「採用とDXは関係ない」と思う企業に欠けた視点 2年目社員の7割「職場はDX度合いで選ぶ」

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官民を挙げてDXが推進される中、予算が確保できず十分なデジタル投資がかなわない企業も多い。一方、2020年4月に新卒入社したビジネスパーソン500名のうち7割以上が「業務のデジタル化」を企業の選定基準において重要とする調査結果も。コロナ禍で一時的に滞った採用活動もいずれは戻ると考えれば、調査結果を受け止め、いち早くデジタル化に着手できるに越したことはない。そのためには、社員が効果を感じられる施策が必要だ。そんな課題に直面した、従業員数250名ほどの包装資材メーカーX社の奮闘記をお届けする。
注釈:登場人物はすべて仮名、架空のストーリー設定です

テレワーク未対応で業務は紙ベース

「経営会議の資料は事前に共有したほうが効率的じゃないか?」

ある昼下がり、包装資材メーカーX社の会議室で嫌み交じりに声をかけてきたのは管理本部長の木島厚(57歳)。資料を準備する経営企画室長の佐藤誠(51歳)は(いつもはそうしているじゃないか)と心の中で言い返しつつ、「申し訳ありません、コピーをとった後に支社の営業報告に誤りがあったことが発覚しまして」と頭を下げる。「もう少し支社や工場の報告が早く上がってくると助かるんですが」と言い訳も忘れなかった。

これは、毎週の経営会議の定番光景だ。しかし、人事部長の大友次郎(47歳)は苦々しい思いを抑えきれなかった。X社は国内各地に拠点を展開しているものの、従業員数は250名程度と中小規模。一般的な認知度は乏しく、採用活動にかなり苦労していたからだ。

とりわけここ2~3年は厳しさを増している。数年前から導入しているインターンシップも、今年は応募どころか問い合わせすらほとんどない。パーソル総合研究所が2030年には644万人の人手不足になると試算していることもあり(※1)、大友は相当の危機感を抱いていた。そんな中で木島と佐藤が小競り合いしたいら立ちから、経営会議の席上で大友はいつになく長口上をふるった。

「大手企業のようなネームバリューのないわが社は、ブランド力だけで人材を集めることはできません。学生に魅力をアピールするには、企業としての先進性やトレンド対応力をしっかり打ち出す必要があります。20年4月に新卒入社したビジネスパーソン500名への調査では7割以上が『デジタル化の進み具合』を就活時の企業選定基準として重視している(※2)ことからも思い切ったデジタルシフトを進めるべきです」

 

コロナ禍でもテレワークに対応せず、紙ベースの業務を続けているX社にとってはかなりドラスティックな提案。案の定、ほとんどの経営幹部はあぜんとしていたが、社長の息子でトレンドに敏感な常務の荻原隆夫(36歳)だけが賛同した。「DXの波に乗る絶好のチャンス。経営企画室で検討してみては」と発言したのである。

※1:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/spe/roudou2030/

※2:アドビ「コロナ禍新入社員への企業満足度調査」
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202106/20210603_satisfaction-with-corporate-digitalization-efforts.html

経営企画室長 佐藤が出した答え

X社にIT専任の担当者はおらず、知見を持つ人材もいない。何より、デジタル投資の予算がない。どうすればいいのか。頭を抱えた経営企画室長の佐藤だったが、荻原常務はこんなことを言い放った。

「確かに、デジタル化というと複雑なイメージですが、なじみのあるもので考えてみてはどうでしょう。PDFは日頃から使っていますよね。実はPDFはフォーマットを整えるだけでなく、ドキュメントや表計算ファイルに書き出す機能もあるんです」

それを聞いた佐藤は、今まで支社や工場からの営業報告や経費精算申請書は紙で送られたものをわざわざ再入力していたことを思い出し、利便性には格段の差があると気づいた。すかさずPDFについて詳しく調べる佐藤。荻原常務の言っていた機能はアドビAcrobat DCのものだった。さらに、OCR(光学式文字認識)機能もあり、紙文書をスキャンしてテキスト認識することでキーワード検索が可能になるため、過去のデータを振り返ることができる。セキュリティ設定が容易なうえ、ファイル単位でコントロールできるのも安心だ。佐藤は、採用課題や全従業員が携わる経費精算申請にも活用できる、汎用性の高さを確信した。

――人事部長の大友が問題提起をしてから数週間後、経営会議で生き生きとAcrobat DCの導入についてプレゼンテーションを展開する佐藤の姿があった。

「書類の保管場所などのコストを15%削減し、全社員1人当たりの業務時間が年間で平均約65時間節約できる、という調査結果(※3)もあります。生産性も向上するので社員一人ひとりが満足できる働き方、そして顧客満足にもつながるでしょう。まずは全従業員が関わる経費精算申請書からAcrobat DCを使ってみてはいかがでしょうか」

数字を駆使した隙のないプレゼン。経営陣たちを動かすには十分で、Acrobat DCの導入は満場一致で決定した。どうやら、荻原常務の助言と佐藤のリサーチで、X社のデジタル化は一歩を踏み出すこととなったようだ。

※3 出典:Adobe Acrobat DCのTotal Economic Impact™ (2019年8月)

実際の導入シーンと効果

MonotaRO事例:カタログ制作作業時間が30%以上短縮
運営している消耗品、事務用品などのBtoB通販サイト「モノタロウ」では最大700ページに及ぶカタログ・チラシを内製。これまで、印刷して1人ずつ手書きレビューしていたため、制作フローが煩雑だった。Acrobat DCで電子化し、全員で共有して同時に注釈を書き込むことで回覧が劇的に効率化し、紙・印刷のコストも大幅に削減できたという。
ケイライン ロジスティックス事例:利便性とコンプライアンスが共存できる
川崎汽船グループの中核企業。ほとんどがPDFで処理される貿易関連書類は、パッキングリストから通関関連までさまざまで、必要な書類のみの組み直しや別形式への書き出し作業も多い。そうした業務も編集機能を活用することで可能に。コンプライアンスも同時に強化するため、ライセンス使用状況の管理機能を活用しているという。
日立製作所​事例:「動画」「3D」もPDF保存すればキーワード検索できる
社会インフラを支える同社のインダストリアルプロダクツビジネスユニットのIT部門主任技師は20年以上にわたるAcrobatユーザー。過去に作成されたTIFF形式などの図面は紙でしか残っていないケースも多く、書庫を何時間も探すことも。だが、動画や3DもPDFにして見られるようにしたことで、大量の図面など書類の電子化にも大きく貢献した。

>>「Adobe Acrobat DC」の機能を詳しく見る