ペイパル活用が「EC成功への道」といえる理由 海外から見ると日本のブランド力は依然高い
2021年にECの「反動減」は来ない
――「2021年ペイパル海外通販レポート」には興味深いデータが多く掲載されていますが、注目すべきポイントはどこでしょうか。
本来なら3年から5年はかかるであろうECの市場拡大やキャッシュレスペイメントの進化が、わずか1年で進んだことです。世界的な動向として50代以上のシニア層をはじめとする新たなユーザーがオンラインの世界に流入するなどのさまざまな要因があり、2020年のオンライン小売売上高はアメリカ市場が新たに1つ増えたのと同じだけ増加しました。
しかも、特筆すべきは、この成長が一時的な動きにとどまらないことです。EC市場の成長にパンデミックの影響があったことは明らかでしたから、その影響が落ち着けば反動が来るだろうとわれわれも以前は予想していました。ですが、調査結果を見ると、今後ECの消費額を増やすと答えた人が過半数を超えています。消費者のECにおける意欲は収まりそうにないんです。オンラインやキャッシュレスに移行したものは移行したままで後戻りはせず、そこを起点にニューノーマルの世界へ向けてさらに伸びていくとわれわれは見ています。
――日本のオンラインショッピング市場については、どのような動きがあるでしょうか。
日本はいま、分岐点に来ています。先日、ショッピングカート企業※の方が「昨年、初めて緊急事態宣言が発出された第1週目、多くの中小企業からオンライン事業を立ち上げたいとの依頼が殺到した」とおっしゃっていました。コロナ禍で人の流れがストップし、販売事業者にとっては世界が一変しました。ECが生き残りを懸けた手段になったんです。
消費者の行動も変わりました。実際、ほとんどの商品カテゴリーで、オンラインでの売り上げは1割から2割成長したと推定されます。オンライン化やDXの推進に関し、日本は決してスピードが速いとはいえませんでしたが、ECに関しては、コロナ禍をきっかけに一気にスピードアップしています。
※ショッピングカート企業:事業者の依頼で、商品ページの作成、売り上げの管理、消費者とのコミュニケーションなど、ECにまつわるサイトを構築するサービスを提供する
――クロスボーダー取引、いわゆる越境ECについてはいかがでしょうか。
アメリカやイギリスのデータを見ると、ECの中に占める越境ECの割合は2割程度ですが、日本はまだ1割程度にとどまります。ただし、海外から求められているものの大きさでいえば日本は非常にポテンシャルのある国です。
日本には海外の人々が欲しがる商品やコンテンツ、サービスがたくさんあります。ゲームやアニメなどのデジタルコンテンツはその代表例ですが、ほかのモノに関しても気づかれていないだけで、海外で売れる商品は大企業にも中小企業にも、とくに地方にもたくさんあります。例えば、私は海外の友人に頼まれて地酒と備前焼のぐい吞みを日本から送り、大変喜ばれています。海外から来たわれわれからすると、「ジャパン」はクオリティーの高さや丁寧さを連想するとてもいいブランドです。
事業者の皆さんには、そのジャパンブランドの優れた商品をeコマースという時代の波に乗って、ぜひ海外の消費者に届けてほしいと考えています。
越境ECのハードルは「高く見える」だけ
――日本の事業者にとって越境ECはハードルが高く見えますが、どうクリアしていけばいいでしょうか。
確かに事業者の方の懸念は理解できます。新しい市場に進出する時間やコスト、顧客へのリーチ、不正利用対策やグローバル決済など、少し前まではこれらは大きな課題でリスクを伴いました。
ただ、現在は多くの強力なサービスがあり、力を借りればそれらの課題は以前より簡単にクリアできます。ウェブサイトの作り方がわからなくてもショッピングカート企業がサポートしてくれますし、「最小のコストで始めたい」と思うなら、ウェブサイトを作らずともSNSに商品を載せ、そこにペイパルの請求専用のリンクを張り付けるだけで販売することも可能です。実は越境ECのハードルは、多くの事業者が思っているほど高くないんです。とにかく始めてみることが重要だと考えています。
ペイパルは決済をはじめ、海外市場への進出や顧客の獲得、不正利用対策まで幅広くお手伝いします。まずペイパルのアカウントを持てば、世界の200以上の市場から支払いを受け取れるのはもちろん、自社をサポートする海外のサプライヤーやベンダー、メディア等に対する支払いも簡単にできるようになります。
消費者に対し、多様な支払い方法を提供できるのもペイパルを導入するメリットです。いま支払い方法は多様化しています。しかも国や地域、商品カテゴリー等によって好まれる支払い方法はさまざまで、世界で成功しているEC事業者は消費者の使いたい支払い方法を使いやすい形で提供しています。
