になったけれども粗利が半分になった』という話がよくありますが、経理担当者が参謀として腕を振るえばそういったことは起こりません。変化が激しく不確実性の高い時代だからこそ、企業としてのレジリエンスを高めるために意識するべきだと思います」

ところが現実の経理業務はどうかといえば、「資金の流れや収益状況を把握」するための記録・計算に時間と工数が費やされている。しかも、把握に必要な請求書や領収書などの証憑(しょうひょう)書類が「紙」であることが、さまざまな弊害を生じさせていると森氏は指摘する。

「コロナ禍で緊急事態宣言が発出され、全社テレワークに移行した企業でも、経理社員が請求書を確認するためにだけ出社を余儀なくされたことが問題となりました。そうした不満から退職を検討する人が増えているのですが、高い経理スキルを持つ人材の求人倍率は非常に高く、確保が難しいのが現実です」

郵送によって、手元に届くまでに時間がかかるのも問題だ。しかも郵便法の改正によって、2021年10月には普通郵便の土曜配達が休止、翌日配達も段階的に廃止されることが決定している。これにより従来と比べて月次決算が遅れ、経営の意思決定スピードにも影響を及ぼしてしまう可能性があるのだ。それを防ぐため、先にメールでPDFの請求書を入手して処理するケースが多くなっているが、後から郵送で届いた紙の請求書も支払い処理に回してしまい、二重払いを起こしてしまう事例も増えているという。

メール送信のみで証憑をデジタル化する「Remota」

優秀な人材の離職を防止するとともに、円滑かつミスのない経理業務を実現するにはどうしたらいいのか。ファーストアカウンティングが出した答えが、リモートで経理業務を完結できるAIソリューション「Remota(リモタ)」だ。特筆すべきは、ほとんど人の手を介することなく請求書や領収書の読み取り、入力、仕訳からデータの整合性を確認する突合業務まで完了してしまう点だ。これまで請求や経費精算で多数のマンパワーを必要としていた業務をほとんど自動化でき、会社の業務フローに組み込むことで、人が行うべき重要な内部統制行為だけを残すことができると森氏は胸を張る。

「メールに請求書や領収書を添付して送るだけです。別途複合機でスキャンする必要はありません。これまで、かなりの手間がかかっていたのが突合業務で、手入力で起きやすい数字の桁間違いや口座番号の誤入力を防ぐため、ダブルチェックどころか4回くらい確認する企業もありました。しかし『Remota』ならば、そうした多大な手間をほぼゼロにできます。AIで判定するので二重払いも防ぐことが可能です」

この驚異的な利便性を支える技術が、AI-OCRだ。従来のOCRの読み取り精度はかなり低かったが、ファーストアカウンティングは領収書と請求書に特化してAIを開発。各社でフォーマットが異なる請求書はもちろん、透かしや手書き、くしゃくしゃになった領収書ですら正確に読み取る。その精度は95%以上と非常に高いが、ただ読み取るだけでなく、要件に合わない証憑画像の“正誤判定”にも応用していると森氏は話す。

「電子帳簿保存法の改正によって、スマートフォンで撮影した領収書も電子保存できるようになりました。ただし、手ブレや指が写り込んでいる画像などはNGなので、申請者に差し戻しをしなければなりません。これを手作業で行うのは非常に大変ですから、弊社は自動で判定・承認できる特許技術を開発しました。今では、コメント付きで申請者に差し戻すところまで自動で実施できるようになっています」

コンカーのパートナーアワードを受賞

さらに、どのERP(統合業務システム)や経費精算システム、会計システムともシームレスに連携するのも「Remota」の強みだ。例えばコンカーでは、請求書管理システム「Concur Invoice」にRPAでデジタル化した領収書や請求書と連携できる機能があったが、添付漏れなどのヒューマンエラーが発生することが悩みだった。それを「Remota」との連携で解消し、紙の証憑を処理するのと比べて入力・確認に必要な時間を70%程度削減できる事例もあるという。

