「人生100年時代」学びこそが未来を切り開く 出会いが増える生涯に、学び直しが必要な理由

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ベストセラーとなった『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社刊)は、人生100年時代というキーワードを社会に広く深く、浸透させた。私たち一人ひとりが描く人生設計へ与えたインパクトは計り知れない。さまざまな文脈で人生100年時代が語られているが「生涯学習」も例外ではない。実際、30代、40代を中心に「学び直し」のニーズが高まっているようだ。仕事の幅を広げるため、あるいは趣味の延長線上にある学問領域に興味を持ったから、さらにはキャリアチェンジや自己実現をするためといったように、その理由はさまざまだろう。

人生100年時代、しかも不透明な時代を生きる私たちにとって、「学び直し」や「新たな学び」は、どのような意味や価値があり、どのように取り組んでいけばよいのか、身近で質の高い生涯学習の場としてあらためて注目されている放送大学の2人の先生に話を伺った。

自分が納得する人生を送るには学習が欠かせない

「学び直し」や「新しい学び」が、あらためて注目されている理由とは何か。「まず挙げられるのが、長寿化が進む中、私たち一人ひとりの人生が長くなっていること」と指摘するのは、生涯学習や成人期の学習活動を研究している放送大学教授の岩崎久美子氏。長寿化と同時に、昔と比べて将来が見えづらい社会に変わってしまったことも大きいと語る。

放送大学教授
岩崎久美子

「終身雇用、年功序列が慣行であった時代では、就職をすれば企業内教育を受けながら自己啓発ができ、定年までをある程度予測することができました。しかし、今は違います。社会の大きな物語が崩れてしまい、個々に自分の物語を紡いでいかなければならなくなったのです。学習活動は人生のサバイバルキットの一つという言葉があります。自分を守るため、あるいは自分が納得する人生を送るためには、つねに学習が求められているといえます」。

しかし、自発的に独学できる意志の強い人は限られている。これから企業に依存せず自分でキャリアを築くためにはどうすればいいのだろうか。「とくに30代から40代は自らの人生を振り返るタイミングとも重なり、自分に何ができるのか、自分は何をしたいのかと人生を模索し、これからの生き方に不安を抱く方も多いでしょう。成人教育の理論では、不安を抱き悩んでいるときの学習は深い意義を持ち、人生における価値観を根本的に変え、視野を広げるとされています」と答える岩崎氏は「こんな見方もできる」と続ける。「人生は獲得と喪失のダイナミズムであり、年齢を重ねていけば獲得よりも喪失のほうが多くなると言われますが、学習は獲得の行為。新たな人と出会えたり、新しい知識を得ることは人生にとって大きな意味があるのです。新たな学びは楽しさや生きがいにもつながります。それも1人ではない。いろいろな人が手を差し伸べてくれる。そうした場が放送大学だといえるでしょう」。

人生100年時代は出会いが増える時代

実際、学びたい人がいつでも学べる「開かれた大学」である放送大学では、社会人の学生が増えているという。なぜか。英語や異文化コミュニケーション論など学生に人気の高い授業を担当する放送大学教授の大橋理枝氏が次のように話す。

放送大学教授
大橋理枝

「例えば、キャリアを積む中で、マネジメントをする際に心理学的な知見が必要だと痛感する。仕事もグローバル化して、あらためて英語を学び直したい、専門領域を深く学び直したいなど、仕事の環境が変わっていく中で、これまでにないアプローチが必要になっているのでしょう」

こうしたニーズに応え、体系だった学問を基本から学べる場が放送大学だと大橋氏は強調する。

「学問の基本をきちんと学べば、さまざまな事態に対応することができます。将来の人生がどれだけ不確実であろうと自信を持って歩むことにもつながるのです」。では、これから私たちの人生100年時代はどんな時代になるのだろうか。大橋氏は「出会いが増える時代になる」と考えている。「その意味でも放送大学に入れば、人だけでなく、新たな出来事や知識との出合いがどんどん増えていきますし、未知の事態に出合ったときも対応の可能性が広がります。それが人生を豊かにしてくれるのです」。

放送大学は多彩な学びを実現する場

現在、放送大学の在学者数は全国で約9万人。学生の層も高校生から社会人、定年後のシニア世代までと幅広い。入試はなく、学びたい人が目的に応じて学べ、正規の大学卒業資格を得ることも可能だ。中には大学院修了者が学び直すケースもあるという。こうした日本の生涯学習の中核的な役割を担っている放送大学が支持される理由の一つが自分のペースで学べることにある。BSテレビなどで学習できる「放送授業」は、学生になるとインターネットでも受講が可能。一方、教員から直接、授業を受ける「面接授業(スクーリング)」があることも見逃せない。全国57カ所の学習センターとサテライトスペースで、年間約3000クラスを開講し、コロナ禍以前は対面で接する教員や学生同士の交流も活発であった。

7月に教養講座を開講

新たな企画も始まる。7月第3週から、放送大学の面接授業をバーチャル体験できる「教養講座」を開講。現在、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、面接授業を対面式からWebでの授業に切り替えているが、放送大学は通信制大学なので、コロナ禍でもスムーズに開講できている。その第1弾として登壇する予定の大橋氏はこう述べる。

「例えば、マスク越しの会話を強いられるコロナ禍の中で、どうすれば円滑にコミュニケーションをとることができるのか。そのポイントとは目線の使い方や話すスピード。これはコミュニケーション学の基本の一つです。あるいは英語で外国人と話す際、どんな雑談にも対応できれば、相手からの信頼を得られるでしょう。そのためには幅広い教養を学んでいなければなりません。これから人生を生きていくうえで、学ぶことはプラスに働くのです。放送大学の授業はそんな学びの宝庫です」

放送大学教養講座
第1回(7月18日~24日)
大橋理枝
放送大学
人間と文化コース 教授


体も口ほどにモノをいう?
~ウィズコロナにおけるコミュニケーション~


非言語面を中心に「ウィズコロナ」のコミュニケーションについて考える
第2回(7月25日~31日)
辰己丈夫
放送大学
情報コース 教授


Society 5.0
創造社会のためのデータサイエンス


デジタルを活用した価値の「創造社会」に向け、計画すべき未来についてともに考える
第3回(8月1日~7日)
梶尾大輔
UiPath ソリューション本部
パブリックセクター担当部長


大阪学習センター企画
人生100年時代におけるRPA × AIの活用

RPAなどのデジタル技術を活用した新しい働き方を紹介
第4回(8月8日~14日)
菅野寛
早稲田大学大学院
経営管理研究科 教授


東京渋谷学習センター企画
パラダイム・シフト:
資本主義経済の限界と新しいパラダイム


経済の視点ではなく、経営の視点・企業の視点からポスト資本主義経済を考える
申込方法
(1)下記の申込フォームにお申込ください。
お申込はこちら
(2)7月第2週に視聴用のURLをメールにてお送りします。
(3)それぞれの配信期間内にご視聴ください。
申込締切日:7月14日(水)17時まで
参加費:無料
視聴方法:配信は、YouTubeでの限定公開配信となります。お申込みをした方のみご視聴可能です。視聴は、Chromeブラウザ最新バージョンを推奨します

その他、申込・視聴方法などのお問合せは「お問合せ先」までご連絡ください。