事業者が単独で多様な支払い方法を用意するのは大変ですが、ペイパルを導入すれば日本の消費者はクレジットカードでもデビットカードでも銀行口座でも支払いができます。最近、アメリカでは仮想通貨でも商品を購入できるようになり、多種多様な決済手段への対応が進んでいます。
――越境ECでは事業者も消費者も、セキュリティーの担保が気になるポイントです。どのような対策をしていますか。
消費者視点で見ると、海外サイトに個人情報やクレジットカード番号を渡すのは抵抗があると思います。しかしペイパルアカウントをお持ちの方はそれらを渡すことなく、ペイパルの加盟店からワンクリックでオンラインショッピングができます。
また、われわれが提供する不正防止ツールは機械学習による検知と分析に基づいて既存の不正パターンの検出精度を高め、さらに今後脅威となる可能性を秘めた要素をチェックして日々進化する脅威の要因を見つけ出し、ビジネスの安全性を高めています。
それでも万が一の事故が起きた場合には、一定の条件の下に補償を行う買い手保護制度※と売り手保護制度※によって、消費者と事業者をペイパルが守ります。これら3段階のセキュリティーにより、越境ECでも安心、安全、快適に取引ができる体制を整えています。
※適用には一定の条件があります
ペイパルの導入で4億人のユーザーにリーチ
――事業者の海外市場での顧客獲得に、ペイパルはどのようなサポートを行っていますか。
ペイパルの利用者は全世界に4億人います。ペイパルを導入すればこれらの消費者にリーチできるうえに、われわれは消費者に対し付加価値を高めるさまざまな取り組みを行っているので、自然とエンゲージメントを高めることができます。
例えばアメリカでは、クーポンの比較サイトや消費者の行動分析を手がけるハニー・サイエンス・コーポレーションを買収しています。
さらに、ペイパルのアメリカのユーザーは仮想通貨を売買したり決済手段として利用したりできますが、興味深いことに仮想通貨を保有した人たちはペイパルアカウントをチェックする回数が劇的に上がります。
要するに、仮想通貨の値動きが面白いからアカウントを見るのが楽しくなり、そこに事業者からのメッセージやクーポン、ユニークな商品の情報などを前述のハニーから送って、消費者のペイパルに対するエンゲージメントを高めています。こうした取り組みの結果、欧米ではペイパルユーザーのコンバージョンレートを高い水準で維持しています。
消費者に使いやすさやショッピングの楽しさ、安心、安全、快適さなど、さまざまな付加価値を提供し、事業者には融資などさまざまな形でサポートしています。私たちはツーサイドネットワークと呼んでいますが、消費者と事業者の双方に高い付加価値を提供することにより、好循環を生み出しているのがペイパルの強みです。
――今後、日本においてペイパルはどのような展開をしていく予定でしょうか。
われわれは日本の消費者、事業者の皆さんからペイパルが決済手段として欠かせない存在として認知されるようになりたい。そのためにすでに海外で確立したサービスを持ってきたり、必要なら提携や買収をしたりして、消費者にはショッピングの楽しみを、事業者にはビジネス拡大を支援する力を提供していきます。
先日、ペイパルのサービスはこうあるべきだと思う個人的な出来事がありました。自宅のみそがなくなったので、私はオンラインで日本ならではのみそを見つけペイパルで購入しました。同じ日、私の息子のために日本のサイトでNFLのジャージを探していましたが、一部の選手の商品しかなく、価格も高かった。そこでアメリカのNFLのオフィシャルオンラインショップを見に行くと、豊富な商品が格安で販売されており、ペイパルを使い簡単に目当ての商品を購入できました。
つまり、ペイパルはみそのような日本ならではの商品を海外の消費者にお届けする支援とともに、NFLのジャージのような海外の商品を日本の消費者の皆さんが安心、安全、快適に購入できるお手伝いをしていきます。そうやってEC市場全体をサポートしていきたいと考えています。
>>>「2021年ペイパル海外通販レポート」の調査結果全文はこちらから
誤解:新しい市場に進出するには時間がかかりすぎる
現実:多くの場合、国内と同じツールを使用でき、
現実:適切なネットワークがあれば、コストを抑えることができる
現実:最新のテクノロジーにより、新しい顧客層に簡単にリーチできる
現実:スマートなツールにより、世界中の顧客を守ることができる
現実:グローバル対応のツールを使えば簡単