「Remota」と「Concur Invoice」を連携した支払い業務のフロー。請求書のPDFをAIで読み取り、解析したデータを「Concur Invoice」へ自動で入力できる

この破壊的ともいえるイノベーションが評価されないわけがない。サントリーグループなど大手企業が続々と「Remota」を導入。コンカーのパートナーアワード「Concur Japan Partner Award 2021」でも、「Remota」と「Concur Invoice」の連携が評価される形で「プラットフォームパートナーアワード」を受賞している。

「単純作業をなくすだけでなく、すべてデジタル化することでダイナミックな『戦略経理』が可能になる点も高評価をいただいています。間接材を細かく管理しているのは大手企業でも少ないですが、『Remota』ならば直接材と同じようにシビアな管理を素早く効率的にできますので、非常に喜ばれています。 国内の複数拠点で経理業務をしていたのを1つにまとめたり、これまで海外子会社に経理業務を集中させていたのを内製化したりといったダイナミックな『戦略経理』に取り組む事例が増えています」

単なる記録・計算ではなく、経理の本質である「経営管理」に即した戦略的な取り組み。経費の最適化でガバナンス強化を図れるだけでなく、データドリブンな経営を後押しすることは間違いないだろう。

電子インボイス国際規格「Peppol」
日本初のアクセスプロバイダー

このように、現在でも相当なインパクトを放つ「Remota」だが、さらなる進化を遂げようとしている。見据えているのは、23年10月にスタートするインボイス制度によって本格化が予想される「電子インボイス」の普及だ。

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」。消費税率や消費税額など所定の要件を満たした請求書を発行・保存しなくてはならなくなる。複雑な税に対応しつつ、より正確な記録を保存することが狙いだが、経理処理の観点から見ると作業が複雑化することは避けられないとされる。

そこで、日本国内の事業者が共通で利用できる「電子インボイス(デジタル化された請求書)」の標準仕様を策定するため、20年7月に会計ソフトベンダーなど民間企業10社が立ち上げたのが電子インボイス推進協議会だ。同協議会は行政機関と協議を重ね、同12月に電子インボイスの標準仕様を国際規格の「Peppol(ペポル)」に準拠すると決定した。

Peppolは、電子インボイスなどの電子文書のやり取りを可能にするオープンな規格。言語が異なるEU内で効率的なやり取りをするために確立された。20年8月現在、31カ国295カ所に接続できるアクセスポイントがあり、各国は商習慣に合わせた標準仕様を管理している。

「標準規格を定めたことで、使用するERPや会計システムにかかわらず、各企業がスムーズにデジタル請求書がやり取りできるようになるということです。それぞれの契約するインターネットプロバイダーが異なっても、メールのやり取りが自由にできるのと同じです」(森氏)

実はこの国際規格に現在、日本でアクセスできるプロバイダーが、ファーストアカウンティングなのだ。Peppolを運営・管理している協会「OpenPeppol」のメンバーに、日本国内の企業として初めて認定された。

「Peppolのネットワークを経由するだけだと、単にデジタルデータのやり取りで終わってしまいます。入力や仕訳、明細の分類まで自動化することで、経理業務の単純作業を劇的に効率化することができます。日本の商習慣に合わせたPeppolの標準仕様策定に貢献するとともに、アクセスポイントに『Remota』を配置することで経理の自動化処理ができる仕組みを提供していきたいと思っています」(森氏)

つまり、ただ請求書がデジタル化するだけでなく、瞬時に意味のあるデータに変換されて各社が分析・活用できるようになるというわけだ。請求業務のあり方が根本から変わるだけでなく、経営の意思決定スピードが格段に速くなり、企業の競争力強化にも貢献するだろう。卓越したAI-OCR技術を背景に、「戦略経理」の土壌を着々と醸成しつつあるファーストアカウンティングの動きから、しばらく目が離せない。

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