未病・予防に貢献する総合ヘルスケア企業へ

新規事業に「300億円」成長分野の開拓に注力

少子高齢社会やデジタル化の加速、新型コロナウイルスの感染拡大によって、人々の生活様式は大きく変化した。企業活動も同様に大きな変革期にあり、規模の大小にかかわらず新たなビジネスチャンスの開拓を模索しなければならなくなっている。つまり、既存のビジネスに満足するのではなく、時代に合ったビジネスへと舵を切るということだ。ジェネリック医薬品大手・沢井製薬を傘下に持つ、サワイグループホールディングスもその一つ。医療用医薬品事業を中核に据えつつも、新規事業による健康寿命の延伸への貢献を通じ、社会とともに持続的に発展するヘルスケア企業グループへの進化を目指す取り組みについて、同社代表取締役社長の末吉一彦氏に話を聞いた。
サワイグループホールディングス
代表取締役社長
末吉一彦
京都大学法学部卒。住友銀行(現・三井住友銀行)を経て、2012年に沢井製薬入社。18年6月より同社取締役常務執行役員。21年4月より現職

――新会社発足と同時に社長に就任されてから約3カ月が経過しました。

末吉 沢井製薬の持ち株会社であるサワイグループホールディングスの立ち上げと、長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」および中期経営計画「START 2024」の発表で慌ただしく、正直、ほかのことを考える余裕がなかったのですが、ようやく次のステップに踏み出すスタート地点に立てたと感じています。

――長期ビジョンを策定された背景と狙いは何ですか。

末吉 2020年9月までにジェネリック医薬品の使用割合を80%とする政府の目標に合わせ、これまでわれわれの業界は突き進んできました。当社では2年ほど前から目標がほぼ達成されるのを見越し、それ以降の経営の方向性を見直すべく社内で議論を始めました。

4年前、米国進出を果たして地理的にビジネスを拡大しましたが、事業の軸がジェネリック医薬品であることに変わりはありませんでした。しかし、今回の議論ではそこも含めて見直していこうと。今後もジェネリック医薬品専業メーカーにとどまるのではなく、さらに一歩踏み出すべきではないかというところから、検討をスタートしました。

始まりこそ経営陣発でしたが、全社で取り組むべき問題であると考え、長期ビジョンと中期経営計画の策定作業については、若手・中堅層の中でとくに未来志向の意識が高い社員約30名に集まってもらい、プロジェクトチームを結成し、議論を進めていきました。

――どのような議論が行われたのでしょう。

末吉 外部環境に関する踏み込んだ分析調査を行ったうえで、われわれは10年後、どのような役割を果たすべきか、あるいはどんな会社になりたいかをしっかり議論してもらいました。もちろん経営層、幹部層ともコミュニケーションを取りながら、1年かけて練り上げた新しい企業像がグループ企業理念であり、長期ビジョンです。

グループ企業理念は「なによりも健やかな暮らしのために」と制定し、「ジェネリック医薬品事業を通じた持続可能な社会の実現」と「新規事業により健康寿命の延伸にも貢献」することを根源的な存在意義、究極的な目的として位置づけました。今後は全社を挙げて長期ビジョンの実現にベクトルを合わせ、実行のフェーズに入ります。

培った強みを生かせる領域にリソースを重点投入

――中期経営計画では3つの柱を掲げています。

末吉 1つ目は「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」を挙げました。今後3年間で85品目以上の新製品の発売を予定しているほか、業界再編を見据えた自社工場の建設、他社工場の買収、高品質の生産委託先の確保などあらゆる手段を講じ、さらなる供給能力向上を目指します。

2つ目は「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」です。23年度までの3年間は将来の収益性向上を目的に設備面や研究開発などの先行投資を行って事業の足腰を強化し、24年以降の成長を目指します。

3つ目は「新たな成長分野の開拓」です。ジェネリック医薬品事業以外にも積極的に投資を行い、これまで培った強みを生かせるような新規事業にも挑戦します。とくに希少疾患領域をターゲットとした新薬開発、デジタル・医療機器、健康食品の3領域を中心とした新規事業に総額300億円の投資枠を設定し、重点的にリソースを投入していきます。

――3つの柱に加え、「社会課題解決に向けた取り組み」も掲げられています。

末吉 沢井製薬は「なによりも患者さんのために」を企業理念とし、実現するため日々邁進してまいりました。それには2つの側面があり、1つは患者さんに対する貢献。もう1つはジェネリック医薬品の提供を通じた医療財政への貢献で、われわれは毎年3000億円近い医療費の節減に寄与してきました。

今後はさらにSDGsの目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」を重点目標に掲げ、環境や社会、ガバナンスへの取り組みを推進するとともに、新規事業による未病・予防への取り組みで健康寿命の延伸にも貢献したいと考えています。

「より多くの方々にとって、なくてはならない会社」に

――新規事業の今後の展開は。

末吉 新規事業には私たちが保持していないビジネススキルが必要です。現在はデジタルヘルスケア領域の技術を持つサスメド社への出資や、Neurolief社と日本における片頭痛・うつ病向け医療機器の独占開発販売契約の締結、インテグリティ・ヘルスケア社とのPHR(パーソナルヘルスレコード)事業協業などを行っています。

中期経営計画における新規事業の重点領域は決めておりますが、それだけに限定するものでもありません。今後も新たな案件を模索し、さらに拡大していきます。

――今後、医薬品業界、医療業界においてどのような役割を担っていきたいと考えていますか。

末吉 より多くの方々にとって、なくてはならない会社になるのが私たちの願いです。日本には約1億2000万人が住んでいますが、現時点で患者さんという位置づけの人は一部です。現在、患者さんではない方々にも健康寿命の延伸を図ることでお役に立ちたいと考え、新たな企業理念を策定しました。ぜひこれからのサワイグループの変化に興味を持っていただき、その中から将来の社員やビジネスパートナーとしてサワイグループを選んでいただける人が一人でも多く出てこられることを願っています。

>>>サワイグループホールディングスが描く将来のビジョン

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